菅田将暉:「もしがく」で「周りから嫌われていく」演劇青年に 蜷川幸雄さんの言葉を役作りに反映

ドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」で久部三成を演じる菅田将暉さん(C)フジテレビ
1 / 5
ドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」で久部三成を演じる菅田将暉さん(C)フジテレビ

 10月1日にスタートするフジテレビ系“水10”ドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう(もしがく)」(水曜午後10時、初回30分拡大)で主演を務める菅田将暉さん。演じる役について「自分勝手で周りから嫌われていく」と話す菅田さんが、脚本を務める三谷幸喜さんとの再タッグへの思いや役作り、故・蜷川幸雄さんとのエピソードなどを語った。

あなたにオススメ

 ◇三谷幸喜と3年ぶり再タッグ キャラクターの魅力は?

 ドラマは1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷幸喜さんの青春時代の思い出を題材にしたオリジナルストーリー。若者文化の中心地として活気づく渋谷の片隅で、まだ何者でもない若者たちの苦悩と挫折、時に恋模様を“三谷ワールド”全開で描く。

 三谷さんとは、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」以来、3年ぶり2度目のタッグとなる菅田さん。三谷さんとの再タッグが決まった際の心境について「純粋にうれしかったです」と笑顔を見せる。

 「『鎌倉殿の13人』で源義経を演じさせてもらって、すごく大変だったし難しかったのですが、本当に楽しかったんです。三谷さんの書くお話は人間の感情が多面的に動いて、今回もコメディーにもシリアスにもふれるので、『それがまたできるんだ』とすごく楽しみでした。片方では爆笑して、もう片方では号泣しているようなシーンの連続なので、役者としては大変なのですが、すごくワクワクしました」

- 広告 -

 三谷さんが描くキャラクターに魅力を感じているという菅田さんは「三谷さんは、直感力がすごくて、人を本当によく見ていらっしゃると思います」と話す。

 「お話を聞くと、役者にあて書きで脚本を書いたら、その方そのものになってしまったということが結構あるらしくて。今回も、僕が演じる久部三成を含めて、あて書きの方が何人かいるようなのですが、僕自身『こんなふうに見えているのか』と少しショックを受けました(笑)」

 ◇喜劇ではなく「本当に目も当てられない悲劇」

 菅田さんが演じる久部三成は、成功を夢見る劇団演出家。蜷川幸雄さんに憧れ、理想のシェイクスピア劇を作ろうと奮闘する。そんな久部のキャラクターについて、菅田さんは「本当にバカというか……」と笑う。

 「演劇に対する熱量、蜷川幸雄先生やシェイクスピアへの愛情は本物ですが、思いが強すぎるがゆえに空回りしていて、三谷さんからも『もっと自分勝手で』『あんまり人の話を聞かなくていい』『セリフを受けすぎなくていい』と言われています。久部は本当に自分勝手で、周りから嫌われていくんです(笑)。喜劇ではなく、本当に目も当てられない悲劇だと思ってやっています(笑)」

 ドラマの舞台は、41年前の東京・渋谷。1993年生まれで現在32歳の菅田さんは「一種の時代劇だと思ってやっています」と明かす。

 「言葉の置き方や会話のラリーの速さ、ちょっと粗暴な感じとか、現代劇にはないちょっと圧のあるテンションを意識して演じています。あと、“とっぽい”感じがあるんですよね。今はタバコを吸うだけで一つのキャラクターになるけれど、この時代の人はみんなタバコを吸っているし、平気でポイ捨てもしてしまう。モラル感として、ちょっと雑な感じというか。感情表現や声量、人との距離の近さとかも、ちょっと粗めに意識してやっています」

 ◇菅田将暉の“心の師匠”は?

 そんな昭和後期の空気感を演技に取り入れている菅田さん。劇中では、久部が蜷川さんを心の師匠と尊敬する描写が出てくるが、菅田さんにとっての心の師匠は誰だろうか。

 「青山真治監督です。19歳の頃に(映画『共喰い』で)出会ったんですけど、最初に映画の現場みたいなものを、怒鳴られながら教えてもらったことが原体験としてあります。その後、幸いにも蜷川さんの元でも一本舞台をやらせていただいて、それもすごく記憶に残っていますね」

 菅田さんは、蜷川さん演出の2014年の舞台「ロミオとジュリエット」にロミオ役で出演。ジュリエットへの思いを表現するシーンを演じる際、蜷川さんからかけてもらった言葉があるという。

 「『とりあえず登れ。階段を上がれ。気持ちが高ぶったら、高いところに行け』と言われました。たしかに視覚的にも分かりやすいし、物理的にも上がろうとするエネルギーってすごく大事だったりするんですよね」

 その蜷川さんの言葉を、久部というキャラクターに反映しているという。

 「今回はその言葉を意識して、高揚したときの表現に普段のお芝居よりもちょっと演劇的な要素を取り入れました。無駄に立ち上がったり、ちょっと高いところに登ったり、身振り手振りを大きくして違和感が少し出るぐらいやっていました」

写真を見る全 5 枚

テレビ 最新記事