屋根裏のラジャー:西村義明Pが語る“友達”高畑勲監督への思い 「一番手厳しい僕らの先輩が見てくれる」

「屋根裏のラジャー」のジャパンプレミアの様子
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「屋根裏のラジャー」のジャパンプレミアの様子

 「メアリと魔女の花」などで知られるスタジオポノックの劇場版アニメ「屋根裏のラジャー」(百瀬義行監督、12月15日公開)のジャパンプレミアが11月16日、TOHOシネマズ六本木(東京都港区)で開催された。同作は、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などのスタジオジブリ作品に携わり、劇場版アニメ「二ノ国」を手がけた百瀬さんの監督作で、「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)、「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)を手掛けた西村義明さんがプロデューサーを務める。西村プロデューサーが「企画から6年かかって完成した」という同作への思いを語った。

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 「屋根裏のラジャー」は、英作家のA・F・ハロルドさんの児童文学「The Imaginary」が原作で、少女の想像から生まれたイマジナリと呼ばれる“誰にも見えない少年”ラジャーと仲間たちが、愛する人と家族を救うために冒険を繰り広げる。

 西村プロデューサーは、イベントの最後のあいさつで「僕の友達の話をしたい」と、2018年に亡くなった高畑勲監督について語った。「僕には年の離れた友達がいたんです。40歳ぐらい離れていました。高畑勲という監督なんですけど。一度、(高畑監督の)奥さんが交通事故に遭った時に病院に行ったんです。そこで『ご関係は?』と聞かれて、とっさに『友達です』と言って通してもらったんです。その時は『友達と言うから誰かと思った』と高畑監督は笑ってくれたんです」と思い出を振り返った。

 「その監督の作品が僕は小さい頃に大好きで、それでスタジオジブリに入りまして、運良くというか、奇跡があって、その監督と一緒に『かぐや姫の物語』という作品をご一緒しました。高畑さんとは実は『もう一本映画を作ろうね』という約束をしていたんです。もう自分がジブリを去った後だったんですけど。その後、高畑さんは亡くなってしまって、作ることができなかったんです。高畑さんという監督がいなかったら僕はアニメーションの仕事をしていなかったし、ここにいる百瀬監督とも出会っていない。この『屋根裏のラジャー』という作品は生まれていなかったし、ここにいる素晴らしい俳優の方とも出会っていなかったと思います。人はいずれ消えていくんですけど、そこに何が残るのかということを考えながらずっとこの作品の企画をしていました」と語った。

 「実はきょう、関係者の方にお願いをして一席分だけ、僕の“イマジナリフレンド”である、“イマジナリ高畑勲監督”のために席を用意してもらって、作品を見てもらうんです。なので、一番手厳しい僕らの先輩が見てくれる。皆さんもイマジナリフレンドがいる方は、横に座っていると思うのですが、ぜひ友達と一緒に見てください。一生懸命作りました。よろしくお願いします」と思いを込めた。

 イベントには、ラジャーを生み出した少女・アマンダ役の鈴木梨央さん、アマンダの母・リジー役の安藤サクラさん、イマジナリの少女・エミリ役の仲里依紗さん、怪しげな猫のジンザン役の山田孝之さん、謎の男・ミスターバンティング役のイッセー尾形さん、百瀬監督も登場した。

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