名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんの小説が原作のテレビアニメ「薬屋のひとりごと」。2023年10月から日本テレビ系で毎週土曜深夜0時55分に放送中で、1月から第2クールに突入する。シリーズ累計発行部数は2700万部以上の人気作で、アニメは美しい映像と共に、声優陣の熱演が話題になっている。人気キャラクターで、原作で“甘い蜂蜜のような声”とも表現される美形の宦官の壬氏(ジンシ)を演じている大塚剛央さんに、収録の裏側を聞いた。
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「薬屋のひとりごと」は、原作小説がヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。アニメは「魔法使いの嫁」などの長沼範裕さんが監督を務め、TOHO animation STUDIOとOLMがタッグを組んで制作する。とある大陸の華やかな後宮を舞台に、“毒見役”の少女・猫猫(マオマオ)が、美形の宦官・壬氏(ジンシ)と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。悠木碧さんが猫猫を演じる。
大塚さんが演じる壬氏は、もし女性だったら傾国と言われるほどの美形だ。
「見た目の美しさ、それを利用するしたたかさ、立ち回りのうまさと、猫猫と出会ってから現れる素の部分のギャップを感じました。演じてからは、そのギャップをもっと大きく幅を持たせていいんだと感じるようになりました。アフレコをして、素の部分の子供っぽさを思っていた以上に強く感じました。素をどれくらい見せるのか? コメディー、シリアスと幅があり、素の部分は、主に猫猫と高順によって引き出されるものですが、悠木碧さんをはじめとした先輩方が、幅のあるお芝居をされているので、ここまでやっていいんだ……どこまでいこうか?とチャレンジしながら演じています」
壬氏は原作で「甘い蜂蜜のような声」とも表現されている。アニメでは、キラキラと輝く演出も印象的だ。
「何でそんなことを書いてあるんだろう……(笑い)。普段は、声よりも中身を意識してお芝居するのですが、壬氏も自覚して使っている部分ではあるので、色目を使うシーンなどではわざと声色を変えています。『少し中性的に』『甘く』というディレクションもいただきましたし、そこを意識しています。ト書きにも『キラキラしている』『艶っぽく』と書いてあり、どんな映像になるのかを想像しながら演じさせていただきました」
作中で、壬氏は「顔だけが無駄にいい」「粘着質」などと評されることもある。
「それは猫猫の目線ですし、気持ち悪くなれ!と思いながら演じているわけではないんです。壬氏は、自分が粘着質だとは思っていないでしょうし(笑い)。結果的に、それが猫猫にとって気持ち悪い……となり、壬氏としては猫猫に対する興味、どういうふうに利用してやろう?という内心のワクワクを出せるようにと考えながら演じました」
猫猫を演じる悠木さんとの共演に刺激を受けているという。
「猫猫と一緒に収録できたことがありがたかったです。猫猫のせりふはモノローグが挟まっていることもあるのですが、壬氏にはそれが聞こえていません。分かりすぎてはいけないし、どういうことなんだ?と聞き返すせりふもありますし、流れをうまくくみ取っていこうとしました」
壬氏は、猫猫以外にも高順に素を見せることがある。高順役の小西克幸さんと共演する中で「信頼感と安心感」を感じている。
「小西さんとは同じ作品に出演したことはあったのですが、今回は初めて一緒にブースに入って収録させていただきました。小西さんのお芝居は高順としての安心感がすごくて、壬氏と高順は長年一緒にいることもあって、信頼感もあります。僕は身を任せ、安心しきって、リラックスしながら演じていました。小西さんは気さくに接してくださる方ですし、信頼感、安心感があるんです」
アニメは1月から第2クールに突入する。大塚さんに第1クールで印象的だったシーン、演技についても聞いた。
「第1話で、猫猫がひとりごとを言っていて、それを聞いた壬氏が振り向くシーンが美しいんですよね。演じていて楽しかったのは、高順とのシーンです。壬氏がかんざしを挿しっぱなしにして、『いけねえ』と言うシーンでは、リラックスして、高順への安心感を感じながら演じさせていただきました。楽しかったです。壬氏の子供っぽい面も見えたかと思います。壬氏は、猫猫に対してあまり気張らずに素で接していて、『私』ではなく『俺』と言うシーンもあるのですが、美しい壬氏を演じている感覚を一回忘れて、素で接する意識がありました。あの辺りから壬氏の幅が広がっていて、面白いところでした」
美しい映像も話題になっている。
「色の種類が豊富で、度々出てくる夕日のシーンもよく見ると、シーンによって色合いが全然違って、この色合いの時はどういう心情を表しているのだろう?と考えるんですよね。映像ももちろんですが、音もすごく細かくて、監督は、アクションものと同じくらいの効果音が付いているとおっしゃっていました。それがあるからこそ、この世界の空気感をリアルに感じられますし、いろいろなカットにこだわりが詰まっていて、演出意図がすごくしっかりしているんです。監督がX(ツイッター)で書かれていたことを読んで、気付くこともありますし、何回も見たくなるような見応えのある作品です」
猫猫役の悠木さんは、大塚さんのことを「大黒柱」とも語っていた。
「人見知りなので、この現場だけではないのですが、自分からワイワイと盛り上げていくタイプではないです(笑い)。収録に臨むにあたり、すごい集中力が求められ、収録から離れれば皆さんワイワイしていますが、収録が始まるとピリッとして、いい緊張感がありました。自分もそこにしっかり乗っていけるように、集中して現場に臨んでいました」
「壬氏は独白するシーンもありますし、思考をしっかり伝えるための流れの作り方を考えていました。一つのせりふが長く、流れをすごく意識していました」と挑戦になったことも多かった。
大塚さんは、2023年に「【推しの子】」のアクア役、「AIの遺電子」の須堂光役、「SYNDUALITY Noir」のカナタ役などで大活躍した。今最も注目を集める若手声優の一人だ。声優として活動する中で大切にしていることについても聞いた。
「アニメはいろいろなセクションがあり、声優はその中の一部なので、そこをしっかり念頭に置いて仕事をしていこうとしています。アニメは、いろいろな人の力があって作られているもので、その中の一部としてやらせていただいている、感謝の気持ちを忘れないようにしようとしています。アニメーターの方やさまざまな方と接する中で、その気持ちがどんどん大きくなっています。いろんな人の力があって、この作品ができていると思うと、身が引き締まります」
第2シーズンの放送に向けて「新たな登場人物たちが鍵になってきますし、事件や問題に対するそれぞれの向き合い方が見どころになってきます。個人的には、第2クールから登場する羅漢の話を楽しみにしています。引き続き、楽しんでいただけたらうれしいです」と語る大塚さん。第2クールも熱演が期待される。
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