人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」のスタッフが、第四章「水色の乙女(サーシャ)」の制作の裏側を語る「ヤマトーク<シナリオ篇>【事前収録版】」が10月17~23日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで上映された。これまで行われてきたトークイベント「ヤマトーク」を、より多くの人に楽しめるよう、事前収録した番組を劇場上映する初の試みとなった。総監督の福井晴敏さん、監督のヤマトナオミチさん、脚本の岡秀樹さんに加え、ゲストのアニメ・特撮研究家の氷川竜介さん、進行の桐生美影役の声優の中村繪里子さんが登場し、2026年2月20日から上映される第五章「白熱の銀河大戦」について語った。
第五章の特報に、ボラー連邦のベムラーゼとダーリヤが登場したことも話題になった。福井さんの「ダーリヤの眼帯は、(キャラクターデザインの)結城信輝さんのアイデアです。幼女にしようと提案されたこともあったけど、それでは目がいきすぎるので成人女性になった」と明かした。
第五章には原作にもある“連続ワープ”シーンも見られるといい、福井さんは「それで終わりません。『3199』ではこの後、さらにある動きが加わります」と匂わせた。
第五章の特報では使用されていない未公開カットも特別にお披露目された。総力戦を予感させるようなカットやヒュウガとデウスーラIII世が並ぶカットなどが公開され、福井さんは「総力戦が行われます。真ん中にいるのは遺跡戦艦のシャルバート級。金色ですが、『宇宙戦艦ヤマトIII』では同型デザインは緑色だった。第五章では緑色のものも登場すると思います」「ヒュウガとデウスーラIII世が同時発射している。感慨深いものがある」と話した。
古代進とアルフォンが対峙(たいじ)するカットも公開。福井さんが「『ヤマトよ永遠に』で、気になったのは、アルフォンと古代が直接会わないことだった。『3199』のアルフォンは、スペアボディーがあるので対決の構造を描ける。二人は何を争っているのか?」と話すように、直接対決も見どころになりそうだ。
「ヤマト3199」は全七章で、これから後半戦に突入していく。第五章のティザービジュアルのキャッチコピーは、「『まさか』が始まる。」で、どんな「まさか」が待っているのかも注目される。岡さんは今後の展開について「今まで広げてきたものが絡み合って閉じられていきます」、福井さんは「いよいよ飛ばします。予想をガンガン裏切っていく。次章は光と音のショーです。スタッフもここにきて、息が合ってきた。それが最初に爆発するのが第五章です」と話していた。
人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」のスタッフが、第四章「水色の乙女(サーシャ)」の制作の裏側を語る「ヤマトーク<シナリオ篇>【事前収録版】」が10月17~23日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで上映された。これまで行われてきたトークイベント「ヤマトーク」を、より多くの人に楽しめるよう、事前収録した番組を劇場上映する初の試みとなった。総監督の福井晴敏さん、監督のヤマトナオミチさん、脚本の岡秀樹さんに加え、ゲストのアニメ・特撮研究家の氷川竜介さん、進行の桐生美影役の声優の中村繪里子さんが登場した。
「ヤマト3199」は、「ヤマトよ永遠に」「宇宙戦艦ヤマトIII」を原作に、新解釈を加えて再構成した。第四章には、成長したサーシャが登場し、劇中では、サーシャが特殊な環境で育ったことも明かされた。福井さんは、成長したサーシャについて「急に近くに寄ったり、距離感が分かっていない。『いい加減にしなさい』と言われたらすぐに泣く。下手したらウザキャラになってしまいそうだけど、すれすれを保つ。彼女なりに考えていることを演出で見せる。その案配を意識しました」と説明。
「ヤマト3199」では、潘めぐみさんがサーシャを演じていることも話題になっている。「ヤマトよ永遠に」では、めぐみさんの母・潘恵子さんがサーシャを演じており、母から役を引き継ぐことになった。
