あんぱん:蘭子と豪の出征前“最後の時間”に「制作陣も号泣」 制作統括が明かす細田佳央太の起用理由とその裏側

連続テレビ小説「あんぱん」第29回の一場面(C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」第29回の一場面(C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第29回(5月8日放送)で、ヒロイン一家(朝田家)の次女・蘭子(河合優実さん)と出征が決まった若き石工・原豪(細田佳央太さん)の思いが通じ合うシーンが描かれ、視聴者の間で話題になった。この場面での河合さんと細田さんの演技や、細田さんの起用理由について制作統括の倉崎憲さんに話を聞いた。

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 ◇「1億2000万人に見ていただきたい」シーンに

 第29回では、豪の壮行会の日。蘭子はのぶ(今田さん)に背中を押され、勇気を出して豪のもとへ向かうが、互いに思いを伝えることができず、ぎこちない空気が流れる。その後、壮行会が盛大に行われ、豪は朝田家の面々に感謝。のぶたち3姉妹がよさこい節を歌って盛り上がる中、豪はたまらず席を外してしまう。

 そんな豪を追いかけた蘭子は「豪ちゃんは足が遅いき、弾に当たらんか心配や。きっともんてきてよ。きっとやのうて、絶対や」と本音を伝える。すると豪は「無事もんてきたら、わしの嫁になってください」と求婚。蘭子も「うち、おまさんのこと、うんと好きちや。豪ちゃんのお嫁さんになるがやき。もんてきてよ」と答え、互いの思いを確認しあった。

 倉崎さんはこの場面を振り返り、「我々制作陣も試写を見たとき、号泣しました。あのシーンに限らず、『あんぱん』の大きなテーマの一つとして、『もう二度と戻ってこない“今”という時間をどう生きるか?』というものがあります。現代にも続くテーマだと思っていて、 僕自身ずっとそういうものを描きたかったんです」と明かす。

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 「その象徴の一つがあのシーンで、豪が出征しないといけない、帰ってこれるかどうか分からない。2人にとって、そのときは“最後の時間”になるわけじゃないですか。だとしたら、どんな言葉をかけるべきなのか、何を伝えるべきなのか。チームとしても大事なシーンという位置づけで、細田さんと河合さんの芝居を見た時に、2人の距離感が素晴らしく、本当にこの2人だからこそ出来上がったシーンだなと感じました。たたずまいや表情を含め仕草一つ一つが、その瞬間しかない時間を、役を通して生きているのだというのがまっすぐ伝わってきました。1億2000万人に見ていただきたいシーンになりましたし、非常に手応えを感じましたね」

 ◇豪役・細田佳央太の起用理由

 豪を演じた細田さんは、柳井嵩(北村匠海さん)の弟・千尋役のオーディションに参加。このオーディションは、“次世代のエース”とも言える若手俳優数十人が集められ、ヒロインオーディションと同じように「アンパンマンのマーチ」の歌詞を1番から3番まで喜怒哀楽入り混ぜて読むなど、さまざまな選考が行われた。

 倉崎さんは「細田さんの芝居やたたずまいを見たとき、そして彼とじっくり話す中で、いわゆる寡黙な男が似合うなと思ったんです。静かに、でも胸の内にはちゃんと地に足のついたしっかりした考え、熱を持っている。その時点で、台本では豪というキャラクターが出来上がりつつあったので、絶対豪役にはまるだろうなと。でも、細田さんはすでに映画の主演など多方面で活躍されていたので、せりふが少ない役で出ていただけるだろうかという懸念がありました」と話す。

 オーディションが終わった後、倉崎さんは脚本の中園ミホさんに「出てもらえるか分からないですけど、細田さんが豪役はどうでしょう」と提案。中園さんも賛同したため、細田さんにオファーしたところ、豪役を引き受けてくれたという。

 「とにかく真摯(しんし)で真面目でストイック。そんな細田さん自身の人間性と豪のキャラクターがリンクし、これまでの演技を見ていても、豪が細田さんで良かったなとしみじみ感じています」

 出征した豪と彼の帰りを待つ蘭子。2人の恋はどのような結末を迎えるのか、今後の展開から目が離せない。

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