フェイクマミー
第9話 ニセ母計画崩壊!?追い込まれた家族の決断
12月5日(金)放送分
俳優の横浜流星さん主演のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜午後8時ほか)で恋川春町(倉橋格)を演じた岡山天音さん。9月21日放送の第36回「鸚鵡のけりは鴨(おうむのけりはかも)」では、春町の“最期”が描かれた。「切腹のシーンを収録する日は、『今日が最期の日だ』と思いながら、家を出ました。俳優って(役として)何回死ぬんだろうって改めて思いつつ、でも家からそういう気持ちで収録に臨んだのは初めてでした」と明かす岡山さんが、春町の生き様と死に様を語った。
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恋川春町(倉橋格)は、小島松平家 に仕える武士で、挿絵も文章も書ける戯作者。鱗形屋から出した「金々先生栄花夢」は大ヒット、その後に続く黄表紙の先駆けとなる。親交のあった朋誠堂喜三二(尾美としのりさん)の仲介で知り合った蔦重とは、次々と作品を出すものの、時代の変わり目で発表した「鸚鵡返文武二道」が、幕府の目に留まり、思わぬ事態に……。
そして自害という道を選んだ春町。その人生を演じ切った岡山さんは「さみしさは結構あります」と心境を明かす。
「同じ戯作者とのシーンが多かったり、もちろん蔦重もそうですけど、いつものメンバーと切磋琢磨する描写が多かったので、そういう人たちと別れて、別の現場に身を置く、というのはさみしかったりします」
春町の最期が描かれた第36回の台本については「僕が読む前に準備稿の段階で、先に(喜三二役の)尾美さんが目を通していらっしゃったみたいで、『グッときた』という話をされていた」と振り返る。
「僕も春町の最期に至るエピソードでいろいろと感じることはあったのですが、亡くなったあとの周りの仕事仲間の春町への弔い方に一番感情を揺り動かされました。喜三二さんのその後の佇まいとか、すごくすてきな台本と感じました」
前述の通り、切腹のシーンを収録する日は、「今日が最期の日だ」と思いながら、家を出たという岡山さんは「自分で選択して死を選ぶ、という形でもあったので、そういうのもあっての感情」と説明する。
「だから、すごく独特な気持ちになりました。簡単に整理して、とはできないし、それをするのも違うような気がして。本当に独特の心境、自害ってそういうものなんじゃないかなって感じでした」
表現的にも「豆腐の角に頭ぶつけて」を地で行くような、岡山さんいわく「前例のない人の最期」となった。「演出もいろいろと試行錯誤されていました」と明かす岡山さん。
「台本も文字で状況が描写されているだけ。その間の動きだったりは、演出が作っていかなくてはならなかったので、腹を切ってから、どうそこ(豆腐)に突っ込むかってところは試行錯誤されていました。でも、不思議ですよね、悲しさとユーモラスな感じと、本人の人生の終わらせ方も創作っぽいというか。そういった要素が入り込んでいる死に方というのは、なかなかないので、ものすごく演じていて、脳のいろいろな部分を刺激される、興味深い収録現場でした」
挿絵も文章も書ける戯作者らしい「創作っぽい」人生の幕引きを含めて、岡山さん自身は春町の生き様をどう受け止めているのか
「お芝居なんで、実際にその人を生きている、というわけではないのですが、かりそめとして本番中は生きるつもりで演じていて、人間社会の中で生きていくのは本当に大変だよなっていうふうに思っていました。でも側から見ていて、ある種の美しさというか、チャーミングさみたいなものを感じる人だなって。戯作ってものに出会えてよかったんじゃないかなとも思っています。僕も結構、変な人なので(笑)、この仕事をしていなかったら、大変なことになっていただろうなって思ったりもしますが、それにしても春町って人は生きづらい人だなって、自分の美意識みたいなものがありすぎて。だからアーティストだと思っています」
一方で岡山さんは春町に対して「どの役とも同距離でシンパシーは感じているので、この役だから特別、というのはなかったです」と正直に話す。
「面白いキャラクターだし、愛すべき人にしたいという思いはすごくありましたが、自分に近しい何かっていうのはある種、どの役にも感じているし、どの役でもそれ以上はないというか。でも大切で大好きなキャラクターには自分の中ではなっています」
改めて、最後に“死に様”についても語ってもらった。
「ただ真剣に死ぬわけにはいかないだろうという、自分の中での信念を全うし切った死に様だと思ったし、たくさん人の生き死にが描かれる大河ドラマの中で、そこに向かっていく一人のキャラクターの姿がちゃんと描写されていることも有り難かったです。こんなに人格が投影された死に様っていうのはないのかなって感じました。なんか本当に一貫した人だなって改めて感じて、ここまで全うしようとした人なんだなって。真面目なキャラクターだとは思ってはいましたけど、ある種、狂気にも似たというか、改めて春町のスケールの大きさを感じました」
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