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新祐樹:アニメ「怪獣8号」 古橋伊春を熱く演じる 全力で「俺の仲間を助けてくれ」

「怪獣8号」の一場面(c)防衛隊第3部隊(c)松本直也/集英社

 集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の松本直也さんの人気マンガが原作のアニメ「怪獣8号」。怪獣を討伐する日本防衛隊のムードメーカーの古橋伊春を演じるのが「東京リベンジャーズ」の主人公・花垣武道役などでも知られる新祐樹さんだ。5月25日に放送された第7話では、伊春が市川レノと共に、突如現れた敵・怪獣9号に立ち向かう姿が描かれ、窮地に陥る中で「レノを……俺の仲間(ダチ)を助けてくれ」と思いを吐露するシーンも印象的だった。新さんに、「怪獣8号」や伊春への思い、第7話の収録の裏側を聞いた。

 ◇運命的な伊春役

 「怪獣8号」の原作は、2021年に「次にくるマンガ大賞2021」のウェブマンガ部門の大賞にも選ばれた話題作。怪獣が容赦なく日常を侵す“怪獣大国・日本”を舞台に、謎の幼獣に寄生され、怪獣に変身してしまった主人公・日比野カフカの活躍を描く。テレビ東京系ほかで毎週土曜午後11時に放送中で、X(旧ツイッター)でも全世界リアルタイム配信されている。

 新さんは連載が始まった頃から「怪獣8号」を愛読していたといい「怪獣が出てくることが当たり前の中で、防衛隊員、カフカや仲間たちが切磋琢磨(せっさたくま)して、どんどん成長していく。キャラクターも格好いいですしね。楽しく読んでいました」と話す。

 「自分が演じるなら……」と役者ならではの視点で原作を読んでいて、中でも気になっていたのが、伊春だった。

 「今までも歯がギザギザだったり、ヤンキーっぽいキャラクターとご縁があったりしましたし(笑い)。演じられるとしたら、楽しそうだなと実は考えていて、最初から伊春が気になっていました。こんなふうにご縁をいただけることってなかなかないと思います。運命的なのかもしれません」

 伊春は、八王子討伐高専を首席で卒業した実力派で、負けず嫌いで粗野な言動も目立つが、実は情に厚いムードメーカーだ。熱い心を持ったキャラクターということもあり、オーディションでも全力で熱さを表現した。

 「最初はテープオーディションで、その後にスタジオオーディションに参加させていただきました。スタジオの時、テストで伊春のあり余る熱量、自分や周りに対して努力を惜しまないところを大事にして、テストの時点で少し声がガラつくくらい全力でぶつけました。そしたら音響監督の郷(文裕貴)さんに、『特に言うことはありません』と言われたんです。OKだったのか? それとも全然ダメなのか? どっちの意味かな?って思いますよね。ただ、やっていることは間違いないはずですし、郷さんとは、ほかの作品でご一緒させていただいていたので、この言い方は多分キャラに合っているということなのかな?と感じていました。後は周りの方とのバランス、ほかに合う人がいるかという勝負でしょうし、内心自信がありました」

 熱く、仲間思いの伊春に共感するところもあった。

 「僕はムードメーカーではないですけどね(笑い)。自分に対して努力を惜しまないように……とは心掛けていますし、心の熱量は伊春に負けたくないと思っています。彼のすごいところは、誰とでもフランクに話すことができて、自分のことに100%、仲間のことにも100%向き合うところで、僕も見習いたいし、いい刺激を受けています。伊春は実直なところが格好よく、だからこその悩みもあります。周りの隊員はすごい人ばかりだけど、負けたくないという思いがあり、そういったところも同じ目線になっているかもしれません。僕も同世代の方が近くにいると、刺激を受けて、負けたくないという気持ちになりますし、芝居で切磋琢磨していけるところがあるので、そこも共感するところがあります」

 ◇演じるうちに喉が強くなる

・収録では「『もっと熱を出していい』というお話があったので、全力で振り切るくらいの勢いで演じています」と熱い思いをぶつけているという。

 第7話では、伊春とレノがボロボロになりながら、怪獣9号に立ち向かう姿が描かれた。伊春は高い能力を持ちながらも、さらにハイレベルな同期と自身を比較し、壁を感じていた。同期のレノに対してはライバル心があった。窮地での「頼むよ神様」「いや、鬼でも悪魔でも何でもいい」「レノを……俺の仲間(ダチ)を助けてくれ」というせりふも印象的だった。

 「第7話の『頼むよ神様……』というせりふは『もっとボロボロでもいい』というディレクションをいただきました。仲間のために思いっきり泣けるのが伊春で、あの時は諦めもあったと思うんです。万策尽きてしまったけど、全力で立ち向かおうとする。収録でキャラクターがさらに深まったと感じていました。レノに対してライバル心を抱きつつ、『気に入らねえ!』と叫ぶところは、レノに対してではなく、自分に対する気持ちだと気づくことができて、一皮むけた。強くなることばかりを考えて生きてきて、努力を積み重ねた。でも、伸び悩んでいる。壁をぶち破り、高みを目指すことを考えながら収録していました」

 レノに対する「俺がお前を守るんだ、馬鹿野郎」というせりふも伊春らしさを感じた。

 「守られたくない、俺がお前を守れるほど強い男になりたいと口にすることで、改めて自分に気合を入れている。結局、支え合いだと思うんです。レノに助けてもらうのも、レノを認めているからで、それでもこの言葉を口にする。負けねえぞ!という伊春の強さなんだと思っています」

 伊春は叫ぶことが多いキャラクターということもあり、「収録が終わった後は多少喉がかすれてしまいます。特に第7話は全力でやらせてもらったので、そうでしたね。伊春を演じるうちに喉がどんどん強くなってきたのかな?とも思っています」と笑顔で話す。

 ◇“カフカ”福西勝也から受けた刺激

 伊春が同期から刺激を受けているように、新さん自身も共演者から刺激を受けている。レノ役の加藤渉さんについて聞いてみると……。

 「ちゃんとお話をするのは初めてでした。お芝居でぶつけ合っているものがあって、第7話は特にそうでしたね。事前に話をしなくても、戦いに向けてそれぞれ心の中で気合を入れて準備していますし、通じ合っているところがあると感じています。現場では、彼のズボンが破けてしまったことがあって、ファイルーズさん(四ノ宮キコル役のファイルーズあいさん)が裁縫セットを持っていたので、直したことがありまして(笑い)。破れるくらいの熱量ですし、支え合っているところが『怪獣8号』っぽいですよね」

 カフカ役の福西勝也さんとは所属事務所が同じで、年が近く、これまでも共演経験がある。

 「福西は、本当に自由にやっている印象があります。台本をすごく読み込んでいて、誰よりも作品に向き合い、考えている。カフカの人一倍やらなきゃいけないという気持ちにも通じます。音響監督の郷さん、監督たちスタッフと一緒になって切磋琢磨して作っている作品で、そう感じるのは、福西のおかげだと思います。福西がこうくるなら……と考えたり、いい関係性で一緒にお芝居ができています」

 福西さんを含めて同世代のキャストが多く、「怪獣8号」の防衛隊の同期の仲間が切磋琢磨する姿と重なるところもあるようだ。

 「若手が多いけど、それぞれが経験を積んで集まっているので、フレッシュな熱量が強いと感じています。福西の熱量にみんながついていくところはカフカっぽいですし。先輩の方々もサポートしてくださり、支え合っています。僕も気合を入れて収録に臨んでいます」

 新さんら声優陣のフレッシュで熱い演技にぜひ注目してほしい。

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