ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
“劇コナ”の愛称で親しまれている「名探偵コナン」の劇場版アニメ。最新作「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」が4月12日に公開される。ほぼ毎年公開され、長年にわたって愛されてきたヒットシリーズだが、前作「黒鉄の魚影(サブマリン)」で初めて興行収入が100億円を突破するなど、近年さらなる盛り上がりを見せている。アニメコラムニストの小新井涼さんが、ヒットの理由を解説する。
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昨年公開の「黒鉄の魚影」で、ついに興行収入100億円の大台を突破した劇場版「名探偵コナン」シリーズ。その最新作、劇場版「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」がいよいよ4月12日に公開を迎えます。
元々子供から大人まで高い人気を誇り、25年以上毎年のようにヒットを生み出してきた本シリーズですが、毎回興収100億円が視野に入るようになってきたのは実はここ5、6年程の話です。盛り上がりを眺めてきた人の中には、「最近のコナンなんかすごいな」と思いつつ、なぜ急にそんなことになったのかについてはイマイチピンときていない人も多いかもしれません。その背景には、一体何があったのでしょうか。
要因としては、劇場版シリーズを取り巻くいくつかのポイントが考えられます。具体的には、(1)「純黒の悪夢(ナイトメア)」以降の更なる盛り上がり、(2)本作を含めた劇場版アニメ全体のブーム、そして(3)年々力の入る作品公式側の動き、の3点です。
当シリーズが初めて興収50億円を突破し、その後毎年興収50億円を超えるメガヒットを生み出し続けるようになった先駆けは、2016年公開の「純黒の悪夢」でした。ここで大きかったのが、本作で活躍する安室透や赤井秀一の存在が広く知れ渡り、元々少なくなかった毎年劇場版「名探偵コナン」を鑑賞する層が、より一層拡大したことだと思います。「純黒」時点で既にテレビシリーズにも登場していた安室や赤井ですが、ここで普段作品を追っていなかった層にまでその存在が知られ人気を生んだことで、新たな層が改めて“劇コナ”に足を運ぶための後押しとなっていたのです。
その後、「純黒」翌年の「から紅の恋歌(ラブレター)」や、“安室を100億円の男に”と盛り上がった「ゼロの執行人」翌年の「紺青の拳(こんじょうのフィスト)」、スピンオフにもなった安室の警察学校時代の仲間が描かれた「ハロウィンの花嫁」翌年の「黒鉄の魚影」でも、変わらず興行収入は伸びてきました。このことからも、近年の盛り上がりは2016年以降の新たな盛り上がり“だけ”が要因ではなく、そもそもの「名探偵コナン」が持つ作品力あってのものであることがよく分かります。「純黒」以降の盛り上がりは、そうした元からの作品力に加えて、元来“卒業する人が少ない”と言われていた「名探偵コナン」にあっても、卒業して作品から離れていた人達を再び誘い、劇場版を追うファンをより拡大することで盛り上がりの後押しとなったのでしょう。
そこから大台100億円突破を達成するまでに、本作の盛り上がりを更に拡大した要素としては、本作を含めた劇場版アニメ全体のブームも大きいと思われます。特に2020年の劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」以降、ご存知の通り、従来は数年に1作程度であった劇場版アニメの興収100億円突破が史上類をみないほど頻発してきました。
こうした背景としては、コロナ禍での自粛からの揺り戻しや、ヒット作の頻発により映画館へ足を運ぶ頻度が増えたということが大きいですが、他にもアニメファンの間で定着してきた映画の複数回鑑賞の習慣が、来場者特典なども手伝ってコアなアニメファン以外にまで広がり定着していったこともあるのでしょう。そうして、良いと思った作品を何度も映画館で鑑賞することのハードルが下がり、さらに話題作を鑑賞する中で予告を目にする機会も増えてくることもまた、近年の“劇コナ”のメガヒットの大きな後押しとなっていたのだと思います。
上記の盛り上がりを受けて、今年は異例の試写会なしでの公開や、公開日をXデーとした“キッドが日本中のあらゆるものをジャックしていくプロジェクト”が企画されるなど、作品公式側の動きに年々力が入ってきているのもポイントです。そもそも宣伝に力を入れるのは当たり前ではありますが、毎年の恒例作品でありながらマンネリ化せず、常に新鮮な仕掛けを打ってくれるのは、年々高まる観客の期待や熱量を公開前からより一層高めてもくれます。
もちろん、最終的にはそうして高まる人々の期待にしっかり応える作品本編の面白さがあってこその毎年のヒットであることは間違いありません。そこに加えて、上記の、作品を取り巻く観客層の拡大や劇場版アニメブームという“後押し”、そして観客の期待を高める作品公式側からの“予告状”的宣伝が合わさり、劇場版「名探偵コナン」は現在、毎年大台を狙えるほどの超ビッグタイトルとなってきたのでしょう。
こうした中迎える今年の劇場版作品は、一体どれほどの反響を生むのでしょうか。公開まで隠された原作でも明かされていないという“とある秘密”の真相含め、その盛り上がりからは今年も目が離せそうにありません。
こあらい・りょう=KDエンタテインメント所属、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約10年前から継続しつつ、学術的な観点からもアニメについて考察・研究し、大学や専門学校の教壇にも立つ。アニメコラムの連載をする傍ら、番組コメンテーターやアニメ情報の監修で番組制作にも参加している。
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