お笑いコンビ「バンビーノ」の「ダンソン!」と発しながらリズムよく踊るネタ「ダンスィングフィッソン族」(ダンソン)が、インターネットを中心に大人気だ。コント日本一を決める「キングオブコント2014」(TBS系)で初出場した決勝戦で披露されてから、動画共有サイト「YouTube」には、インスパイアされた女子中高生が激しいダンスを再現したネタ動画が多数投稿され、現在「ラッスンゴレライ」でブレーク中のお笑いコンビ「8.6秒バズーカー」ともコラボするなど、知名度が急上昇している。一方で、ネタ中で日本語での説明が全くないため、謎も多い。バンビーノの2人に秘密を聞いてみた。
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バンビーノは、藤田裕樹さん(29)と石山大輔さん(30)が2008年に結成したお笑いコンビで、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。ダンソンは、キングオブコント用に作った勝負ネタで、歌と踊りで獲物をとる謎の部族・ダンスィングフィッソン族の生活を描いたコントだ。石山さんが演じるダンスィングフィッソン族が、「ダンソン!フィーザキー、ドゥーザディーサーザ、コンサ!」と激しく踊って、藤田さんが演じる「カチョーサン」「センム」などと呼ばれる獲物を呼び寄せ、近づいてきたら素早く「ニーブラ!」と叫んで首を絞める技を仕掛けて、獲物を仕留めていく……という展開。
歌と踊りは「ダンソン!~」のほか、「スーザカーザ! キーザコーン!」「フィソファソカイーノ、スイー、スイー」など、獲物によって数種類を使い分ける様子がユニークに演じられているが、ノリを楽しむリズムネタとは一線を画しており、「(リズムネタではなく)大自然での弱肉強食の厳しさを描いたネタ。シュールな“ミュージカル”」(石山さん)に近いという。
「ダンソン」をはじめとする石山さんの歌に出てくる歌詞の単語は、フランス語やポルトガル語からとった「言ってて気持ちいい造語」(石山さん)で、「ダンソン!」はフランス語で「踊りましょう」、「スーザカーザ!」は、ポルトガル語のジュースを意味する「スーコ」、家という意味の「カーザ」などをもじっているが、基本的に意味はない。
獲物の名前については「全部意味のない言葉だと、分からない人をみんな置いていってしまうので、『カチョーサン』とか『センム』とか『シャチョサン』とか、現代社会の言葉も入れた」(石山さん)。正しいセリフはなく、「みなさんが聞こえたとおりです」といい、ダンスが激しく息継ぎが大変なため、あえて正解を限定せず、時と場合でセリフを変えて対応しているという。
「ダンソン」は、2年前に石山さんが新婚旅行で訪れたタイでの体験が基になっている。「ゾウに乗りに行ったときに、ゾウ使いが竹の棒を使って柵をたたいてゾウを呼んでいた。1頭ごとに違う合図で呼んでいたのが面白かった」と相方の藤田さんに伝え、柵をたたくという合図を、見ていて面白いダンスに代えてネタにした。
単独ライブで初披露し、手応えを感じたのは、観客の笑い方が普段と違ったとき。バンビーノのファン層は30~40代の大人のお笑い好きの男女が多く、石山さんは「ネタの間は余韻の笑いがなく、静かにじっくりネタを聞いて笑ってくれるんですが、『ダンソン』のときだけ、拍手しながらの笑いになったんです。大人の拍手笑いをもらえた。おばあちゃんが手をたたいて大笑いしていたのを見たときに、決勝いけると思いました」と明かした。
「ダンソン」はキングオブコントの決勝で強烈なインパクトを残したものの、その後の約2カ月間は、大阪で披露することもなく、なんと衣装も劇場の倉庫の奥にしまいっぱなしだったという。ところが、昨年11月ごろから、ネット動画で東京都内の女子中高生らを中心に人気が出始め、「芸人の先輩から『お前ら人気出てるぞ』と言われて(動画を見せられて)」(石山さん)人気に気づいた。「こんなにまねしてくれるネタなんだと思った」が、テレビの取材やネタのオファーが来たのは、意外にも今年に入ってからだという。
人気の理由について聞いても、2人には実感が薄いといい「昨年は(8.6秒バズーカーの)『ラッスン(ゴレライ)』が世に出たから、ラッスンと似たような響きの『ダンソン』が引っかかったんじゃないか……」「ラッスンの人気が行けば行くほど、ダンソンも上がっていきました(笑い)」と語る。大阪では「バンビーノで定着している(ので、『ダンスン』とは呼ばれない)。関東の方で火がついているだけで、気持ちが難しいですね」(石山さん)と現状には戸惑っているようだが、最近は知名度が上がってきて、「大阪でもヒョウ柄を着るようになりました」と明かした。
最近では、ダンソンをエクササイズ風にレクチャーする新ネタ「みんなで踊ろう“ダンソサイズ”」も開発。ダンソンはもちろん、「記念写真」「鈴おばちゃん」といったリズムネタ以外も収録した初単独DVD「バンビーノ #ダンソン」(1944円)を31日に発売する。
2人とも「ブームに乗って踊ろう。いけるところまでいったろ!」と気持ちを引き締めており、夢は「ダンソンの海外進出(石山さん)」と掲げた。藤田さんも「外国の方の前でダンソンをやって喜ばれたとき、『ファニー!』って言われるのかと思ったら、『グッドストーリー!』って言われた。海外の方が受けると思う」と手応えを感じている。
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