ブギウギ:スズ子、ラストステージの舞台裏 「東京ブギウギ」を生歌・生演奏にした理由 趣里は「とても集中していた」

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」最終回の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」最終回の一場面(C)NHK

 趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の3月29日に放送された本編の最終回(第126回)では、スズ子(趣里さん)の「さよならコンサート」の様子が描かれた。ステージではピアノで始まる新アレンジの「東京ブギウギ」が披露されたが、趣里さんはこのステージでバンドの生演奏に合わせて生歌でパフォーマンスした。このシーンの舞台裏などについて制作統括の福岡利武さんが語った。

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 ◇最終回は「集大成として気持ちのこもった歌に」 服部隆之も出演

 「ブギウギ」では、これまでにも多くのステージシーンが描かれてきたが、最終回では趣里さんが堂々と生歌で「東京ブギウギ」をフル歌唱した。

 この演出について、福岡さんは「これまで積み上げてきたものの集大成という意味で、生歌・生演奏にチャレンジしたいと思いました」と語る。

 「音響デザインのチーフを務める伊東(俊平)が昨年くらいから『感動的になりますから』と生歌・生演奏をやりたいと言っていて。現場に録音スタッフも追加しないといけないので負担になりますし、また歌と演奏を同時に録(と)っているので、技術的にはかなり大変なんですけれども、スタッフの熱い思いもあり、確かにその方が集大成として気持ちのこもった歌になりますので、挑戦したいと思いました」

 「さよならコンサート」は今年1月下旬に撮影。同作の音楽担当で羽鳥善一のモデルとなった服部良一さんの孫、服部隆之さんが指揮で参加した。

 「隆之さんが劇中に登場したのは今回が初めて。僕としては最後のステージは隆之さんにぜひ出ていただきたいと思っていました。(羽鳥と隆之さんとスズ子が映っているという)不思議な時空を超えたシーンですが、いろんなことを(見る人に)感じていただきたいなと思っていたので。隆之さんには喜んで出ていただけました。ただ、本当に演奏しているので本気で指揮をしなくてはいけない。かなり緊張感が隆之さんにもありましたけれど、楽しんでいただけたと思います」

 ◇キスをステージにささげるシーン「感謝を込める意味合いで」舞台演出が提案

 スズ子は「東京ブギウギ」を新アレンジで歌った。このステージでの歌唱を「全部見せたい」という思いで、最終回はタイトルバックがカットされた。

 「歌のシーンが思ったより気持ちが高ぶって長くなったので、そこを全部使いたいという思いです。『東京ブギウギ』はドラマにとって、もう一つの主題歌でもありますので。最後はちゃんとスズ子の歌にひたってほしかったので、そのあとの日常のシーンにキャストロールを出させていただきました」

 本番に臨む趣里さんは「すごく緊張していた」という。

 「撮影当日は朝から歌のレッスンをして、午前中に(本番で)歌いました。スタッフは楽しい話をして趣里さんにリラックスしてもらおうとしていましたけれど、それに対して笑顔は返されていましたが、かなり緊張されていたと思いますし、集中されていました」

 歌の場面は「趣里さんに“最後”という思いで歌って、演じていただけた。生演奏、生歌だったので、すごく緊張されたと思うんですけれども本当に素晴らしい表情で歌われたなと思います」とその演技をたたえる。

 ただ、趣里さんは「隆之さんが現場にいらっしゃって、生演奏を指揮して趣里さんの歌を聴いて一発オーケーが出たんですけれど、趣里さんがもう一回歌いたいということで2回やっています。本当に強い思いで歌われていた」と納得するまで歌ったという。

 歌い終わり、手にキスをしてそれをステージにささげる場面があった。この場面は、「舞台演出の荻田浩一さんとステージの終わり方どうしましょうと話したときに、荻田さんから『お客さんとステージに感謝を込める意味合いで』とこのアイデアをいただいた」といい、演じる趣里さんも「『感謝のステージにしたいので、とてもいい演出ですね』とおっしゃっていました。気持ちのこもったステージへのキスだったと思いますし、感動的でした」と振り返る。

 羽鳥善一を演じた草なぎさんは、このラストステージのピアノ演奏のシーンでクランクアップだった。

 「草なぎさんは本当に趣里さんと出会えてお芝居ができて良かったと何度もおっしゃっていました。趣里さんをたたえ、スズ子への思いが特別なんだなと改めて感じました」

 ◇「予想以上の実りがあった」と手応え スピンオフの可能性は?

 「歌で感動できる展開」など「ドラマ全体が予想していなかったほどの実りがあった」と福岡さんが実感を込めて語る「ブギウギ」。最終回を迎えたが、ラストに「終わり」とは打っていない。スピンオフなどはあるのだろうか。

 「ラストカットで『終わり』と打ってないのはこだわったところです。自然に終わりたかったので。まだ物語は続いていますので、何か機会があれば、ぜひにと思っています」と期待を持たせる答えが返ってきた。

 スズ子の歌手人生は終わりを告げたが、人生そのものはまだまだ続いている。俳優としてのスズ子や盟友・茨田りつ子(菊地凛子さん)との交流、その他キャストの本編で描かれなかったエピソードを、スピンオフでぜひ見てみたい。

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