しあわせは食べて寝て待て:主演・桜井ユキは「期待以上だった」 制作統括も驚いた演技の細やかさと“俳優体力”

NHK「ドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』」主演の桜井ユキさん (C)NHK
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NHK「ドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』」主演の桜井ユキさん (C)NHK

 俳優の桜井ユキさん主演のNHK「ドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』」(総合、火曜午後10時)。ドラマは、5月27日に最終回を迎えるが、ここまで視聴者に好評を博してきた本作で、一生つきあう病気(膠原病)を抱えながら一人の生活者であり続けた主人公・さとこの、心の浮き沈みを繊細に表現した桜井さんの演技について、制作統括の小松昌代さんが印象を語った。

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 ドラマは、水凪トリさんの同名マンガが原作。健康、仕事、マンション、将来設計など、いろいろなくした主人公が、おいしそうな薬膳ご飯とたおやかな団地の人間関係を通して心身を取り戻していき、身近にあった自分次第の幸せに気づいていく、おなかの底からじんわりと温かくなる物語。

 桜井さん演じる主人公・麦巻さとこは、膠原病にかかり、会社を退職し、週4日のパートでギリギリの生活を送ることに。日常生活は一応送れるものの、無理をすると体が悲鳴をあげる。マンションの更新をあきらめ、家賃5万円の団地暮らしを始める。お隣に大家さんが住んでいるのでちゅうちょしたが、決め手は謎の居候、司の作ったスープと、薬膳料理だった。前の職場で受けたストレスやキズなどいろいろあるが、少しずつ少しずつ、季節の移ろいの中で、変化がおとずれる……という役どころだった。

 小松さんが、自身の作品に桜井さんを起用するのは今回が初めてだった。以前から他の出演作を見てきて、「彼女の中にそうじゃない部分がまだまだたくさんあるんだろうなとすごく思っていました」と話す。

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 「さとこって素直な人だと思うのですが、そういう意味での反応のよさが(桜井さんの演技には)ものすごくありました。今回『……』がとても多い台本で、相手のことを受けて反応する、その反応のよさはもちろんのこと、反応はするのだけど、ストレートにいまは出せない状況が彼女にはある、という部分での“揺らぎ”を、この人はどうやって表現してくれるのだろうと興味や期待がものすごくあったのですが、それ以上のことを桜井さんはやってくれたなと思っています」

 また小松さんは「桜井ユキが演じるさとこというものを、ものすごく考えて作ってくださったんじゃないかな」とも推測する。

 一方で「そのことにものすごくこだわらず、現場では相手の反応を受けての自分、というものをすごく大事にしているから、あんなにいろいろと細かい変化をつけられるんだと思いました」とも感心。

 「編集を通して見て、こんなにもこの人は細かいことをやっていたんだと分かる。シーンの中で、実は細かいことをいろいろとやってくださっているから、自然なやりとりになっているんだなと思いました。今回のドラマは、ものすごく大きな出来事に驚くとか怒るとかではなく、じわじわと気持ちにたまったものをどうやって人って出すのかが重要で、だから、そこを自然に見せるためにはとても細かいことを、桜井さんはその前後でやっているんだなと発見しましたし、きっとそうじゃないと、自然に見えるやりとりってできないんだなと。その労力をたえず見せずにいた桜井さんの、いろんな意味での体力みたいなものをものすごく感じました」

 ※……桜井さんも出演するドラマの特番「しあわせは食べて寝て待て~ありがとうSP」が、5月24日午前9時半からNHK総合で放送される。クランクアップ直後のセットに、桜井さん、宮沢氷魚さん、加賀まりこさんのメインキャスト3人が集まり、印象に残っているシーンや、反響のあったせりふについてトークを繰り広げる。

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