岡さんは「最初、潘(めぐみ)さんにA、B、Cの3パターンをやってもらいました。僕は『永遠に』のサーシャにそっくりな“A”しかないと思ったけど、福井さんは“C”と言った。より人間性を感じられる“C”を選んだんです。めぐみさんのサーシャは恵子さんとそっくりと言われることがあるけど、違う思いも乗っている」と収録の裏側を明かした。
「ヤマト3199」は全七章で、第五章「白熱の銀河大戦」が2026年2月20日から上映される。
人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第三章「群青のアステロイド」の上映会「ヤマトーク付き上映会【メカデザイン篇】】」が5月8日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で開催された。メカニカルデザインの玉盛順一朗さん、福井晴敏総監督、ヤマトナオミチ監督、脚本の岡秀樹さんが登壇。玉盛さんがヤマトークに登場するのは約6年半ぶり。アリゾナの設定画などが初公開され、全天球レーダー室やヤマトなどのデザイン秘話が明かされた。
「ヤマトよ永遠に」にも登場した全天球レーダー室は、リメークシリーズでは「3199」の第三章で初登場したことも話題になっている。「宇宙戦艦ヤマト2199」からリメークシリーズに参加してきた玉盛さんが、概念や大きさなどを考えたといい、ヤマトのどこにあるのかが話題になると「第5,6甲板を貫くようにあります。『2199』の時にスペースを空けていたんです。全天球レーダー室を置くとしたらここだろうと。原作をリスペクトするとやるしかない」と説明した。
玉盛さんは「2199」からヤマトのデザインも担当してきた。「3199」では福井さんが「艦首の錨(イカリ)マークにこだわった。ペイントにしたら小さく見える。レリーフにすることで、『3199』のヤマトの面構えが見えた」とこだわったようで、玉盛さんは「力強さがほしいということで、レリーフにすることを提案しました。学生帽の校章をイメージしました」と話した。
5式空間機動甲冑の話題になると、玉盛さんは「斉藤始をイメージしていて、斉藤式とも言われている。斉藤の魂が残っていて、斉藤が守っている。そういった思いを込めています」と明かした。
福井さんは、玉盛さんについて「メカデザイナーの方は空間把握能力がすごい。その中でもずば抜けているのがカトキハジメさんと玉盛さん。線に破綻がない」と絶賛していた。
「ヤマト3199」は、1980年に公開された劇場版第3作「ヤマトよ永遠に」を原作に新解釈を加え、再構成する。福井さんが総監督を務め、シリーズ構成、脚本も担当。福井さんは、リメークシリーズの「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」でシリーズ構成、脚本を担当しており、最新作では総監督も務めることになった。全七章で、第四章「水色の乙女(サーシャ)」が10月10日から上映される。
「宇宙戦艦ヤマト」は1974年にテレビアニメ第1作が放送され、「宇宙戦艦ヤマト2」「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」なども制作されてきた。第1作をリメークした「宇宙戦艦ヤマト2199」が2012~14年、「2199」の続編「2202」が2017~19年に劇場上映、テレビ放送された。全2章の「2205」が2021、22年に劇場上映された。
「サイレントメビウス」「快傑蒸気探偵団」などで知られるマンガ家の麻宮騎亜さんと人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズには深い関わりがある。麻宮さんはマンガ家だけでなく、アニメーターとしても知られている。1996年放送の「機動戦艦ナデシコ」内の「ゲキガンガー3」の原画を最後にアニメーターとしての仕事を中断するが、2013年にテレビ放送されたリメークシリーズ第1作「宇宙戦艦ヤマト2199」で、アニメーターに復帰。以降もリメークシリーズの絵コンテ、レイアウト、ビジュアルなども手掛け、リメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」のティザービジュアルを描いたことも話題になっている。麻宮さんに「宇宙戦艦ヤマト」への思い、リメークシリーズとの関わりなどについて聞いた。
◇復帰のきっかけは出渕裕への相談
