石井竜也:「すきま産業」で30年 武道館ライブ、アートへの思い

デビュー30周年を迎え日本武道館でライブを行う石井竜也さん
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デビュー30周年を迎え日本武道館でライブを行う石井竜也さん

 ロックやファンク、歌謡曲に演劇の要素も融合したユニークなバンド「米米CLUB」のボーカルとして1985年10月にデビューを果たした石井竜也さん。30周年を迎えるデビュー記念日の21日には日本武道館(東京都千代田区)でライブを実施する。その模様はWOWOWで生放送されるとともに「石井竜也30周年スペシャル」と銘打ち、石井さんが監督した映画2作品やライブ映像で30年の歩みを紹介する特別番組も放送される。これまでの30年間を「すきま産業だった」と振り返るとともに、番組放送への喜びを「こんなに優しくされたことなんてなかったから、うれしくて泣けてくる」と冗談まじりに語る石井さんに、ライブへの意気込みに加え、自身の「アート」への思いなどを聞いた。

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 ◇武道館では「31年目のドア、開けたい」

 現在、9月12日の三郷市文化会館(埼玉県三郷市)を皮切りに全国5会場を巡るデビュー30周年記念ツアーを開催中の石井さんだが、ツアーファイナルとなる武道館では、これまでの公演とは違ったステージになると宣言する。「今は30年を振り返っている、まだ31年目のドアを開けてない状態。ただそれを武道館でやるのはダメだろうって。だから(武道館では)31年目のドアを“バーン”って開けちゃおうと思ってはいる。所信表明演説ってほどでもないし、どこまで未来を見せられるかは分からないんですけど、何かを期待させたいんですよね、『あいつ、何か面白いことやりそうだぞ』って」と話す。

 具体的には「ちょっと和の世界を作り上げてみようかなって思ってはいる」といい、「(武道館に飾られた)国旗もセットの一部になってしまうような。『日本人で良かったな』ってみんながなる、そんな世界観を作ることができたら最高だろうなって」と目を輝かせる。さらに「今の、56歳のオレにしか歌えない歌を届けたい」と意気込むと「いくらなんでも40曲は歌えないから、大体二十数曲くらい。昔からのファンが聴きたい曲っていうのもあるわけで、オレ自身『こういう石井竜也を聴いてほしい』って思いもあるから、そういう『隠れた名曲』も外せない。少々ネタばれしちゃうと、デビュー曲の『I・CAN・BE 』は当然セットリストに入ってくる。ただ当時のアレンジでやるつもりは全くない。今の石井竜也ならではの『I・CAN・BE 』が聴けるはず」と語ってみせた。

 ◇人一倍強いアートへの思い「必要なのはまずは勇気」

 石井さんが、30年の間で世に送り出した曲は700曲を超えるという。その一方、米米CLUBを「バンドブームではなく、演劇ブームから生まれたバンド」と表現するように、デビュー当時から音楽という枠に収まりきらないアートな活動を展開し、つねに注目を集めてきた。本人いわく「すきま産業」とは、ちょっぴり自虐めいた言葉に聞こえるかもしれないが、「クリエートしていくのに必要なのはまずは勇気。勇気しかないんです。それがわかっていないのに音楽を、アートをやっちゃダメ」と人一倍、アートへの思いは強い。

 また石井さんは「中心核にある大きな時代の流れ、いっぱい車が走っているような“大きな通り”は、もちろん分かっていたほうがいい」と前置きした上で、「自分が知らない道、すき間に入っていくのには勇気がいるし、損をするかもしれないけど、知らない道を折れたところにすっげえおいしいカツ丼屋があったらうれしいじゃないですか(笑い)。それを見つけてあげるのもアートの分野では大切なこと。お客さんがクエスチョン、計り知れない何かを感じてくれないと面白くないわけだから、これからもつねに『この人、何考えたんだろう』ってところで活動を続けていきたいですね」と最後まで熱く語った。

 番組「生中継!石井竜也 30th ANNIVERSARY CONCERT TOUR 2015 ARROWS HEAD」は、WOWOWライブで21日午後6時半に放送。そのほか同日午後1時から石井竜也さんが監督した映画「河童」「ACRI」を連続放送し、同日午後5時から「石井竜也&米米CLUB LIVE HISTORY」も放送する。

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