解説:破天荒教師から、優柔不断な男、悪役まで 反町隆史、50歳の原点回帰と円熟味

反町隆史さん
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反町隆史さん

 1998年の大ヒットドラマの続編で、反町隆史さん主演のカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ「GTOリバイバル」が4月1日に放送された。反町さんが元暴走族の高校教師・鬼塚英吉役を約26年ぶりに演じ、大きな話題となった。そんな同作に視聴者からは、優柔不断でうだつの上がらない医師を演じた主演ドラマ「グレイトギフト」(テレビ朝日)とのギャップに驚く声もあった。現在50歳、俳優としてさらなる魅力をたたえる反町さんの活躍を振り返ってみたい。

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 ◇キーポイントとなった「相棒」 水谷豊からの学びも

 反町さんは、1994年のドラマ「毎度ゴメンなさぁい」(TBS)で俳優デビュー。「未成年」(TBS)などを経て、竹野内豊さんとダブル主演した1997年の“月9”「ビーチボーイズ」(フジテレビ)で大ブレークし、その後「GTO」の鬼塚役や、NHK大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」(2002年)の織田信長役が話題となった。

 そんな反町さんの転機となったのは、人気刑事ドラマ「相棒」(テレビ朝日)への出演だろう。「相棒」では、杉下右京(水谷豊さん)の“4代目相棒”冠城亘として、2015~22年の約7年間にわたって出演した。

 ひょうひょうとしていて一見軽そうに見えるが、頭脳明晰(めいせき)な切れ者で、時には対立も恐れず右京に真っ向から意見するなど、右京と“対等な関係”を築いていった亘。それまでの歴代相棒とは、またひと味違ったキャラクターを好演。歴代相棒の中では最多となる登場回数138回での卒業となった。

 水谷さんとの共演で学ぶところも大きかったようで、「相棒」の卒業直前には、「徹子の部屋」(テレビ朝日)で「(水谷さんから)役者としても、人間としても、十分教えていただきました」と感謝の思いを口にしていた。

 ◇新境地を開拓し続けた2020年代 そして…

 2022年の「相棒」卒業後は、同年4月から放送されたWOWOWのドラマ「今どきの若いモンは」で主演。「今どきの若いモンは」が口癖の上司と部下の姿を描く“お仕事コメディー”で、コワモテだが温かく部下(福原遥さん)を見守る理想の上司を演じ、その背中に鬼塚英吉を思い起こしたファンの声もあった。

 同年7月期には「オールドルーキー」で日曜劇場(TBS)に初出演。サッカー選手だった主人公(綾野剛さん)のセカンドキャリアを後押しする会社社長を演じた。人気アナウンサーだった主人公の妻(榮倉奈々さん)のファンを公言し、その本を読んでデレデレになる姿は「社長可愛い」「おもろい」とも話題になった。

 主人公を見守るポジションで支持を集めた反町さんだったが、翌2023年に出演した「スタンドUPスタート」(フジテレビ)では一転、竜星涼さん演じる主人公に立ちはだかる、ラスボス的なキャラクターを演じた。視聴者からは、反町さんの演技が「怖すぎる」「黒反町」と話題となり、「悪役の反町さん新鮮! こんな演技もできるのね」「今までに見たことがない反町隆史」といった声もあった。

 「相棒」卒業後も、コンスタントに連ドラに出演し、存在感を発揮していた反町さん。そして、今年1月期の主演ドラマ「グレイトギフト」では、これまでの反町さんのイメージを覆すような“うだつが上がらない病理医”役を演じ、視聴者を驚かせた。

 同作のインタビュー時には、反町さん自身も、等身大の自分とはまったく違う人物だといい「とにかく表現するのが難しい役、役者としてはすごくハードルが高いです」と語っていた。だがふたを開けてみれば、殺人球菌を巡る院内の権力闘争に巻き込まれ、どんどん頼もしくなっていく主人公を好演した。

 「グレイトギフト」で役者として新境地を開拓した反町さん。そして今回の「GTOリバイバル」では、再び鬼塚としてカムバックし、26年たっても変わらない“カッコ良さ”を見せつつ、26年前にはなかったさすがの“円熟味と振り幅”を感じさせた。

 「GTOリバイバル」の2日後に行われた会見では、続編の可能性に「もし、機会をいただけるのであれば、(今作の少しライトだった鬼塚ではなく)昔の根っこの元暴走族上がりの鬼塚を演じたいなと思いますね」と意欲を見せていたが、また鬼塚を演じてくれるなら大歓迎。もっともっと暴れて、こんな世の中に風穴を開けてほしい。

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