解説:10年前のきょう放送開始の朝ドラは? “葉っぱのあんちゃん”坂口健太郎がお茶の間ブレーク のちのヒロインを2人輩出

NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説「とと姉ちゃん」Part1(NHK出版)
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NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説「とと姉ちゃん」Part1(NHK出版)

 見上愛さんと上坂樹里さんがダブル主演を務め、3月30日にスタートしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「風、薫る」。大関和(おおぜき・ちか)と鈴木雅(すずき・まさ)という2人のトレインドナース(明治時代に正規に訓練された看護師)がモチーフの、114作目の朝ドラだ。そんな「風、薫る」から時間をさかのぼること10年前のきょう(4月4日)、放送を開始した作品とは……。

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 ◇高畑充希が「ごちそうさん」からステップアップ

 2016年4月4日に始まった朝ドラとは、高畑充希さん主演の「とと姉ちゃん」だ。ドラマは、生活総合誌「暮しの手帖」創業者の大橋鎭子(しずこ)の軌跡がモチーフ。11歳で父を亡くしたことを境に家族の父代わりとなったヒロイン・小橋常子が、浜松から上京し、女性向けの雑誌を創刊。高度経済成長期を生きる女性に支持されていく……というストーリーが展開した。

 脚本は、アニメ「TIGER&BUNNY」などを手がけ、舞台・映画化もされた小説「小野寺の弟・小野寺の姉」の作者としても知られる西田征史さんが担当した。

 ヒロイン・小橋常子役の高畑さんは、2564人が参加したオーディションから選出され、ドラマスタートの約7カ月前、2015年08月31日にお披露目された。高畑さんは、杏さん主演の朝ドラ「ごちそうさん」(2013年度後期)で演じたヒロイン義妹役からのステップアップ。「とと姉ちゃん」で連続ドラマ初主演を果たしている。

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 「とと姉ちゃん」のヒロイン・常子は“おやじヒロイン”という設定で、2015年08月31日の会見で高畑さんは「普段からおやじくさいといわれることが多く、(今回の主人公が)“おやじヒロイン”といわれてビビッときた。私らしいと思った」とコメント。制作統括の落合将チーフプロデューサー(CP)は、高畑さんの起用理由を「ヒロインは、家族の父代わりとなるが、おやじっぽさを打ち出すかは分からない。おやじっぽいから選んだわけではない」と説明しつつ、「(オーディションで)アドリブに動じず、常子の背中を見ているようだった」と明かしている。

 ◇視聴率好調キープ 期間平均は今世紀3位の数字

 ドラマは2016年4月4日から10月1日まで、全156話が放送。視聴率は、“今世紀最高”だった「あさが来た」(2015年度後期)に続いて、好調をキープ。終わってみれば、期間平均で22.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ・以下同)と、「あさが来た」の23.5%、「さくら」(2002年度前期)の23.3%に次ぐ、今世紀3位の数字を記録した。

 そんなドラマ人気を支えたものの一つが、坂口健太郎さんが演じた星野武蔵の存在だ。星野は、帝大の植物学研究室で学ぶ大学生として、第4週に初登場。植物学者を目指して日々、新種探しに没頭している“植物オタク”は、青春時代の常子を支えるとともに、視聴者に癒やしを提供。恋愛下手で、互いに鈍感な常子ととんちんかんな話になることもあった“葉っぱのあんちゃん”は、大阪で研究職として呼ばれたことを機に、常子にプロポーズするが、常子は家族を支えることを選び、星野は一人大阪へ。のちに2児の父となって再登場する星野だが、出番のなかった約2カ月間、その喪失感からファンの間で“ロス”が起こった。

 結局、星野は最後まで常子と結ばれなかったものの、坂口さん自身は同役を通じて、お茶の間でブレーク。そんな坂口さんはこの5年後、「おかえりモネ」(2021年度前期)で朝ドラに再び出演。どこか理屈っぽいけど根は優しく、他者に対して、不器用ながらもとことん誠実な姿勢を見せる、若手医師の菅波光太朗を好演し、ヒロイン・百音(モネ、清原果耶さん)の相手役として、“俺たちの菅波フィーバー”を巻き起こしている。

 「とと姉ちゃん」は、向井理さんが演じた小橋鉄郎、唐沢寿明さんが演じた花山伊佐次ら、印象的な男性キャラクターも少なかった印象だが、朝ドラらしいブレークという観点では、坂口さんと、彼が演じた星野が一番だったのではないだろうか。

 ◇「森田屋」メンバーからは“NHK御用達俳優”も

 のちの朝ドラヒロインを2人輩出したことでも知られる「とと姉ちゃん」。一人は杉咲花さん、もう一人が川栄李奈さんだ。

 杉咲さんは「とと姉ちゃん」で、ヒロイン一家の三姉妹のうち、三女の美子を演じてから約4年後、「おちょやん」(2020年度後期)でヒロインとして朝ドラに“帰還”している。一方、川栄さんは「とと姉ちゃん」に深川の仕出し屋「森田屋」の一人娘・富江役で出演。その約5年後の「カムカムエヴリバディ」(2021年度後期)では、“100年のファミリーストーリー”の3人目のヒロイン・ひなたに扮した。

 アイドルグループ「AKB48」メンバー(2015年に卒業)から、朝ドラヒロインまで駆け上がった川栄さん。彼女が「とと姉ちゃん」で演じた富江は、前述の通り「森田屋」の一人娘だったが、その「森田屋」の個性豊かなメンバー(秋野暢子さん、ピエール瀧さんら)も放送時、人気を集め、ここからは“NHK御用達俳優”が生まれている。

 「在日ファンク」のボーカルを務める“ハマケン”こと浜野謙太さんのことで、「とと姉ちゃん」を皮切りに、「まんぷく」(2018年度後期)、「おかえりモネ」(2021年度前期)、「あんぱん」(2025年度前期)と朝ドラ4作に出演。もう一つの看板ドラマ=大河ドラマにも、「西郷どん」(2018年)、「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(2019年)、「どうする家康」(2023年)と、すでに3作に登場と、「とと姉ちゃん」で共演した“ミュージシャンで俳優”のピエール瀧さんの後を継ぐような形で、NHK作品への起用が(近年は一時期ほど頻繁ではないものの)目立っている。

 昨年の地上波再放送があったため、意外な気もするが、すでに本放送から10年が経過。数字(視聴率)の面では「とと姉ちゃん」を上回る作品、以降出てこなかったが、いまも、朝ドラのヒロインらが”朝の顔”であることは間違いなく、スタートしたばかりの「風、薫る」からも、人気キャラやブレーク俳優の登場を心待ちにしたいと思う。

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