新宿アニソンスコープ：「ここさけ」サントラがジャンプアップ　価値ある作品　

　タワーレコード新宿店のアニメ担当バイヤー・樋口翔さんが、アニソンの売れ筋や販売現場の生の声をお伝えする「新宿アニソンスコープ」。洋楽の聖地として知られるタワレコの中で、アニソンが充実し、巨大なPOPの展示やインストアライブを開くなど業界注目の新宿店の21～27日の1位は、人気アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」（あの花）のスタッフが手がけたことで話題の劇場版アニメ「心が叫びたがってるんだ。」（ここさけ）のサントラ盤でした。

ウナギノボリ

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　◇先週の結果

　前回のチャートでも6位に入っていた「ここさけ」のサントラ盤ですが、映画の公開（9月16日）にあわせて大きく“ハネた”という印象ですね。購買層は10代から30代後半くらいまでの男女で、ジブリ作品ほどとはいかないまでも幅広く、映画の感動を自宅でも反すうしたいというファンが、映画鑑賞後に“即買い”するパターンが多かったのかなとも思います。タワーレコード全体としても、映画館に近い店舗ほど売り上げがいいという現象が起こっていますね。

　今回、音楽は3人組バンド「クラムボン」のミトさんが担当していて、有名なミュージカルソングが登場するだけでなく、米ミュージカル映画「オズの魔法使」（1939年）の劇中歌「虹の彼方に（Over The Rainbow）」とチャイコフスキーの「悲愴」の“マッシュアップ”も披露していて、これが作品世界の“陰と陽”を表しているようで、実にいい。ミトさん自身はアニメやアニソンに造詣が深いことで有名ですが、もとをただせば、というか今でも立ち位置としてはJ－POP、バンド畑の人間で、そういった実力のあるミュージシャンが作る良質なアニメ音楽に触れられるという意味でも価値のある作品だと思います。

　そのほかの作品で注目してもらいたいのが4位に入ったVALSHE（バルシェ）さんのアルバム「DISPLAY －Now ＆ Best－」ですね。歌い手シーンの初期から地道に力をつけてきたイメージもありますし、VALSHEさんのそれこそ“アニメから飛び出てきた容姿”も手伝ってか、イベントなどでの反響も大きい。今回の作品はベスト盤なので、入門編としてもおすすめで、ぜひチェックしていただければと思います。

　◇今週の動向

　LiSAさんのシングル「Empty MERMAiD」は、発売から順調に売り上げていまして次回チャートの1位の最有力候補となっています。LiSAさんに続きそうなのが声優で歌手の坂本真綾さんのアルバム「FOLLOW ME UP」ですね。内容的にキャッチーで、今年11月にデビュー10周年を迎える音楽ユニット「GRANRODEO」のベストアルバム「DECADE OF GR」と並んで注目の作品です。

　◇タワーレコード新宿店アニソンコーナーランキング

1位　「心が叫びたがってるんだ。 オリジナルサウンドトラック」　OST　アルバム

2位　「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 02」 CINDERELLA PROJECT　シングル

3位　「far on the water」　Kalafina　アルバム

4位　「DISPLAY －Now ＆ Best－」　VALSHE　アルバム

5位　「シアワセのクツ」　nano．RIPE　アルバム

6位　「大正偶像浪漫『帝國スタア』キネマトグラフ 零番星 沖人 声：鳥海浩輔」　鳥海浩輔　アルバム

7位　「Bravely you／灼け落ちない翼」　Lia／多田葵　シングル

8位　「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 01 Shine！！」　CINDERELLA PROJECT　シングル

9位　「おかえり」　小岩井ことり／村川梨衣／佐倉綾音／阿澄佳奈　シングル

10位　「Trigger」　ZHIEND　シングル

※左から順に、タイトル、アーティスト

　◇プロフィル

　樋口翔　タワーレコード新宿店7階（邦楽・販売促進）アニメ担当バイヤー。2014年に町田店から異動。