第1作となるテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」は半世紀前、1974年に放送をスタートした。大きなムーブメントとなり、その後のアニメに大きな影響を与えることになる。麻宮さんも大きな衝撃を受けた一人だった。麻宮さんが「宇宙戦艦ヤマト」に参加したのはリメークシリーズが初めてではなかった。1983年公開の「宇宙戦艦ヤマト 完結編」にも動画として参加していたという。
「放送が始まったのは小学5年生の時です。僕の田舎は当時、民放が2局しかありませんでした。『侍ジャイアンツ』が終わって、『ヤマト』の予告を見て衝撃を受けました。これは来週から見なければ!と予告でやられてしまったんです。それまで見ていたアニメとは違った。ただ、周りはあんまり見ていなかったですね。(裏番組の)『猿の軍団』を見ている人が多かったかな? 『ヤマト』はアニメ雑誌が生まれるきっかけになって、それを見てアニメーターという仕事を初めて知りました。絵を描くことで、ご飯を食べていけるのなら……とアニメーターを目指すようになったんです。アニメーターになって初めての仕事は『完結編』の動画でした」
麻宮さんは“菊池通隆”名義でアニメーターとしても活躍してきたが、マンガに集中するため、アニメーターとしての仕事を中断する。しかし、「2199」を手掛けた出渕裕監督からの直接のオファーがあり、アニメーターとして復帰することになる。
「キャラ原案をやっていた『機動戦艦ナデシコ』内の劇中アニメ『ゲキガンガー3(キャラデザインは羽原信義さん)』の原画が最後だったと思います。マンガもやっていますから。(2011~12年放送の)『仮面ライダーフォーゼ』のクリーチャーデザインをやることになり、出渕さんに相談に行ったんです。初めてのクリーチャーデザインだったし、大先輩に話を聞きにいったら、『今、実はヤマトをやってるんだよ。設定を見たい?』と言われたんです。そりゃ、見たいですよ。見たら、『見たね? この艦に乗らないのか?』と言われて(笑)。出渕さんの言うことですし、僕が断る理由が全くないですから。やっぱり『ヤマト』は特別ですし、『ヤマト』があるから今の自分がありますしね。
「2199」にアニメーターとして参加したが、最初は「浦島太郎状態だった」と振り返る。
「原画は15年ぶりくらいだったので、分からないことが多く、制作進行に用語集を出してもらいました。最初は、木星の浮遊大陸でドンパチするメカシーンでした。今だったらCGに全部お任せしてしまうけど、当時はCG制作のためのタイミングなどの参考にするために、ラフ原画を描いていました。その後もレイアウトの修正、エンディングの原画とレイアウト……といろいろなことをやりました。プロデューサーの下地志直さんは、僕がフリーランスのアニメーターになって最初に仕事をいただいた方で、基本的にお世話になった方の仕事は断らないんです。下地さんとは、葦プロダクションの『トランスフォーマー』の仕事をいただいてからの付き合いでした。僕も長く業界にいますいが、タイミングと縁があったから続けられたんだと思っています」
◇アニメーターは“引退”
「2199」の続編として2017~19年に劇場上映された「宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち」にも参加することになる。「2202」の監督を務めたのは羽原信義さんだ。麻宮さんと羽原さんは「快傑蒸気探偵団」「機動戦艦ナデシコ」「天空戦記シュラト」「超音戦士ボーグマン」などさまざまな作品で“縁”がある。
「『2202』では、羽原さんとまずはオープニングの構想を考えました。2人でファミレスで話しながら、僕がその辺にあったナプキンに、こんな感じですかね……と描いて、絵コンテのベースを作りました。レイアウト、原画、絵コンテ、版権のイラストをやっています。プラモデルのパッケージイラストも始めました」
2021年に公開された「2199」「2202」の総集編「『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択」にも参加する。
「総集編の新作シーンの絵コンテ、メカの新規カットを全部一人でやっています。レイアウト、原画も全部。総集編に参加して、自分のアニメーターとしての限界が見えてしまい……。アニメはみんなで作る総合芸術だから、ほかの人に迷惑が掛かると思い、アニメーターを辞めることにしました。もうやりません。引退です」
