あんぱん:制作統括が驚いた視聴者の登美子への反応 感情移入の証し?「うれしくもある」

連続テレビ小説「あんぱん」で松嶋菜々子さん演じる柳井登美子(C)NHK
1 / 1
連続テレビ小説「あんぱん」で松嶋菜々子さん演じる柳井登美子(C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の放送がスタートして約1カ月半がたった。現時点での手応えや予想外だった反響について、制作統括の倉崎憲さんが語った。

あなたにオススメ

 ◇視聴者からの反響が「背中を押してくれている」

 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

 倉崎さんはこれまでの放送を振り返り、「初回はNHKプラスで大河ドラマ、朝ドラも含めた全ドラマで史上最高の視聴数でしたし、ご当地の高知県での総合視聴率が41.6%だったということで、数字面も含めて好スタートが切れたんじゃないかなと思っています」と手応えを語る。

 「よく感想でいただくのが、子供たちは通学時間とかぶるので夜に録画したものを一緒に見ていますという声だったり、出勤でリアルタイムでは見られないので、配信で見ていますという声。さまざまなライフスタイルが年々増えていき、多様な見方もできるようになった今、特に1日に何回も放送している朝ドラにおいて、朝8時の地上波だけのリアルタイム視聴率というのは、あくまで指標の一つにしか過ぎず、それよりも大切なのは総合視聴率であり、総視聴人数。これが当たり前になればいいと、ここ数年ずっと思っています」

- 広告 -

 倉崎さんが朝ドラを担当するのは、2020年度前期の「エール」、2021年度前期の「おかえりモネ」に続いて3作目。改めて「朝ドラは視聴者の皆さんと毎日作り上げていくものだと感じた」という。

 「毎朝のようにXなどでいろんなワードを調べているのですが、本当に皆さんの反響が楽しみですね。第1、2週で、のぶと嵩の幼少期を描きました。史実通り、のぶも嵩も幼い頃に父を亡くしていますが、喪失感があるからこそ、その先の人生で喜びもあるんだという普遍的なドラマをちゃんと作りたかったので、子役の芝居に感情移入していただいたり、いろいろな感想をいただいたり、その思いが届いたという感触はすごく感じました」

 そんな視聴者からの感想が励みになっているといい、「皆さんの一言一言が、スタッフやキャストを奮い立たせてくれています。今までの朝ドラ以上に、スタジオやポスプロに向かう我々の背中を押してくれているとしみじみ思いますね」と語った。

 ◇予想外の反応に喜び「それだけ感情移入してくださっている」

 一方で、松嶋菜々子さん演じる嵩(北村匠海さん)の母・登美子への視聴者の反応は、倉崎さんらの想像を超えるものだったという。

 史実通り、登美子は、幼い嵩を柳井家に残したまま再婚してしまう、いわゆる“ヒール役”だが、「今の時代と違って当時はそういう人も多かったと思いますし、そうせざるを得なかった、そうするしか登美子には生きる道がなかった。登美子に対して『毒親』という感想を抱いている視聴者がとても多くて、これは我々にとって想定以上の反応でした」と明かす。

 「逆に言うと、それだけ物語に感情移入してくださっているということなのでうれしくもありますね。それだけ本気で視聴者の皆さんが怒ってくれているのは、物語に入り込んで登美子に対してやるせなさを感じてもらっている証拠でもあるかと」

 そんな登美子を演じる松嶋さんとは、クランクイン前から役について話し合いを行い、「根には息子の嵩と千尋(中沢元紀さん)への愛情がちゃんとある人。(夫である)清(二宮和也さん)という大事な人を亡くして、胸にぽっかり穴があいてしまったのは間違いない」という共通認識を持っているという。

 「登美子というキャラクターについては、真の意味での嵩との和解も含めて、きちんと描いていきたいなと思っています。登美子と嵩、あるいは登美子とのぶの関係が今後どうなっていくのか、注目していただけたらうれしいです」

テレビ 最新記事