高畑勲監督:名作「セロ弾きのゴーシュ」は「無謀だった」 5年掛けて制作

「第2回新潟国際アニメーション映画祭」の「セロ弾きのゴーシュ」の上映会に登場した才田俊次さん(左)となみきたかしプロデューサー
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「第2回新潟国際アニメーション映画祭」の「セロ弾きのゴーシュ」の上映会に登場した才田俊次さん(左)となみきたかしプロデューサー

 新潟市内で開催中の映画祭「第2回新潟国際アニメーション映画祭」で3月17日、故・高畑勲監督の特集上映の一環としてシネ・ウインドで1982年公開の「セロ弾きのゴーシュ」が上映された。なみきたかしプロデューサー、アニメーターの才田俊次さんが同作について語った。

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 同作は、宮沢賢治の童話が原作で、1981年度の「毎日映画コンクール」で大藤信郎賞を受賞した。約5年掛けて完成した名作で、なみきプロデューサーは「いつ完成するか、どう上映するか分からなかった」「無謀だった」、キャラクターデザイン、原画を担当した才田さんは「才田君なら2カ月であがるんじゃない?と始まり、それから5年掛かった」と振り返った。

 才田さんは「イメージボードは無国籍風に描いたけど、高畑さんが『日本の風景にしましょう』とはっきり言いました。椋尾篁さんに決まり、水彩画風になりました。輪郭が一本ではなじまないので手を入れています。よく見るとギザギザしている。大勢でシステマチックにやろうとしたらできなかった」と明かした。

 才田さんが「高畑監督の神髄」と感じたのは、ゴーシュが「ドレミファ……」と演奏するシーンだといい「面倒だし、見栄えのしないカット」ではあるが、丁寧に表現しようとした。

 才田さんは、高畑監督について「『ゴーシュ』はスムーズでした。無茶苦茶なことを言うイメージもあるかもしれないけど、全然違う」と話していた。

 同映画祭は、長編アニメのコンペティション部門を設けたアジア最大級の祭典を目指し、新潟から世界にアニメという文化を発信していくのが狙い。第1回が2023年3月17日~22日に新潟市内で開催された。第2回は、3月20日まで開催される。

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