ばけばけ:第14回の注目度 ピークの71.0%は病床の夫婦の会話? それとも“朝ドラ名物”の立ち聞き?

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第14回(10月16日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、第14回の最高値は午前8時13分の71.0%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇最高値は午前8時13分の71.0% トキへの思いを語りあう傳とタエ

 第14回は、トキ(高石さん)が傳(堤真一さん)の看病を始めて3週間がたった。傳のためにと、司之介(岡部たかしさん)は牛乳を、フミ(池脇千鶴さん)はシジミをトキに託す。ある日、夕食を作っていたトキがけがを負い、駆けつけたタエ(北川景子さん)は、トキに代わって夕食を作ると言い出す。トキは料理を作ったことがないタエに、作り方を教えながら、しじみ汁を完成させる。育ての母と実の母。それぞれの心遣いと、トキとの関係性が丁寧に描かれた回だ。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、序盤から中盤はやや低調で、終盤に大きな“山”ができるグラフとなった。

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 この日のピークは午前8時13分の71.0%。トキがタエに、懇切丁寧にシジミ汁の作り方を教える午前8時10分台から、注目度は上昇し始める。タエがシジミ汁を作った、その夜、タエは病床の傳と、トキについて話をする。この辺りからが午前8時12分台。傳はその朝、トキからかゆを食べさせてもらったことをうれしそうに話し、「危ないところじゃった。すまぬ」と口にする。タエは「それは私もです。松野家にあの子を授けた時、二度と母親の顔は見せるまいと誓ったのに……」とつぶやく。

 ピークの午前8時13分台はこの続き。「親子としてふるまえる、そんな日がいつか来ることを、わしは願っておる」と吐露する傳に、タエは「長生きするんですよ」と語りかける。養子に出したとはいえ、実の子への愛情は変わらない。そんな当たり前のことを感じさせる夫婦のしみじみとした会話の場面だった。

 午前8時13分台の後半は、一転、傳が休む部屋の前の廊下に場面が移る。そんな2人の会話を、三之丞が外で立ち聞きしていたのだ。三之丞(板垣李光人さん)は動揺した様子でぼうぜんと立ち尽くす。肩を落とし、とぼとぼとその場を後にする三之丞の後姿が闇に消えていくのが悲しく、美しい映像だった。

 傳の病気を機に、少しずつ明らかになってきたトキの出生を巡る松野家の秘密。松野家側の思いは描かれてきたが、実の父と母である傳とタエの本当の思いが初めてきちんと感じられた場面だった。しかも、三之丞はまもなく“爆発”してしまうんだろうなと予感させた転機の場面がこの日の最高値だった。

 ◇笑い出す傳がかわいい トキに傳がかゆを食べさせてもらう場面も上昇

 ちなみに、序盤で小さな“山”ができた午前8時4分(68.2%)は、傳がタエにうれしそうに語った、かゆを食べさせてもらった場面だ。

 「私がこちらでお運びしてもよろしいでしょうか」。かゆを食べさせることを提案するトキに、最初は悩んでいるのか、何も答えない傳だが、「すまぬが、頼むとするか」と受け入れる。トキが食べさせようとかゆを口元に運ぶと、傳は笑い出してしまう。「なんだか、赤子のようで照れくさくてな」。もう一度やっても、やはり笑ってしまう。注目度がピークとなった終盤のシーンとリンクした、いいシーンだった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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