解説:「大河ドラマで秀吉」といえば? 誰が演じた“天下人” 初代・緒形拳から最新・池松壮亮までおさらい

2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で豊臣秀吉を演じる池松壮亮さん (C)NHK
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2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で豊臣秀吉を演じる池松壮亮さん (C)NHK

  俳優の仲野太賀さん主演の2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合、日曜午後8時ほか)が、1月4日にスタート。同日放送の第1回「二匹の猿」では、状況によってコロコロと言動を変えつつ、いざとなったら躊躇せずに人を殺めるなど、池松壮亮さん演じる藤吉郎の姿も注目を集めた。ご存知、のちの豊臣秀吉で、戦国ものには欠かせない“天下人”。池松さんに至るまで大河ドラマでは誰が演じてきたのか、おさらいしたいと思う。

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 ◇「太閤記」当時まだまだ無名だった緒形拳 「黄金の日日」で再登板

 1963年に始まり、長い歴史を持つ大河ドラマ。初めて戦国を舞台に描かれたのが、1965年の「太閤記」だ。同作で、主人公の秀吉を演じたのは緒形拳さん。当時27〜28歳、まだまだ無名だった緒形さんはこの抜てきにより、以降は大河ドラマの“常連俳優”の1人となっていった。

 次に秀吉が大河ドラマに登場したのは、1969年の「天と地と」。同作で浜田光夫さんが秀吉役を務めると、その後は1971年の「春の坂道」で中村芝鶴さん、1973年の「国盗り物語」で火野正平さん、1981年の「おんな太閤記」で西田敏行さん、1983年の「徳川家康」で武田鉄矢さん、1987年の「独眼竜政宗」で勝新太郎さんが“秀吉俳優”として大河ドラマの歴史に名を刻んだ。

 その多くが「名優」と呼ぶにふさわしい役者ばかり。ちなみに1978年の「黄金の日日」では、“初代”の緒形さんが秀吉役で再登板している。

 ◇「大河ドラマで秀吉」といえば? “目が笑っていない”や“歴代最恐”も

 平成以降の大河ドラマに目を向けると、藤岡琢也さん(1989年「春日局」)、仲村トオルさん(1992年「信長 KING OF ZIPANGU」と1993年「琉球の風」)、竹中直人さん(1996年「秀吉」と2014年「軍師官兵衛」)、香川照之さん(2002年「利家とまつ」)、柄本明さん(2006年「功名が辻」)、笹野高史さん(2009年「天地人」)、岸谷五朗さん(2011年「江~姫たちの戦国~」)といった名前が並ぶ。

 仲村さんと竹中さんは、緒形さん同様、大河ドラマで秀吉を2度演じたが、印象の強さでいえば、竹中さんの方に軍配は上がる。実際、「大河ドラマで秀吉」と聞いて、竹中さんのことを思い浮かべる視聴者も多いのではないだろうか。

 そして、2016年の「真田丸」では、小日向文世さんが当時、“目が笑っていない”秀吉として大きな注目を集め、2020年の「麒麟(きりん)がくる」では、佐々木蔵之介さんが、持ち前の人懐っこさと勤勉さを武器に頭角を現していく長身で面長な秀吉に扮(ふん)し、人気を博した。

 まだまだ記憶に新しいのが2023年の「どうする家康」のムロツヨシさん。劇中では欲望の塊で、それを全開で表現し、全力で追い求めた男として描かれた。ムロさん自身も常に「狂気」をまとい、底知れない「恐怖」を視聴者に与え続けた結果、「大河ドラマ歴代最恐」との声も上がった。

 ◇初回から主人公が震え、視聴者も警戒した池松壮亮“秀吉”

 そんなムロさんの“後任”となる池松さんはこの先、どんな秀吉像を見せてくれるのか。

 「豊臣兄弟!」の秀吉は、秀長を乱世に巻き込んだ野心家の兄。尾張中村の貧しい農家で生まれ育ったが、主君である戦国武将・織田信長のもとでメキメキと頭角をあらわし、ついには天下統一を果たす……というキャラクターだ、

 第1回では、ドラマの主人公で弟の小一郎(のちの秀長、仲野さん)が、“そこはかとない恐怖”を感じ、手の震えを抑えながら「わしが恐ろしかったんは、兄者じゃ」と告げるシーンもあった。

 SNSでも同樣に「兄の藤吉郎がサイコパスであることを見抜く小一郎」「秀吉のサイコパスっぽさの片鱗がすでに」といった感想も寄せられた池松“秀吉”には、(サイコパスキャラかどうかはさておき)引き続き、注目だ。

