ダイアン・キートンさんやジョン・グッドマンさん、マリサ・トメイさん、アラン・アーキンさんら名優たちが豪華競演した「クーパー家の晩餐会」(ジェシー・ネルソン監督)が19日から公開される。それぞれ秘密を抱えながらクリスマスイブに集まる4世代11人の一族を、音楽をちりばめてユーモアたっぷりのせりふに乗せて届ける。
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クリスマスイブはクーパー家の一族が年に一度集まる日だ。シャーロット(キートンさん)は、夫のサム(グッドマンさん)との離婚を決意し、最後の一家だんらんにふさわしい「完璧なクリスマス」にしようと張り切っていた。家族には離婚の話はまだ切り出していない。一方で、娘は偽物の婚約者を連れてきたことを、息子はリストラされたことを隠しており、言い出せずにいる。豪華な料理を囲んでパーティーが始まった。ワケあって遅れたシャーロットの妹エマ(トメイさん)が到着。ほどなくして宴(うたげ)の最中にアクシデントが起こり……という展開。
十分幸せなはずなのに、自分の理想を追い求めて“完璧”を目指してしまう女性がいる。美しく、優秀な人ほどそういう傾向になりそうだが、品のいい大邸宅に住むクーパー家の母親シャーロットもそういうタイプで、シャーロットの独身の妹は姉にコンプレックスを抱き続けてきたようだ。息子も娘もいい年だが、いまだに母親を失望させまいと振る舞う。息子は失業を言い出せず、娘はにわか仕立ての偽の婚約者までこしらえる始末。家族がつくうそは、気遣いの証しだが、行き過ぎも禁物だ。それを一番よく知っているのは、アーキンさんが演じるおじいちゃんで、年の差のあるお気に入りの女性に「変えるのは場所ではなく自分だ」と説く。元フォークミュージシャンのアーキンさんがウクレレを鳴らしながら歌うところは確かにすてきで、年若い子を家に連れてきても違和感がない。クリスマスムード満点の中、それぞれの過去がチラチラ見える。子どもの頃、若かった頃……。長く生きればその分、思い出も増える。しかし幸せが今ここにあるのに、それに気づかないでいるのはもったいない。そこへいくと、飼い犬のラグスは今しか見えていない。むしゃむしゃとよく食べ、愛嬌(あいきょう)たっぷり、存在感たっぷりで心和ませる。
脚本は「P.S.アイラヴユー」(2007年)のスティーブン・ロジャースさんが担当。「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(14年)でフードスタイリストを務めたメリッサ・マクソーリーさんの料理が目に楽しい。「I am Sam アイ・アム・サム」(01年)のネルソン監督が手掛けた。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほかで19日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作を日本版でリメークするなら、時はお正月、橋田壽賀子さんの「渡鬼」風に……と思った。
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