Kiroro:「Best Friend」を15年ぶり再録 さまざまなことを乗り越え「今すてきな景色が見られている」

劇場版アニメーション「アーロと少年」のエンド曲として「Best Friend」を15年ぶり再録したKiroroの金城綾乃さん(左)と玉城千春さん
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劇場版アニメーション「アーロと少年」のエンド曲として「Best Friend」を15年ぶり再録したKiroroの金城綾乃さん(左)と玉城千春さん

 女性2人組ユニット「Kiroro」が映画「アーロと少年」の日本版エンドソング「Best Friend~Mother Earth Version~」を収録した7年ぶりのアルバム「子供といっしょにききたいキロロのうた」を9日にリリースした。子育てから生まれた曲について、またKiroroの楽曲の魅力について聞いた。

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 ――「Best Friend~Mother Earth Version~」がディズニー/ピクサーの劇場版アニメーション「アーロと少年」の日本版エンドソングになりましたが。

 玉城千春さん:映画とこの曲のもともとのモチーフが同じだったので、声をかけていただきました。そのときは「なんて光栄なのだ!」と、興奮しました。この作品と新しい「Best Friend」が、どのようにマッチしていくか、ワクワクしました。

 金城綾乃さん:「アーロと少年」は、世代に関係なく楽しめるし、感動する作品です。キャラクターは可愛いけれど、風景なども本当にきれいで。リアリティーがあって、大人が見ても楽しめる作品。とてもシンプルストーリーなので、だからこそ心にしみ入るものがあると思いました。

 玉城さん:現実社会でぶち当たっている壁とか、これを壊せばその先にきっといい景色が見られるだろうと思うときはあると思います。そういう現実と重ねて、感情移入して見られると思いました。子どもなら、映画のように自分と向き合って強くなってほしいと思うし。いろんな世代の視点から楽しめる映画ですね。

 ――「Best Friend」を再録したのは15年ぶりとのことだそうですが。

 金城さん:アレンジがとても感動的だし、すてきなミュージシャンたちと一緒に、新しい世界を作ることができました。一つ一つ音が増えるたびに、ディズニーの音楽に近づいていくのがとてもうれしくて、すごく楽しかったです。

 玉城さん:15年前は、私はのどを痛めたりとか、いろいろあった時期でした。今回映画「アーロと少年」と出会い、「Best Friend」を新たにレコーディングしたとき、いろいろ乗り越えて来て今すてきな景色が見られているんだなって実感しました。今回は「Best Friend~Mother Earth Version~」という新しいバージョンですが、あのころの私とは違う何かが芽吹いた感覚です。

 ――その「Best Friend~Mother Earth Version~」を収録したコンセプトベストアルバム「子供といっしょにききたいキロロの歌」をリリースしました。

 金城さん:アルバムも映画と一緒で、子どもと一緒に聴きたいというテーマが、すごくうれしいと思いました。私たちも子育てをしているので、その空気感というか、状況やシチュエーションは分かる。そういうタイミングでこういう作品が出せるのはうれしいですね。子育ては、毎日がバタバタで、あっという間に過ぎていきます。その瞬間を、豊かなものにしてくれる1枚だったらいいなと思います。

 ――アルバムを聴くと、子育てにおけるいろいろなシーンが浮かびますね。

 玉城さん:曲作りの際には、私たちの場合はメッセージを込めていて。私たちの言葉を糸にして、愛情をつむいでいってほしいと思っています。このアルバムを、親子とか大切な人への贈りものとして届けてもらって。皆さんにいろんなメッセージを受け取ってもらって、愛をつむいでいってほしいですね。

 ――ボーナストラックには新録音源の「おやすみのうた」を収録しています。これは、どのようにして生まれた曲ですか。

 玉城さん:これは、私が実際に自分の子どもたちにやってあげている怖い夢を見たときのおまじないを基に歌にしています。子どものおでこに手を当て、「怖い夢を見ませんように。楽しい夢が見られますように。明日はいい日になりますように。すてきな笑顔で起きれますように」とやっていて。子どもたちを安心して寝かせてあげるためにはどうしたらいいかと考えて、編み出した技というか愛情方法なんです。

 金城さん:子どもは、触れ合いながら眠るのが安心するんですよね。だから、私も眠る間際までそばにいて、学校や幼稚園でいっぱい遊んで勉強してきて、私たちも子育てに奮闘してきたことをお互いに話して。1日頑張ったことを、親子でたたえ合うというか。それで「明日また元気に頑張れるように、寝ようか」って。うちは、そうやって一日の締めくくりみたいな話をしてベッドに入るんです。そういうことも曲には含まれていますね。

 ――親子のコミュニケーションから生まれた曲なんですね。

 玉城さん:うちはこうなんだよって、お互い2時間くらいおしゃべりをして、そのあと30分くらいでできました(笑い)。

 金城さん:今しかない、この本当に大切な時間を、たくさんのお父さん、お母さんと共有したいんです。日本だけでなく、世界中に子育てしている親御さんと小さいお子さんがいて。みんながこういう愛をつむいでつながっていったらきっとステキな世界になると思います。

 玉城さん:親もきっと愛されたいんです。大変なのは自分だけじゃないんだよって。このアルバムを聴いて、一緒に歌って踊って、気を楽に持っていただいて。

 金城さん:子育てというけれど、最近は親育てというのもあるらしくて。これは、子どももそうだけれど親にもたくさん聴いてほしいんです。

 ――Kiroroのお二人は、子育てしながらコンサート活動もしていますね。

 金城さん:2年くらい前からちょこちょこ。今回のアルバムの曲も割と歌っていますよ。

 玉城さん:一緒に口ずさめる曲もたくさんあります。「みんなあなたを愛してる」とか「Wonderful Day」とか。すてきな言霊をみんなで口にしてもらっています。

 金城さん:すてきな言葉を口にすれば、いい気が飛ぶので。

 玉城さん:言葉をたくさん発すれば発しただけ、それを一番耳にしているのは自分で、言葉は自分に返ってくるんです。それならすてきな言葉をたくさん口にしたほうがいいですよね。

 Kiroroの曲って、歌ってる自分自身を浄化してくれるんです。私は結構ネガティブな性格で、言葉も乱雑だった。でも、今回収録している「未来へ」という曲が生まれたときは、気持ちがとても前向きになれたんです。結局、自分が乗り越えていくために歌詞を書いていて、それを歌うことでどんどん自分が変わっていった感覚があって。歌うたびに癒やされて、自分が前向きになるために作っていたところがありました。だからコンサートやリハーサルで歌うたびに、いろいろなことがあっても気持ちが楽になるんです。

 金城さん:そこまで言うと、怪しいセミナーみたいだよ(笑い)。

 玉城さん:ハハハ(笑い)。

 <Kiroroのプロフィル>

 玉城千春さん(ボーカル)、金城綾乃さん(キーボード)。1995年に沖縄で結成。98年に「長い間」でメジャーデビューし、同年末のNHKの「紅白歌合戦」に初出場。昨年は、同じ沖縄出身バンドであるHYのメンバーの仲宗根泉さんを加えて新ユニット「さんご」を結成。デビューシングル「いのちのリレー」をリリースした。

 (取材・文・撮影/榑林史章)

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