解説:「放送局占拠」 “マスクオフ”という絶妙な仕掛け

7月12日にスタートする「放送局占拠」のビジュアル=日本テレビ提供
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7月12日にスタートする「放送局占拠」のビジュアル=日本テレビ提供

 櫻井翔さん演じる熱血漢の刑事、武蔵三郎が、テロリスト集団に占拠された巨大施設を舞台に事件解決に奔走するドラマ“占拠シリーズ”(日本テレビ系)の新作となる「放送局占拠」(土曜午後9時)が7月12日にスタートする。人気の要因となったある要素について改めて考えてみたい。

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 「大病院占拠」は、色で分けられた鬼の面をかぶった武装集団「百鬼夜行」に占拠された大病院を舞台に、櫻井さん演じる神奈川県警刑事の武蔵三郎が人質を救うために犯人に立ち向かうというストーリー。リーダー格の青鬼を筆頭に、赤鬼、白鬼、黄鬼など10人が大病院に立てこもった。続編の「新空港占拠」でもリーダー格の龍をはじめ、蛇、鶏、牛など“獣”を名乗る10人のテロリストが空港を占拠し、武蔵と対決した。

 今回の「放送局占拠」は「新空港占拠」の1年後が舞台。警視庁の刑事部BCCTに出向中の武蔵三郎(櫻井さん)が、再び占拠事件に巻き込まれ、新たな仲間と捜査にあたる……というストーリー。般若、アマビエ、天狗など“妖(あやかし)”を名乗る9人のテロリストが公開されている。

 テロリスト集団による巨大施設への立てこもりという設定はこれまでもさまざまな作品でおなじみのシチュエーションだが、そこに新味を加えたのが「覆面」だった。もちろんそれまでの作品でもテロリストが覆面をしているケースはあったが、「覆面を外す(マスクオフ)」というシチュエーションに意味を持たせたのがポイントだった。

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 占拠シリーズは覆面テロリストを演じるキャストを事前に公開せず、オンエアで解禁するのが特徴。ストーリーが進むにつれ犯人たちが一人また一人と覆面を外して正体を明かすことで、キャストも判明するという仕掛けになっている。マスクオフによって、中だるみしそうな中盤のタイミングでもコンスタントに話題を提供できるのだ。

 そして、こうしたフォーマットが「ぐるぐるナインティナイン」の人気企画「ゴチバトル」の新メンバーや、「24時間テレビ」のチャリティーランナーなど、キャスティングで盛り上がることに長けた日本テレビから出てきたのは興味深いところだ。

 もちろんこうした仕掛けも、ドラマ自体のパワーがあってのこと。硬派な展開で人気を博した「ボイス 110緊急指令室」のスタッフが手掛けるサスペンスアクションという下地があるからこそ、メタ視点のキャスティングでも楽しめるということだろう。シリーズも3作目ということで、そろそろ視聴者の予想を裏切る“ハズし”がでてもいい頃だ。今日勃発する新たな“占拠”を見守りたい。(MANTAN/立山夏行)

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