豊臣兄弟!:【登場人物紹介】池松壮亮“藤吉郎” 信長のもとでメキメキと頭角、野心家の兄 スタートまで5日

2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で池松壮亮さんが演じる藤吉郎(豊臣秀吉) (C)NHK
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2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で池松壮亮さんが演じる藤吉郎(豊臣秀吉) (C)NHK

  俳優の仲野太賀さん主演のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合、日曜午後8時ほか)の第1回「二匹の猿」が、2026年1月4日に15分拡大で放送される。豊臣秀長を主人公に、兄・秀吉とともに強い絆で天下統一という偉業を成し遂げる豊臣兄弟の奇跡を描く。スタートまであと5日。ここでは、池松壮亮さんが演じる藤吉郎(豊臣秀吉)を紹介する。

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 藤吉郎は、小一郎(豊臣秀長)を乱世に巻き込んだ野心家の兄。

 尾張中村の貧しい農家で生まれ育ったが、主君である戦国武将・織田信長のもとでメキメキと頭角をあらわし、ついには天下統一を果たす。

 第1回「二匹の猿」は、尾張中村の貧しい農家に生まれた小一郎(仲野さん)は、田畑を耕し土とともに生きる暮らしに満足しながら日々をすごしていた。ある日、野盗の集団が村を襲い、幼なじみの娘・直(白石聖さん)が連れ去られそうになる。そのピンチを救ったのは8年ぶりに村に帰ってきた兄の藤吉郎(池松さん)だった。

 若き戦国武将・織田信長(小栗旬さん)に仕官し、大出世を夢見る藤吉郎は、小一郎に自分の家来になるよう願い出る……という内容。

ムロツヨシ:“大河ドラマ歴代最恐”秀吉が秀でていたもの 先が見える力は“通常の3倍”だった?

大河ドラマ「どうする家康」で秀吉を演じたムロツヨシさん (C)NHK
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大河ドラマ「どうする家康」で秀吉を演じたムロツヨシさん (C)NHK

  松本潤さん主演のNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)で秀吉を演じてきたムロツヨシさん。初登場時(1月29日放送の第4回「清須でどうする!」)から、どこかに「狂気」をまとい、底知れない「恐怖」を視聴者に与え続けて、いつしか「大河ドラマ歴代最恐」との声も上がるようにもなった。そんな今回の秀吉だが、結局、人として何が秀でていたのか? “天下人”を演じ終えたムロさんに話を聞いた。

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 ◇失敗したとしても、その次のことをすぐ考えられた

 ムロさんが演じた秀吉は欲望の塊で、それを全開で表現し、全力で追い求めた。そんな「戦国乱世を最も楽しんだ男」には、信長(岡田准一さん)や家康(松本さん)にはない「予知能力」が備わっていたとムロさんは考える。

 「先見性、先が見える力。将棋の名人の藤井聡太さんじゃないですけど、何手も先を読んでいた。時代はもちろん、戦うこと、人を集めること、領地をどうまとめるか、他の有力武将の倍、もしくは3倍くらい先を読んでいたと思います。秀吉は時に馬鹿にもなれるし、失敗したとしても、その次のことをすぐに考えられる。失敗を受け入れられる力を含めて、そこは他とは大きく違っていた」

 信長が明智光秀(酒向芳さん)に本能寺で討たれた際も、それ以前から毛利輝元(吹越満さん)の本拠である中国攻めから「すぐに引き返せる」準備を弟の秀長(佐藤隆太さん)に指示し、実際に“事が起こる”と素早く毛利と和議を結び、急ぎ戻り「山崎の戦い」で光秀を破って、織田家の実権を握ることに成功した。

 さらに「小牧長久手の戦い」でも、家康の前に手痛い敗北を喫したかと思いきや、相手方の大将である織田信雄(浜野謙太さん)を抱き込んで和議を迫り、自身は「関白」というポストを手に入れ、形勢を逆転。“天下人”への足場を固めた。

 「『小牧長久手の戦い』では秀吉は勝てると思って、任せた人間も間違っていなかったが、そこは家康が上手(うわて)だった。ただ、天下をとるためには、この負けを認めて、次にどうするかで、その全ての行動が早かった。秀吉は誰かが理解する前にすでに動いているし、弟の秀長とか、秀吉についてきてくれた人にはそこが見えていたと思います」