ファンにとっては残念でしかない“引退宣言”ではあるが、「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」や最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」にも参加している。
「『2205』ではスリーブのイラストや後章ではティザービジュアルをやらせていただき、『3199』でもティザービジュアルを描かせていただきました。そのほかに本編のディティールアップ、絵コンテを2本やって、イメージボードのようなドローイングも描いています。第一章ラストカットのヤマトは僕の絵です。ドローイングは、絵コンテなどの参考のために描いたのですが、いつかどこかで公開できる機会があればいいですね」
「3199」の第二章「赤日の出撃」のティザービジュアルには、ヤマトが発進しようとするシーンが描かれている。
「第4話の絵コンテが僕なんですが、第4話でアステロイドから出てくる発進シーンをビジュアルにしています。やや俯瞰(ふかん)気味、逆光で艦橋の辺りがブラックアウトし、窓だけが光っている。真正面のヤマトのビジュアルは珍しいかもしれません」
◇講師として教えていること
アニメーターは“引退”したものの、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」「HIGHSPEED Etoile」などの絵コンテも手掛けている。また、バンダイナムコフィルムワークスで若手アニメーターに向けて講師もしている。
「去年から毎週水曜日、新人アニメーターの育成講師をやっているのですが、僕以外の講師は現役バリバリのアニメーターの方々なので、僕はちょっと違う教え方をしています。動きはあんまり教えないんです(笑)。方法論、レイアウトやカメラなどを教えていて、毎回映画を見てもらっています。見せる前にポイントを言っています」
麻宮さんから直接指導してもらえるなんて贅沢な話で、どんな映画を見せているのかも気になるところだ。
「最近は『鉄道員(ぽっぽや)』を見てもらいました。日本映画のターニングポイントの一つになった作品だし、名撮影監督の木村大作さんの名前を覚えておいた方がいいという話をしました。『劇場版 エースをねらえ!』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も見たり、『さらば愛しきルパンよ』とフライシャーのスーパーマンの『謎の現金強奪ロボット』を見たり……と実写映画も見ています。アニメーターは、生身の人間の演技を見て研究した方がいい。アニメはそんなに見ないでもいいというタイプなので」
◇リメークシリーズの魅力
第1作「宇宙戦艦ヤマト」の放送開始から半世紀たったが、ヤマトには今も色あせない魅力がある。
「戦艦大和の大艦巨砲主義を残しつつ、宇宙船らしさもある。それまでの宇宙船はロケット系が多かったですし、艦が空を飛ぶのもインパクトが大きかった。ヤマトが偉大なので、ほかの宇宙戦艦のデザインは大変なんです。ヤマトのインパクトが大きすぎて、まねができない」
“ヤマト世代”の麻宮さんはリメークシリーズの魅力をどのように感じているのだろうか?
「『ヤマト』の新作が今もできていることが大きいことだと思います。昔からのファンも応援してくれているし、『2202』では女性ファンがかなり増えました。僕は『ヤマト』だから何でもやります。『ヤマト』だったら何でもいいのか?と言われることもありますが、だって『ヤマト』ですからね。そういう存在なんです。リメークシリーズは監督によってカラーが違いますし、そこも楽しみにしているところです」
「3199」は「2202」「2205」のシリーズ構成を担当した福井晴敏さんが、総監督を務めている。
「福井さんの作品は情報量が多いです。今回は総監督という立場で、あの情報量を消化しなければいけないので、大変だと思います。絵コンテを切っていても、情報が多いと感じるし、おそらくこの情報量の奥にもすごいものがいっぱいあるはずです。僕の本編での絵コンテやドローイングの仕事などは全て終わっていますが、どうなるのか楽しみにしています」
リメークシリーズには麻宮さんをはじめ「宇宙戦艦ヤマト」への熱い思いを持ったスタッフが参加している。上映中の「3199」の第二章「赤日の出撃」で、その熱量を感じてほしい。