ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作テレビアニメ「柱稽古編」。5月に放送をスタートし、鬼殺隊最強の剣士・柱が本格的に登場したことも話題になっている。柱の一人、蟲柱の胡蝶しのぶを演じているのが、人気声優の早見沙織さん。第2話では、普段は冷静でしとやかな印象のしのぶが心を揺さぶられているようなシーンも描かれた。早見さんにしのぶへの思い、収録の裏側を聞いた。
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「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの累計発行部数は1億5000万部以上。
テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」の興行収入が国内歴代1位の記録となった。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月に放送された。新作テレビアニメ「柱稽古編」が、フジテレビ系で毎週日曜午後11時15分に放送中。
早見さんは、劇場上映作「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』絆の奇跡、そして柱稽古へ」の舞台あいさつで、東京での登壇のほかに、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)役の松岡禎丞さんと共に台北、香港を訪れ、「鬼滅の刃」の世界での人気を実感したという。
「世界中で多くの方々に作品が愛されているというのは、私もこの5年で何度も感じることがありました。特に今年は、初めて台北と香港にワールドツアーで行かせていただいて、現地の方の熱狂的な応援、想像以上の熱さを感じて、すごく感動したんです。それくらい世界中を魅了する作品の力を感じました。アクションシーンなど映像的に華やかで分かりやすい魅力だけじゃなく、地域を越えて皆さんが“人の物語”に対して、とてもひきつけられ、心を動かされているのだなと。その心の物語というのは、『鬼滅の刃』の軸になっている大事な要素なのだな、魅力だなと思いました」
「柱稽古編」では、鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)との戦いに備えた鬼殺隊士たちの柱稽古が描かれる。第1話では、柱合会議の模様が描かれ、早見さんは「すごく緊張しました」と収録を振り返る。
「あれだけの人数で一斉に収録するというのが、結構久しぶりでかつ珍しい状況でしたので、『以前はこんなふうに録(と)っていたな』と思い出しました。人がたくさんいて、しかも、皆さん先輩ということで、かなり緊張しました。ただ、収録が始まると、先輩たちの頼もしさを感じて、居てくださることで空気が自然に作られていく感覚も分かりました。内容はシリアスですが、現場は本当に和やかで、すてきな空間でした」
早見さんが演じるしのぶは、ほかの柱と比べ体格は劣るが、藤の花から精製した毒を武器に鬼と戦う。丁寧な口調が特徴でしとやかな雰囲気をまとっているが、姉・カナエを鬼に殺された過去があり、強い復讐(ふくしゅう)心を抱えている。カナエが生きていた頃、親に売られた栗花落(つゆり)カナヲを引き取り、育てることになった。
「柱稽古編」では、鬼殺隊のお館様こと産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)が鎹鴉(かすがいがらす)を通じて、鬼で医者である珠世(たまよ)にしのぶとの協力を提案。しのぶは柱稽古には参加しないことになり、第2話では「姉さん、私を落ちつかせて。感情の制御ができないのは未熟者。未熟者です」と必死に心を落ち着かせようとする姿も描かれた。
しのぶが動揺するシーンは珍しいように感じるが、早見さんは「しのぶさんは、根っこから常に心が凪(な)いでいて、穏やかで、優しくて慈愛に満ちている人だ、とは思わずにずっと演じている」と語る。
「『竈門炭治郎 立志編』の胡蝶三姉妹のエピソードからも分かるように、しのぶさんってすごく怒りやすいし、いつもプリプリしているところがあって、負けん気も強いし、何か言われたら言い返す強さを持っている人でもあるんですよね。それだけ外部の刺激に敏感に反応する人でもあるから、お姉さんのカナエさんよりも、心が揺れるところがある人だと思うんです。だから、感情の制御というのは、恐らく本人もすごく意識してやってきたことなのだろうなと。『姉さん私を落ちつかせて』と姉さんに心の内で助けを求めるような、あの部分だけは、過去のしのぶさんがちょっとのぞくような意識で、マイクの前で演じていました」
「竈門炭治郎 立志編」の初登場の時から、早見さんは、内に秘めた感情を抑えるしのぶを繊細に表現してきた。
「そのバランス感をどうやるのかは、(竈門炭治郎 立志編の)最初のアフレコに行く時までそんなに決め込んでいなくて。最初のアフレコの時に、スタッフさんから、しのぶの腹の内ではどんなことを考えているのか分からない謎めいた感じや、ちょっと怪しい雰囲気が表に見える塩梅(あんばい)を『もう少し増やしていいです』というようなディレクションをいただきました。なので、感情の制御を120%完璧にこなしている人というよりかは、本人はそうしている中でも、どこか中身は漏れ出るのだろうなと思って。序盤は特に、そのちょっとした違和感みたいなものは、自分の中に持っておきたいなというのはありました。そういう土台があった上で、しのぶさんが笑っている時も、純度100の真っすぐで笑顔になっているんじゃない、と意識していました」
早見さんは、そんなしのぶを演じながら「すごく熱くて格好いい人」と魅力を感じているという。
「『未熟者』と自分で言っているけど、しのぶさんは、いろいろな意味での未熟さをずっと内側に抱え続けていて、『未熟じゃなくいなければ』と自分に言い聞かせていた部分もあるのかなと思います。でも、すぐにそうなれるかと言ったら、そんなことはなくて、強い意志で変えてきた部分もあるのではないかと。その未熟さがあって、揺れ動いてしまうところが、しのぶさんが見ている人をひきつける要素でもあるのかなと思います」
「柱稽古編」第2話では、しのぶとカナヲが姉妹として、師弟として会話するシーンが描かれた。早見さんは、カナヲを演じる上田麗奈さんとの収録で、「引き出されるものがあった」と振り返る。
「これまでは、しのぶとカナヲの二人きりのシーンが描かれることがあまりなかったんです。カナヲと二人のシーンは、全然気持ちが、空気が違うというか。やはりカナヲと二人でしゃべっているところは、しのぶのカナヲへの優しい気持ちとか、核心の部分を『この人になら話せる』という信頼を感じました。柱合会議のピリッとした空気とはまた違う、『大事なことを大切な人に話す』空気みたいなものが流れていたなと。これまで築き上げてきた胡蝶三姉妹の軌跡があるからだとは思うのですが、本当に麗奈ちゃんがしのぶさんに対する真っすぐな思いを言葉に乗せて掛け合いしてくださったので、私も引き出されるような形で、二人で収録することができました」
第2話は、しのぶがカナヲに対して「私の姉、カナエを殺した鬼について話したいと思います」「そしてその鬼の殺し方について話しておきましょう」と告げる衝撃的なラストシーンが描かれた。
「あの最後のシーンは、どんなふうに言うかで表現や、見え方がかなり変わってくるシーンだと思いました。それこそ、どこで句読点を打つのか、どれくらいの強さで言うのか、テンションはどうか、といろいろ試行錯誤して録った印象があります」
熱さ、激しさを秘めたしのぶを細やかに演じる早見さん。今後、しのぶたち柱、鬼殺隊がどのようなドラマを見せてくれるのか。声優陣の熱い演技からも目が離せない。
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記となる。
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