 ◇秀吉が感じた「確実に見ていたものが見えなくなる恐怖」

 ムロさんは、秀吉が他と比べて人として秀でていたものとして、この「予知能力」に加えて「計算高さ」や「自己分析能力」を挙げている。そんな恐ろしいくらいの圧倒的才能をもってして“天下人”へと上り詰めたあと、秀吉が目を向けたのが「朝鮮を従え、明国をとる」ことだった。

 「世に戦がなくなると武士は生きていけない。武士の行き場がなくなって世が乱れることも秀吉には見えていたし、それは避けたかった。そうなると次に攻めるところは日ノ本(ひのもと)のどこかというよりかは外で。みんなが一つになれるんじゃないかという思いも、どこかにはあったのかなと思います」

 ムロさんは朝鮮出兵に関して、何でも欲しがる「欲望の怪物」となった秀吉が「自分の野心がなくなることへの恐怖で動いた可能性もあると思った」と考えを明かす。その前後には、茶々(北川景子さん)との最初の子・鶴松の誕生と死、さらに拾(後の秀頼)の誕生があり、秀吉はある意味、翻弄された。

 「お子を得てしまったことで、自分の野心が分からなくなって、靄(もや)がかかって、確実に見ていたものが見えなくなる恐怖。それを自分は誰にも言えなくて、孤独になっていく。それがはたから見れば『頭がおかしくなった』『老いた』となる。自分はそう解釈して演じさせていただきました」

 それまでできていた“先読み”ができなくなり、迎えた悲しい最期。10月15日放送の第39回「太閤、くたばる」をもって退場となったムロさんだが、秀吉の死後、「嫉妬もあったが、その嫉妬を超えるほど認めていた」という家康に期待することを聞くと……。

 「天下をとった後どうするのか。家康が次の“天下人”になることは間違いなく読めている。どんな戦や争いがあったとしても、最後に“天下人”になるのは家康であろうと。天下をとった後、家康は本当に戦なき世界を作れるのか。老いた秀吉にはそこに策はなかったので、それを楽しみに逝ったのだろうなと思います」

小日向文世:“怖すぎる秀吉”生んだ「三つの意識」 大河「真田丸」でハマり役

NHK大河ドラマ「真田丸」に豊臣秀吉役で出演している小日向文世さん=NHK提供
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NHK大河ドラマ「真田丸」に豊臣秀吉役で出演している小日向文世さん=NHK提供

  俳優の堺雅人さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「真田丸」に、“天下人”豊臣秀吉役で出演している俳優の小日向文世さん。その演技は「ハマり役」「目が笑っていない」「怖すぎる」などの声が上がり、注目を集めてきた。クランクアップを迎えた小日向さんに、「真田丸」の秀吉像をどのように作り上げていったのか、振り返ってもらった。

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 「真田丸」は、真田幸村の名でも知られている戦国時代の人気武将・真田信繁が主人公で、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世を生き抜く姿を描いている。三谷幸喜さんが2004年放送の「新選組!」以来、12年ぶりに大河ドラマの脚本を手がけている。

 ◇喜怒哀楽が激しい秀吉役「役者冥利に尽きる」

 秀吉を演じて、小日向さんは「率直に言って楽しかった。やっぱり三谷さんがイメージして書いてくださったってこともあるんですけど、喜怒哀楽がハッキリしていて、ストレスがなかった。役者は両極の感情を行ったり来たりするのが醍醐味(だいごみ)ですからね。そういう意味では役者冥利に尽きますよね」と笑う。

 三谷さんからは事前に「今までにない秀吉をやってもらいます」と言われたといい、小日向さんは「子供のような無邪気さ」と「恐ろしいくらいの嫉妬(しっと)心」、そして「政治が絡んだ時の冷静さ」の三つを意識して演技に臨んだ。本格登場の第15回「秀吉」では、信繁を連れ出して遊郭で無邪気に遊んだかと思えば、側室になる前の茶々(竹内結子さん)とカルタに興じながら、茶々が親しげに視線を交わした秀吉お付きの馬廻衆・権三を嫉妬してにらみつける。そして全国の米の収穫量である石高を明確にする検地の方法を秀次(新納慎也さん)や信繁らと冷静に語るといった振り幅の大きな演技を見せた。小日向さんは「こんなにも大河ドラマではしゃいじゃっていいのかって不安だった」というが、三谷さんから「イメージ通り」とのお墨付きをもらい、「一安心した」と振り返る。

