塚本高史:うつ病の主人公演じ「動き出せば何かが起きる」 連続ドラマW「配達されたい私たち」

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 俳優の塚本高史さんが主演を務めるWOWOWの連続ドラマW「配達されたい私たち」が、12日から放送をスタートする。塚本さんは、うつ病で自殺しようとするが、偶然拾った7年前の手紙を相手に届けることで生きる意味を見つけるという主人公・澤野始役を演じる。難役に挑んだ塚本さんに、うつ病の主人公を演じた苦労や同ドラマへの思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ドラマは、ヒット映画「私をスキーに連れてって」(87年)や「僕らはみんな生きている」(93年)の脚本家、一色伸幸さんが、自身のうつ病克服経験をもとに描いた出会いと別れ、再生をテーマにしたヒューマンコメディー。うつ病になった主人公・澤野始(塚本さん)が、自殺するため訪れた映画館の廃虚で7年前に捨てられた7通の手紙を拾い、“人生のカウントダウン”としてその手紙を配達するが、その向かう先々でさまざまな出来事に巻き込まれていく……というストーリー。始の妻・正美を塚本さんと初共演の長谷川京子さん、始が最初に手紙を手渡した理髪店を営む岡江有を栗山千明さんが演じる。

 うつ病の主人公役について、塚本さんは「聞いたときには面白そうだと思った。うつ病の男が、いろんな人との出会いによって普通に戻っていくのは面白いんじゃないかと思いました」と語ったが、一方で「2話で病院の先生とご飯を食べながら話す。見た目は普通なんですよね。心と脳の病気だから」と、表現については苦労した様子。悩んだ結果、「風邪の症状はみんな同じ。でもうつ病は十人十色で、なるきっかけはウイルスではない」といい、「いろんな資料をいただいたけれど、それはその人たちの症状。見た目で分かる演技をあえて作らなかったし、作ろうとも思わなかった。いいんですよそれで。うつ病に見えなくて……」と自然体で演じた。

 一色さんの実体験がもとになっていることから、「一色さんとはよく話しました。一色さんの中から出てくるものは『死ぬためにどうやって生きようか』とか『何もしたくなくて、しないなら生きている意味がない』とか……」と演じる上でヒントとなる言葉を聞いたが、「でも言葉で聞いても理解できない」と苦笑する。「始は、一応主役だけれど、ヒーローじゃないのが面白い。シリアスな内容なんだけれどコメディー。栗山千明さんがふんする女の子が視聴者(の目線)で、栗山さんが(演じる有が始に対して)『死ねよ!』と言ったときに、視聴者が『よく言った!』と思うような憎たらしいやつにしようと話した」と明かす。

 ドラマについて、塚本さんは「うつ病のやつが自殺に失敗して、そこで見つけた手紙を配達するというストーリーがあるけれど、人に出会ってどう思うのか、思わないのかが大事。日常を何となく生きている人に、動き出せば何かが起きるんだよ、動かなければ何も起こらないと伝えたい」と熱く語った。「うつ病イコール何もしないではなく、したんです。したからこその結果なのかな。5話まで全部見ていただければ分かります」と完成した作品に自信を見せていた。

 <プロフィル>

 1982年10月27日生まれ、東京都出身。サンミュージックプロダクション所属。同事務所の新人タレントオーディション俳優部門に入賞し、97年、テレビドラマ「職員室」で俳優デビュー。00年に「バトル・ロワイヤル」で映画に初出演する。趣味はギター、スノーボード。スポーツはサッカー。現在ドラマ「でたらめヒーロー」(日本テレビ系)に出演中。主演を務める連続ドラマ「配達されたい私たち」は12日から毎週日曜午後10時にWOWOWプライムで放送される。全5回で初回は無料放送。

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