注目映画紹介:「ボクは坊さん。」 伊藤淳史が僧侶に挑戦 温かくて前向きになれるストーリー

「ボクは坊さん。」のワンシーン (C)2015 映画「ボクは坊さん。」製作委員会
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「ボクは坊さん。」のワンシーン (C)2015 映画「ボクは坊さん。」製作委員会

 俳優の伊藤淳史さんの主演映画「ボクは坊さん。」(真壁幸紀監督)が24日に公開される。コピーライターの糸井重里さんが主宰するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載された愛媛県今治市にある四国八十八カ所霊場の第57番札所・栄福寺の僧侶・白川密成さんのエッセーが原作で、祖父の死をきっかけに実家の寺で住職を務めることになった青年の姿を描く。仏教や僧侶を扱った映画だが、コミカルな描写を交えつつ、現代の暮らしに役立つ知恵や知識もちりばめられている。また、高野山奥の院をはじめ白川さんが住職を務める栄福寺など美しい映像も見どころとなっている。

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 書店員の白方進(伊藤さん)は、住職である祖父・瑞円(品川徹さん)が他界したことを受けて僧名・光円に改名し、四国八十八カ所霊場の第57番札所・栄福寺の住職となる。寺で生まれ育った光円だが、坊さん専用グッズや個性豊かな僧侶との出会い、檀家との意見交換など初めてのことばかり。いろいろな経験を積んでいく光円だったが、さまざまな人々の人生の節目に立ち会い、生死と向き合う中で、住職として何ができるかに思い悩む……というストーリー。

 職業ものの作品はこれまでも数多くあるが、僧侶の世界には驚かされた。僧侶は身近なようでいて、実は葬式でお経を読んでいるぐらいしかイメージできない人も多いだろうが、映画を見るとお坊さんが朝起きてから夜寝るまでの間、どのような生活をしているのかがよく分かる。寺には欠かせないアイテムがあるのは想像できたが、お坊さん専用のバリカンがあるのには思わず笑った。寺や僧侶に関する豆知識がちりばめられており、職業もの的に楽しめる要素があるのはもちろんだが、ごく普通の若者が僧侶として、また人間として生きていく成長物語としてうまくできている。人間の命と向き合う機会が多いお坊さんが主役だが、シリアスになりすぎずコミカルなシーンも織り交ぜれたゆるやかな作風で好印象。伊藤さんの誠実な雰囲気と、落ち着いた口調が役のイメージにぴったりで、作品全体に温かみを感じさせてくれる。24日からシネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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