夢屋まさる:元芸人がテレ朝で20代プロデューサーに抜てき 先輩・カズレーザーと深夜バラエティー

テレビ朝日でプロデューサーとして活躍中の元お笑い芸人・夢屋まさるさん
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テレビ朝日でプロデューサーとして活躍中の元お笑い芸人・夢屋まさるさん

 「パンケーキ食べたい」のリズムネタで人気となった元お笑い芸人の夢屋まさるさん(本名・鈴木優)が現在、テレビ朝日でプロデューサーとして活躍している。月替わりバラエティー枠「バラバラマンスリー」で手がける番組「カズレーザー100%」(水曜深夜2時55分※一部地域を除く)は、MCのカズレーザーさんが“やってみたいこと”を気心知れた仲間と楽しむ内容で、奇想天外な企画がバラエティー好きの間で話題となっている。27歳という若さでプロデューサーに抜てきされた夢屋さんに、異例のキャリアと番組制作への思いを聞いた。

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 ◇エースディレクターの仕事を見て自信失い…

 夢屋さんは2016年、高校2年生の時に学生向けお笑いコンテストの挑戦を機に、芸人の道へ。2019年元日のネタ見せ番組「おもしろ荘」(日本テレビ系)で「パンケーキ食べたい」を披露してブレークした。2022年に慶応大を卒業するにあたって芸人を引退し、同年4月に新卒でテレビ朝日に入社。バラエティー制作志望だったが、入社時はビジネスプロデュース局に配属された。

 「最初は配信周りだったり、番組イベントだったり放送外収入を取り扱う仕事をしていました。テレビ朝日には当時『そだてれび』という社員なら誰でも企画を出せてコンペで通ったら放送される枠があり、仕事をしつつ企画書を出していました」

 入社1年目で企画が採用され、2023年4月には深夜のバラエティー枠「バラバラ大作戦」で、お笑いコンビ「真空ジェシカ」初の冠番組「ジェシカ美術部」の企画・構成を担当。その後も多忙な中で企画書を出し続け、入社3年目となる昨年から念願のバラエティー制作部に異動し、ADとして「ハマスカ放送部」「激レアさんを連れてきた。」に携わった。

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 「制作に異動したら驚くぐらいの忙しさでした(笑)。大変なことは多々ありましたが、好きな番組だったので楽しい思い出が強いです。特に舟橋(政宏)さんというテレ朝のエースディレクターの演出を間近で見られたのは、すごく勉強になりました」

 ただ、ディレクター業を経験する中で「自分には向いていない」と感じたという。

 「『ハマスカ』『激レアさん』ともディレクターがすごく優秀な方たちばかりで自信を失いました。そもそも機械に弱くて……(笑)。映像の色味の調整や編集がうまくできないんです。ディレクターになりたかったですが『これはどのくらい下積みを積めば一人前になれるんだろう』と思ってしまって」

 そして目指したのが、番組を統括する責任者であるプロデューサーだった。

 「細かい調整ごとは得意でしたし、芸人時代のつながりでキャスティングも少しはできるかもしれない。上司に話したら『じゃあやってみれば!』と背中を押してくれたんです。言ったもん勝ちだなと(笑)。社内でも早いと思いますが、実情社内にプロデューサーが足りていないこともあって、まだまだ力不足だとは思うのですが挑戦させていただくことにしました」

 ◇ここまで好き勝手やる深夜バラエティーはあまりない

 プロデューサーとして初めて手がけた「カズレーザー100%」は昨年9月にもバラバラマンスリー枠で放送され、今回約1年ぶりに復活した。入社して最初に提出した企画書がこの番組だったという。

 「カズさんは芸人時代の事務所の先輩で、芸人を辞めるときも最初に相談した方。今でもご飯に連れて行ってもらっています。今カズさんはクイズやコメンテーターのイメージが強いと思うのですが、個人的にはカズさんの“どうしてそんな発想が出てくるんだろう”というアイデア力が一番好きで、それをテレビで形にできないかと思って企画しました」

 番組では、「ママタルト」の大鶴肥満さんとグラビアアイドルにカーテン越しで同じ動きをしてもらい、「大鶴肥満はほぼグラドルと差がないのでは?」というカズレーザー理論を検証する企画や、まだ世間に知られていないであろう面白い芸人を推薦して誰かに名前を当てられたら即終了となる企画「ヴィンテージ面白芸人」をラインアップする。

 「カズさんが楽しそうにしている姿が見られるのはうれしいですし、他局を含めてもここまで好き勝手にやっている深夜バラエティーはあまりないのかなと。自画自賛になりますが、“何も考えず笑って見られる番組”になっていると思います。1年ぶりの復活なのでいい加減特別枠を卒業できるように、今回に掛ける思いは強いです」

 ◇芸名は「自分の武器の一つ」 

 現在もSNSでは「夢屋まさる」の名前を残している。2年前のインタビューでは「番組のPRのために残している。明日にでも消したい」と話していたが、今は考えが変わった。

 「もう残してもいいやと(笑)。下世話な話、こうして取り上げていただける機会もありますし、番組を押し上げていくのも仕事の一環。芸名と本名を並べるのも変ですし、スタッフとの打ち合わせでも話のきっかけにもなっています。いつかは消すかもしれませんが、今は自分の武器の一つとして残しています」

 人気芸人からテレビマンへ、そして20代でプロデューサーに。華やかな経歴の裏にあるのは多忙な業務の傍らでも企画書を出し続けた努力と、芸人の面白さをもっと届けたいという情熱だ。

 「今頑張ってらっしゃる芸人さんって、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの賞レースで決勝に行かないとなかなか注目されにくい状況があるのかなと個人的に思います。だからこそ、テレビとしてもう一度後押しできるような“座組”を作りたい。今回『ヴィンテージ面白芸人』という企画をやりましたが、自分を発掘してくれた『おもしろ荘』のような活躍のきっかけに少しでも力添えできる番組を作りたいです」(文・金巻健一朗/MANTAN)

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