女優の倉科カナさんがNHK津放送局で制作し、9月にBSプレミアムで放送するドラマ「ヤアになる日~鳥羽・答志島(とうしじま)パラダイス~」に、漁師の元に嫁ぐかどうかで思い悩む女性役で主演することが14日、同局で行われた会見で発表された。同局が初めて制作するドラマで、三重県鳥羽市の離島・答志島が舞台。今後、同県在住者を対象に出演者のオーディションを行う。
ウナギノボリ
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ドラマは人気刑事ドラマ「相棒」シリーズ、「科捜研の女」シリーズ、09年に放送されたNHK連続テレビ小説「つばさ」などを手がけた脚本家・戸田山雅司さんのオリジナル。鳥羽市内のホテルで働く山岡紗智子(倉科さん)が、恋人で答志島出身の鳴海久志から島に戻って漁師になると告げられる。戸惑いながら島に渡ると、最初に実の親ではなく「寝屋親」と呼ばれる島の重鎮・岩波源三(近藤正臣さん)を紹介されるなど島の風習に驚くばかり。紗智子は久志と結婚することができるのか……という物語。タイトルのヤアは答志島の言葉で嫁を意味する。
答志島は鳥羽市の北東2.5キロに位置する島で、人口は約2500人。キス、メバル、アワビ、伊勢エビ、カキなど四季を通じて豊富な海産物が水揚げされる。「寝屋親」は、答志島の風習「寝屋子制度」で親代わりをする世話係のことで、「寝屋子制度」は、中学校を卒業した男子が数人で信頼できる家の一部屋で約10年、寝泊まりし、生涯にわたって兄弟以上の付き合いをする制度。鳥羽市の無形民俗文化財に指定されている。
戸田山さんは自ら答志島に滞在したといい「想像を絶した濃厚かつ芳醇な時間の連続で、まるで一種独特な神秘体験として、生涯忘れることのできない島になった。実際に五感で感じなければ分からない魅力にあふれています」と振り返り、「それを余すところなくドラマに焼き付けようと現在鋭意執筆の真っ最中」とコメント。「答志島の取れたての魚のように新鮮な答志島体験を、視聴者の方々と共有できることを切に願っております」と話している。
また制作するNHK津放送局の国沢五月・放送部副部長は、答志島について、日本で唯一、寝屋子制度が残る島として数多くのドキュメンタリーが作られてきたことに触れ、「そこで描かれてきたイメージは、古くからの慣習をかたくなに守り、伝統を重んじ、文化人類学的にも貴重ないわば化石のような島……。しかし実際に島へ行ってみると、そんなイメージは全くの幻想。そんな先入観とは違った“パラダイスな”島の姿が見えてきた」とコメント。制作にあたっては「島での体験や出会った人々の言葉、エピソードを徹底的に物語の中に取り入れるようにしました。三重の島から生まれる、本物の地域ドラマにご期待ください」と話している。会見には戸田山さん、国沢副部長、NHK名古屋放送局の土屋克裕・制作部チーフプロデューサーが出席した。
放送はBSプレミアムで、9月30日午後10時~同58分。(毎日新聞デジタル)
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