週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第16回は、小新井さんが、京都で開かれた西日本最大級のマンガ・アニメの見本市「京都国際マンガ・アニメフェア2015」(京まふ)について語ります。
ウナギノボリ
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先月開催された“京まふ”こと「京都国際マンガ・アニメフェア」に、アニメ「電波教師」のステージMCをさせていただくため参戦してまいりました。
実は京都に行ったのは修学旅行以来およそ10年ぶり。そのため京都というと“歴史ある厳かな町”という当時の記憶しかなく、正直最初はアニメと関係深い町というイメージはありませんでした。やはりそこは同じアニメイベントでも少しかしこまったものなのかも……、と若干身構えたりもしましたが、驚くことに実際訪れた久々の京都は、想像以上にオタクに優しい町だったのです。
今回初めて参加した京まふも、どちらかというと「AnimeJapan」よりは「アニ玉祭」などに近い、地域のアニメイベント特有のアットホームさが心地よいイベントでした。
中でもひときわ目を引いたのは、土地柄を生かした京まふならではの“名産品とコラボしたアニメグッズ”です。「有頂天家族」など京都を舞台にした作品はもちろん、関連のなさそうなアニメのグッズも京都の名産品とコラボすることで“京まふでしか買えない”プレミアムなものになります。
「お土産に買おうと思っていたものがアニメグッズとして売られているなんて最強じゃないか!」ということで、思わず私も「ヘタリア」や「刀剣乱舞」の八つ橋をお買い上げ。
ただでさえ久々の京都に浮かれているうえ、限定グッズに弱いオタクとしてはいつも以上に財布のひもが緩くなる危機感も抱きつつ、「伝統が……」「歴史が……」とお高くとまらず、さまざまなアニメと積極的にコラボしている京都の柔軟さに感動した瞬間でした。
名産品もさることながら、京まふ会場周辺にあるアニメの聖地も見逃せません。私もここぞとばかりに「いなり、こんこん、恋いろは。」の伏見稲荷や「四畳半神話大系」の京都大学への巡礼を堪能していたのですが、驚くことにそんな聖地以外の思わぬ場所でもアニメの要素と遭遇することがありました。
町中にある普通のお土産屋さんなどで、京都限定のアニメグッズが多数販売されていたのです。清水坂のとあるお店では、「薄桜鬼」「銀魂」「ワンピース」「黒子のバスケ」などなど、アニメキャラが店頭を埋め尽くす光景に思わず「アニメイトか!」と突っ込みそうになったほど。今でこそ各地で見られるご当地アニメグッズですが、もちろん私の修学旅行当時には見られなかった光景なので、普通に町を歩いていてアニメキャラと出会える幸せに京都への親近感がぐっと増したのを感じました。
京都に行ったら見ておきたいと最後に訪れたのは「京都国際マンガミュージアム」。マンガ関連の展示が中心ですが、京まふ会場のひとつとして、伝統とアニメがコラボした「琳派オマージュ展」なども開催されていました。
しかしなんといってもこの施設で一番衝撃的だったのがミュージアム屋外にある芝生のエリア。そこには館内で借りたマンガを持ち出して寝転びながら読めるという、夢のような空間が広がっていたのです。これは近所にあったら間違いなく年パス(年間パス)を買って通ってしまうと思いました。
ネットで話題になった“人をダメにするソファ”ならぬ、いい意味でオタクをダメにする芝生です。のびのびとマンガを読む人たちのリラックスした表情をながめていると「私もここで寝転びながらアニメが見たい……」と思ってしまう、なんともうらやましい光景でした。
京まふを中心に、さまざまなアニメ要素と共に満喫した京都。久々に訪れたそこは、確かに古き良き伝統とアニメ文化が融合する町でした。しかし決してお堅いわけではなく、アニメに対する京都のはんなりした柔軟さがあふれる“オタクに優しい町”という魅力的な場所だったのです。
今後オリンピックイヤーを迎えるにあたって、世界的な観光地にアニメ文化が加わって、ある意味日本最強!?なこの町を、海外のアニメファンにも味わっていただけたらすてきですよね。
初の京まふ参戦は、大好きなアニメを通して新しい京都の魅力と出会えた幸せなイベントとなりました。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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