最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、今さら聞けない“ブレーク芸人”の基礎知識を、本人の言葉を交えて紹介。今回は、お笑いコンビ「おかずクラブ」をピックアップする。2015年1月の「おもしろ荘」で優勝した後、テレビやメディア出演が増え、現在は「王さまのブランチ」(TBS系)など、人気バラエティー番組でもレギュラー出演している。最近では、自称お笑い界の「平愛梨」というゆいPさんが、本人から公認をもらったと明かしている。2人にブレークの心境、結成の由来などについて聞いた。
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よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属しているオカリナさん(おかりな、1984年9月28日生まれ、宮崎県出身)とゆいPさん(ゆいぴー、1986年4月28日生まれ、兵庫県出身)のコンビで、ともに2009年にNSC東京校に15期生として入学した。NSC在学中に結成した「おかずクラブ」は、もともとトリオだったがメンバーが脱退、入れ替わりで新メンバー加入もその後11年に脱退したため、その後はコンビで活動している。
名前の由来は、メンバーそれぞれがご飯のおかずに似ているとゆいPさんが思ったところからだといい、ゆいPさんは「私が唐揚げっぽい、オカリナさんが里芋の煮っころがし」と説明。「私たちに似合う名前ってちょっとダサイくらいがいいと思った」という。ちなみに、「オカリナ」という芸名も、NSCの30秒間自己表現をする時間で、30秒間オカリナを吹き続けたことから、ゆいPさんが呼び始めて定着。ゆいPさんの芸名は本名からで、「P」は「ピュア」という意味だという。
ゆいPさんは、大学卒業後の就職活動で「うそをついても分からない。要領がいい人が得をすることに心が折れてしまった」といい、「自分も好きなことしよう」と、お笑い芸人を目指した。一方、オカリナさんは、身内の病気に気づけるようにと看護師を志して、看護学校に入学したが、「ハリガネロック」(現在は解散)を見て衝撃を受けて芸人に憧れ、卒業後3年間看護師として働いた後、NSCに入学した。
コンビとなって5年目で、ゆいPさんは「バランスが良くなってきたな」と安定を実感。オカリナさんについて「お互いにイライラしていたところがあるんですが、自由気ままに生きているスタイルが面白いとやっと分かった」という。オカリナさんは「(ゆいPさんは)負けず嫌いでストイック。テレビ収録後に『何もできなかった』と反省したり、現状に満足しない人。私はなまけちゃう癖があるけど」と、ゆいPさんについて語る。
解散の危機について、ゆいPさんは「ケンカとかダメ出しで、お互い本当に嫌だなと思った時期はありますけれど、(解散を)思ったことはないですね」という。一方、オカリナさんは「トリオの時に、1人目が抜けて、入れ替わりで入ってきて、もう1回(そのメンバーが)抜けたとき、私は人と合わせるのが得意じゃなくて、ゆいPもリーダー気質ではないから、2人になったらまずいんじゃないかと思ったことがある」と告白したが、「2人の仲を持ってくれた作家さんがいたおかげで、今もコンビでやっていけてる。その人が(2人で気まずいときに)たまたま一緒にいて、クッションになってくれた。その人に会わなかったら、解散していたかも」と、危機を脱出した経緯を明かした。
ネタはコントが中心で、2人に作家を加えた3人で「いい女の映画を、私たちがそのままパロディでやったら面白い」などという発想で作っている。オカリナさん演じる“いい女”のエリカと、ゆいPさん演じる気の強い友人のすみれが登場するコント「エリカとすみれ」は、「芸人の先輩から『お前ら、腹立つなー』と言われるのが、女芸人として一番の褒め言葉だと思うんですよ。それで、『腹立つ』と言われるネタはどういう感じか、と生まれた」というゆいPさん。オカリナさんは「ゆいPが唯一、台本にして『書いてきたから』と渡してくれたネタで、初めてだったんですごく覚えていますね」と、ネタ誕生時を振り返った。
