東京バンドワゴン:“大家族モノ”に込める新たな希望 プロデューサー語る

日本テレビ提供
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 日本テレビ系で放送中の連続ドラマ「東京バンドワゴン~下町大家族物語」。人気グループ「KAT-TUN」の亀梨和也さん演じる主人公をはじめ、古本屋とカフェを経営する風変わりな大家族・堀田家の住人たちが次々と起こる不思議な事件を解決していくホームドラマで、「怪物くん」「妖怪人間ベム」などティーン向けの一風変わった作品が多い「土曜ドラマ」枠では、異色ともいえる“大家族モノ”だ。ドラマの原藤一輝プロデューサーに、作品にかける思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ドラマは、小路幸也さんの人気小説シリーズ「東京バンドワゴン」が原作。下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」を営む4世代の大家族・堀田家に巻き起こる騒動を描いており、一つのちゃぶ台を囲んでとりとめのないことをああだこうだと言い合ったり、ぶつかったりしながらも問題を解決していく様子を描いている。

 原藤プロデューサーは同ドラマ枠で「怪物くん」「妖怪人間ベム」などを手がけ、特殊メークやCGを用いた映像など、テレビに映画の手法を取り入れるつくりが印象的だが、「今回はテレビでしかできない王道の人間ドラマをやりたい」と思い、巡り合ったのが「東京バンドワゴン」だったという。

 ドラマには「寺内交番」という交番や、1974年に放送された国民的ドラマ「寺内貫太郎一家」で小林亜星さんが演じた貫太郎そっくりの男が歩いていたりと同ドラマへのオマージュをうかがわせるシーンもあるが、原藤プロデューサーは「昔はよかったというようなノスタルジーを楽しむだけのドラマではない」という。「成長期が終わり、収入も頭打ちで人口も下がっていくという状態の日本で、将来が見えず、どういう生き方をしていくべきか迷っている人がたくさんいると思う。そんな人たちに向けての「『遠くない未来に大家族や仲間と暮らす生活があってもいいのでは』という希望の提示をしたかった」と力を込める。

 大家族に新たな希望を見いだそうとする原藤プロデューサーが主演に起用したのが亀梨さん。妖怪人間を演じたホラードラマ「妖怪人間ベム」とは打って変わり、今度は、まっすぐな心根の持ち主で、玉置浩二さん演じる父親の我南人に振り回されながらも時にはストレートにぶつかっていく堀田家の次男・青を演じている。原藤プロデューサーは亀梨さんについて「すごく男気があってまっすぐな人」と評し「『ベム』のときはベムというキャラクターに彼を乗せればよかったけれど、彼が役者として持っているのはもっと幅広い。亀梨さん自身も下町育ちで大家族と聞いているので亀梨さんが持っているポテンシャルを生かした役をやってほしかった」という。

 土曜ドラマ枠を親子が楽しめる場所という意味で「ディズニーランド」と表現する原藤プロデューサーは「『怪物くん』がミッキーで、『ベム』はホーンテッドマンションだとしたら、『東京バンドワゴン』は『イッツ・ア・スモールワールド』のような存在。いろいろな境遇の人がいて、人々が助け合って暮らしているような平和な世界」と表現する。「前の二つに比べると分かりやすさとかキャッチーさ、派手さはない」といい、平均で10%を下回り、厳しい滑り出しとなってしまった視聴率に関しては「『東京バンドワゴン』はどういうお話なのかということを視聴者の方に分かりやすく説明できていなかったのかもしれない」と反省する。

 ただ、同局にはドラマを絶賛する視聴者の声も多いという。「心が温まる」「家族の絆が押しつけがましくない」というツイッターのつぶやきも見られるといい、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に関心が高い若者に番組を楽しんでもらおうと無料通話・チャットアプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントの「ON AIR機能」を活用した取り組みを新たにスタートさせた。ドラマの放送中に感想や質問を投稿することができ、一斉送信で投稿に対するキャストからの答えを受け取ることもできる。同機能を利用した取り組みは同局では初という。

 原藤プロデューサーが描きたいのは「完璧ではない人間同士が肩を寄せ合い、助け合いながら生きていくというドラマの神髄」。「大人の方には『昔はこういう大家族でめんどうくさいこともあるけれど、楽しかったよなあ』、若い人たちには『こういうのもいいな』って思いながら家族で見てもらえるといいですね」と語った。ドラマは毎週土曜午後9時放送。

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