雨宮天×羊宮妃那:タイGLドラマ「ギャップ・ザ・シリーズ」インタビュー(2) キス音を必死に研究!? 吹替ならではの難しさ

タイのガールズラブドラマ「ギャップ・ザ・シリーズ」の日本語吹き替え版で声優を務める雨宮天さん(左)と羊宮妃那さん
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タイのガールズラブドラマ「ギャップ・ザ・シリーズ」の日本語吹き替え版で声優を務める雨宮天さん(左)と羊宮妃那さん

 インタビュー(1)の続き 2022年にYouTubeで配信を開始したタイの人気GL(ガールズラブ)ドラマ「ギャップ・ザ・シリーズ」の日本語吹替版が、アニプレックスのGL作品の新ブランド「aLiL」の第1弾として、9月16日にDMM TV、TELASA、FODほかで配信を開始した。クールな女社長のサムと、子供時代にサムに命を助けられて以来、ずっとサムに憧れ、新入社員としてサムの会社に入社したモンの恋模様が描かれ、全12話のYouTube再生回数は8億回を突破するなど人気を集めている。日本語吹替版で、サムとモンを演じるのが、人気声優の雨宮天さん、羊宮妃那さん。二人に収録の裏側や、作品の魅力を聞いた。

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 ◇キス音に苦戦 「いっぱい調べて検索履歴が大変なことに」

 --アニメと外国作品の吹替で違いを感じたところは?

 雨宮さん いろいろ違うなとは思うんですけど、吹替では、口のノイズとか息をしっかりと入れるんですよね。それは台本にも指定があって、「口」と書いてあると、「ぱっ」だとか口を開ける時のノイズを入れなくちゃいけない。あと、息を吸う、吐くタイミングも指定があって、「すっ」とブレスの音をしっかり入れていかないといけないので、それをやりながら自然にせりふを言うっていうのが、アニメとの大きな違いかなと思います。キス音も自分でやりますし。アニメもなくはないですが、そんなに自分でキス音をいっぱいやるっていうこともないし、しかも指定があるからその通りにやらなくちゃいけないのが、結構難しいかなと思います。

 羊宮さん 私は、本格的に吹替版に挑戦するのは初めてだったのですが、台本の読み方から全然違いました。キスに関しては、アニメだときれいなリップ音のほうが良かったりするんですけど、吹き替えだと、その都度(演者の)体勢とか、いろいろなものの兼ね合いで、きれいに出さないほうがいいところもあって。どういう音が求められるのか本当に分からなさすぎて。でも、引き出しがない状態で現場に行くのも怖いと思って、いっぱいネットで音を調べて、検索履歴が大変なことになって。

 雨宮さん (笑)。

 羊宮さん いろいろな調べ方をしました。とにかく出てきてほしくって。特にリップ音はたくさん調べて。

 雨宮さん えっ? 「リップ音 立て方」とかで検索するの?

 羊宮さん それもありますし、「作品 キス 多め」とか。

 雨宮さん めちゃくちゃ面白い!(笑)。

 羊宮さん あとは、ここでは言葉にできないようなものもいっぱいあって……。履歴が大変なことになっちゃって、1回全部削除しました。

 --かなり研究をされたんですね。では、役作りの面で吹替とアニメで違いはありましたか。

 雨宮さん 私は、可愛くなりすぎないように気をつけるというのがすごくありますね。実写の人に声を当てるとなると、そこが大きくアニメと違うなって。声の平均年齢が全然違うなと思うんです。アニメは、可愛らしい声とか、わりと幼い声のキャラクターがたくさんいる印象ですけど、外画となると、役者さんも落ち着いた声ですし、普段アニメで出しているような声でやってしまうと、実写の人間の像からかけ離れていくところがあるから、「可愛い音になりすぎないように気をつけなきゃな」と、結構意識しました。そこが大変なところでもありました。

 羊宮さん 私も、アニメよりも吹替のほうが、言い回しがたくさんあるなという印象があって。それこそ、1人の人間がしゃべっているところに吹替をしていくので、ニュアンスが少しでも変われば、ちょっと優しい人とか、ちょっとお人好しな人とか、ちょっときつめの人とか、発した言葉の印象も全然変わってくるだろうなと。そこは、役作りとして気にしていました。あとは、吹替版への参加が初めてなので、とにかく尺にとらわれないというのもすごく意識しました。尺を気にしすぎて縮こまったモンちゃんになるのは嫌だなと思ったので、普段よりめちゃくちゃ意識していました。

 ◇「羊宮ちゃんはとにかくひたむき」「雨宮さんはずっとキラキラ」

 --今作では、恋人同士という役柄で共演されました。お互いの声優としての印象を教えてください。

 雨宮さん 羊宮ちゃんは、もうとにかくひたむきだなと思って。ちょっと偉そうな言い方になっちゃうんですけど、ひたむきだけど、ちゃんと自分のペースでいることを忘れないでいられるというか。そこがすごい強みなんだなと思って。さっき、羊宮ちゃんも言っていたけど、萎縮しちゃったりして、優先するものがお芝居じゃなくて「失敗しないこと」になっちゃうと、ちょっと違うものになってしまうというのをちゃんと分かっているというか。ちゃんと自分のペースを自分で作ってお芝居して、どうするべきかを考えて、すごくひたむきに役や作品に向き合っているんだなって感じました。

 --お話を聞いていると、モンとちょっと似ているような。

 雨宮さん そうですね。確かにモンもひたむきで、ちゃんと優先順位を見失わない感じですよね。

 羊宮さん すごく恐れ多くもあり、でもすごくうれしいです。やっぱり評価されるものって、世間に出るものだけになってしまうとは思うんですけど、それでも、ご一緒してくださる雨宮さんからそんなお言葉をいただけるなんて、本当にうれしいですし、これからも頑張ろうってなります。ありがとうございます。

 雨宮さん いや、こちらこそ(笑)。

 --羊宮さんが感じる雨宮さんの魅力は?

 羊宮さん 雨宮さんのことは、元々当たり前のように存じ上げておりましたので、その印象が抜けきらないというか、本当にずっとキラキラと輝いていらっしゃる。でも、サムさんのお声を聞いて思ったんですけど、確かに声色とかトーンは冷たく聞こえるものかもしれないんですけど、でも可愛いんです、すごく!

 --羊宮さん、頭を抱えてらっしゃいますが、それほどに可愛いと?

 羊宮さん そうなんです。もう最初の印象には戻ってこれないので、声が可愛いのか、お芝居が可愛いのか、定かじゃないんですけど、サムさんはすごく可愛いという印象があって。でも、不器用なんだなって思うくらい真っすぐに伝えたり、ふざける時も真っすぐふざけたりして、思わず笑ってしまいそうになったりとか。雨宮さんの声とサムさんがすごく一致して、耳からすごくサムさんのことを感じておりました。

 雨宮さんと羊宮さんが演じるサムとモンがどんな胸キュンなラブストーリーを繰り広げるのか。吹替版ならではの魅力も感じられるはずだ。

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