コントの登場人物はモデルがいるわけではなく、実体験でもないという。最後にゆいPさんが叫ぶオチの決めぜりふ「これがお前らの、やり方かー!」は、同ネタ初披露の際にも「決まってなくて、たまたま本番で言った(ゆいP)」ものだったという。
いろいろなバージョンがあるという「エリカとすみれ」の「下着ドロボー編」で、15年1月放送の「ぐるナイ大晦日恒例!おもしろ荘 若手にチャンスと愛を…誰か売れて頂戴SP」(日本テレビ系)優勝者に選ばれたことがきっかけで注目を集めた。テレビ露出も増え、10月には、テレビ朝日のバラエティー番組「チェンジ3」で初レギュラー出演を手に入れた。オカリナさんは「それ(優勝)を皮切りに、有名な番組にトントンと出させていただいた。『ゴッドタン』(テレビ東京系)で『キス我慢選手権』、『しゃべくり007』(日本テレビ系)、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)とか、徐々に見る人が多い番組にうまいこと出させていただいた」と、振り返る。
ゆいPさんも「一番忙しくなったのは3月からですね。そこから、結構テレビの仕事が入っている状況になった」とうなずいたが、当時は「心がおかしくなって、毎日つらかったときもありました。忙しすぎてタクシー移動ばかりだった」といい、街で声をかけられるということがなく、ブレークの実感はなかったという。
女性芸人の活躍が目立つ最近、ライバルを聞くと、ゆいPさんは「同期の横澤夏子はいい刺激」と名前を挙げ、「(「王様のブランチ」で)『物件キャッツアイ』というコーナーを一緒にやってるんですが、夏子の出す言葉だったり、目の付けどころとかすごく勉強になる」と語る。「夏子がこんなに面白いこと言ってる、私たちも負けずに、面白いこと言わなきゃと思えてありがたい。15期生でよかったな」と、いい関係を築いている様子。オカリナさんは「同期でロケをして、あんなにやりやすいことってない。ゆいPにとってはライバルかもしれないけれど、私にとってはよき同期」と、仕事仲間として認め合っている。
現在は「コアな人だけが見る番組以外に出始めたら(声をかけられるようになった)」というオカリナさん。ゆいPさんも「最近は半日休みだったり、夕方余裕ができたりするので、ご飯屋さんで急に個室に案内してくれたり、今がまさに(ブレークを)実感している感じです」と笑顔。給料は「一人暮らしして、ちょっと好きなものを買えるくらいの余裕はありますね」というが「変動がすごい。急に先月の給料の3分の1だったりする」と、芸人の実情も明かした。
ゆいPさんは女優の平愛梨さんに「似ている」と自称しているが、最近は平さん本人から「本当に連絡が来た!」といい、「(恋人の)長友(佑都)さんも認めてくれているみたいで、『彼も公認しています。一緒にテレビを見て笑ってます。本当に似てるって言ってる』と言ってくれた」と胸を張った。オカリナさんも「平さん自身もゆいPに好意的に接してくださって、お誕生日を祝ってくださったりとか、ありがたいですね」とうなずいた。それでも、“お笑い界の平愛梨”としての話題は「全然話を振られない。会見の場に最近呼ばれてないからかも。メイプル(超合金)さんやトレンディ(エンジェル)さんが呼ばれているから……?」と首を傾げる。
今後は、「私たちも三瓶さんみたいな仲介役の人を見つけなきゃ(オカリナさん)」と、仕事以外のプライベートも充実させたい様子で、ゆいPさんも「三瓶さん、シュウマイ60個おごってれくれたり、本当に優しいんで大好き!」といい、「(男性としては?)ちょっと、女性の先輩っぽいところがあるからちょっと厳しいですね。三瓶さんも『なんでおまえらに言われなきゃいけないんだ!』と思うでしょうけれど」と語っていた。
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