 小日向さんは「僕、もう62歳になるんですけど、無邪気な部分は人よりも出やすかった気がします。劇団時代に即興とか、いろいろなもので鍛えられましから、常に少年のように無防備に、心を空にした状態っていうのを、ずいぶん訓練させられたので、うまい具合に役立ったのかなって」としみじみ語った。

 ◇秀吉の「怖さ」とは

 また小日向さんは、自身が演じる秀吉が「怖すぎる」と言われることについて、「秀吉は、どんな些細なこともガマンをしない人なので、自分が思うように進まないと腹を立ててそれが顔に出てしまう。一方で、自分の欲がかなっていればニコニコしている子供みたいで、理性のたがが最初から外れている」といい、「ただ相手が何を考えているのか見抜くという部分は優れていた。それが“人たらし”っていうのか分かりませんけど、見抜かれているなって思う人にとっては怖いんじゃないですかね」と分析する。

 自身で演じていても「秀吉が半分、狂ったんじゃないかって、怒りに満ちたような」シーンほど印象に残っているようで、「初めて大きな怒りを表情にあらわしたのは、(第20回で)棄(すて)が生まれて壁に悪口を書かれた時。あそこで初めて秀吉が腹の底から怒ったというか。門番の親兄弟、さらに隣近所の住人まで磔(はりつけ)にしろっていうくらいですから。すごい人だなって。あれが秀吉の怖さが如実に表れていた最初のシーンだったと思います」と明かす。

 さらに「目が笑っていない」といわれることについては、「目の奥が笑わない芝居って相当、難しいと思うし、僕は笑っているつもりなんだけどね」と首をかしげる小日向さん。「そういうふうにとらえてもらえるのは、秀吉の裏の面、裏の部分っていうのを視聴者が分かっているからなんじゃないんですかね。笑っているようで、実は相手の心を見抜いているって想像してくれているというか。そこは僕の意図していないところで、(視聴者に想像させる)三谷さんの脚本のお陰なんじゃないのかな」と話した。

 ◇「みっともなく、ぶざま」な”秀吉の最期”

 ドラマは17日放送の第28回「受難」で、秀吉の甥の秀次の死が描かれた。24日放送の第29回「異変」からは、いよいよ老い衰え、死におびえ、家康の影におびえ、精神的に不安定になり“壊れていく”秀吉の最期”が徐々に描かれていくという。小日向さんは「天下を極めた男が、孤独に、ある意味みっともなく、ぶざまに死を迎えていくっていうのを、しっかりと描いたなって気がしています」と充実の表情を浮かべる。

 小日向さんは今回の秀吉の生き方から「人間の欲の深さ、行き着くところのない、止まるところを知らない人間の業(ごう)」を感じたといい、「天下統一しても何か満たされていない部分が常にあって、子供ができたことによってさらなる欲が出る。もしこの人が武士になっていなかったら、もう少しのんきに老後を送っていたかもしれないけれど、この人のことだからそれはそれで歯がゆくもあり、地団駄(じだんだ)を踏んでいたと思うし、何かやっぱりこんなにキレイな着物も着れて、周りの人間がかしずいてくれても、満たされない秀吉っていうのは、やっていてすごく感じましたね。でもこれが人間なのかな」と思いをはせていた。

 NHK大河ドラマ「真田丸」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送中。

豊臣秀吉:やるときは大胆に…人生の行く末左右する局面で見事な采配 天才的ひらめきはどこから? Eテレ「知恵泉」“選”で

12月30日放送の「先人たちの底力 知恵泉」=NHK提供
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12月30日放送の「先人たちの底力 知恵泉」=NHK提供

  歴史の先人から現代に通じる知恵を学ぶNHK・Eテレの番組「先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)」では、“選”として、12月30日午後10時から「しがらみなし!地方の底力豊臣秀吉やるときは大胆に」を放送する。番組には「ジャパネットたかた」創業者の高田明さん、モデルの市川紗椰さん、静岡大学名誉教授の小和田哲男さんが出演。

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 「賤ヶ岳の戦い」など、人生の行く末を左右する局面で見事な采配を振るって、ついには天下を手中に収めた豊臣秀吉。京の街を大改造しようとして起こった人口急増の難題に際しては誰もが思いもしない策を打って鮮やかに解決した。

 そうした天才的なひらめきは尾張の片田舎という地方の出身者だったから? 若い頃はさまざまな試練に向き合ったという実業家・高田さんらが語り合う。

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