花江夏樹:「鬼滅の刃」炭治郎を演じて5年 「心の支えに」 プレッシャーより「誇らしい気持ち」

「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎を演じる花江夏樹さん
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「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎を演じる花江夏樹さん

 吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」。アニメは今年、5周年を迎える。5月12日からは、新作テレビアニメ「柱稽古編」が放送をスタートし、鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)との戦いに備えた柱稽古が描かれる。2019年から主人公・竈門炭治郎を演じてきた声優の花江夏樹さんに炭治郎役への思い、「鬼滅の刃」の魅力を聞いた。

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 ◇「鬼滅の刃」の「濃い5年間」 炭治郎を「迷いなく」演じられるように

 「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの累計発行部数は1億5000万部以上。

 テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」の興行収入が国内歴代1位の記録となった。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月に放送された。新作テレビアニメ「柱稽古編」が、フジテレビ系で5月12日から毎週日曜午後11時15分に放送される。初回は1時間スペシャル。

 花江さんは、「鬼滅の刃」で炭治郎を演じてきた5年間を「濃い5年間だった」と振り返る。

 「本当に5年間でいろいろなことがありました。アニメの本編が放送されつつ、映画も公開され、それ以外にもいろいろなイベントが開催され、グッズ展開もあり、本当に『鬼滅の刃』に携わっていない時期がないんじゃないかというくらいで。すごくあっという間に感じるのですが、濃い5年間だったなと思います。自分の中でも、テレビアニメが始まった当初と今だと、成長した部分があったり、あとは自分自身の環境が変わったりと、変化がありました」

 炭治郎を演じることが、自身の「心の支え」になっているとも感じているという。

 「やはり同じ人物をずっと演じられるって、なかなかないことなので。いろいろなアニメ作品がありますが、1クールで終わることもありますし、1話だけの登場もある。そんな中で、これだけ継続的に、アニメでもそうですし、ゲームや、いろいろなコラボレーションのアナウンスなどで、ずっと炭治郎を演じられることが、自分の中でも心の支えにもなっています」

 炭治郎を演じる上での迷いもなくなってきた。

 「炭治郎を演じていくにつれて、『こういう表現ができるんじゃないか』『このせりふはこうしたほうがいいんじゃないか』ということに対して迷いがあまりなくなって、『こうしよう、ああしよう』とすっと浮かんでくるようになっているので、そこは長くやっているがゆえの良いことだなと思います。『一つのせりふも気が抜けないな』というプレッシャーもありますが、それが頑張る原動力にもなっています。とりあえずは、今後も演じ続けられるように健康でありたいなという(笑い)」

 日本だけでなく、世界的な人気作となった「鬼滅の刃」。その主人公を演じることに対する重責も感じているのだろうか。

 「それはありますけど、それよりも誇らしい気持ちのほうがあります。炭治郎がすごく良い子なので。僕自身、『鬼滅の刃』のアニメを見ている時は、自分が演じているという感覚がないんですよね。ほかの作品では、『ここをこうすればよかったかな?』という反省会みたいなのが始まる時もあるんですけど、『鬼滅の刃』はそんな感覚がどこかにいっているような感じで炭治郎を見られるので、ちょっと不思議な存在ですね。それは、僕自身が『鬼滅の刃』がめちゃめちゃ好きなのと、長く演じているので、すごくなじんできたというのがあるんじゃないかなと」

 ◇「鬼滅の刃」の普遍的な魅力 炭治郎のように「自分ももっと頑張れる」

 花江さんは、以前インタビューで、炭治郎を演じる上で「主演の自分が『一番原作であったり、アニメであったりを好きだ』という気持ちを持っています」と語ったことがある。5年間、炭治郎を演じ、改めて感じる作品の魅力とは?

 「『鬼滅の刃』は、家族の絆であったり、きょうだいの絆みたいなものが、全部にわたって描かれていて、炭治郎と禰豆子もそうですし、(不死川)玄弥(げんや)と実弥(さねみ)、(胡蝶)しのぶとカナエ、(栗花落)カナヲであったり、いろいろな家族やきょうだいが登場する。生まれている以上やっぱり両親はいるわけですから、そういった気持ちは普遍的なものだと思いますし、どの世代でも子供だった時代があるし、親になって分かる気持ちというのがあると思います。そういった思いの大切さ、尊さみたいなものが、『鬼滅の刃』にはすごくこもっていると思います」

 普遍的なものが描かれているからこそ、「誰もが共感する部分があって、これほど幅広い皆さんに支持していただいているのかなと、すごく思います」と語る。「鬼滅の刃」の言葉の力も感じているという。

 「彼らが言っているせりふから元気や、一歩を踏み出す勇気、力をもらえるような、そんなせりふがとても多い。僕自身も、『炭治郎はこんなに頑張っているんだから、自分ももっと頑張れるんじゃないかな』と演じていて思いますし、それぐらいの気持ちでやらないと届けられないなと、常に思いながら演じています」

 ◇「鬼滅の刃」における“修業” 「柱稽古編」は重要なシリーズ

 新作テレビアニメ「柱稽古編」では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨との戦いに備え、鬼殺隊の最強の剣士・柱による柱稽古が描かれる。花江さんは「すごく重要なシリーズ」と感じているという。

 「『鬼滅の刃』は、修業の描写を大切にされているように感じていて、『竈門炭治郎 立志編』の最初のほうも炭治郎が修業をしているシーンが第3話まるまるくらいかけて描かれて、修業をして強くなっていっているのが伝わるので、すごく説得力があるんですよね。『柱稽古編』は、これまで登場回数が少なかった柱の皆さんも登場するので、大事なシリーズだなと思っています。ぜひ皆さんも、柱のお話を楽しみにしながら、気持ちを高めていってくださったらうれしいなと思います」

 これまで修業、死闘を経て強くなってきた炭治郎が、「柱稽古編」でどう成長し、新たな魅力を見せてくれるのか。花江さんら声優陣の熱い演技に注目したい。

 ※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記となる。

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