真田丸:元お笑いの異色俳優・大野泰広 カメラテストから大河レギュラーのシンデレラボーイ

「真田丸」で河原綱家を演じる大野泰広さん=NHK提供
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「真田丸」で河原綱家を演じる大野泰広さん=NHK提供

 NHK大河ドラマ「真田丸」で、堺雅人さん演じる真田信繁の兄・信幸(大泉洋さん)の家臣・河原綱家を演じている大野泰広さん。お笑い芸人から俳優に転身した大野さんは、カメラテストで“主役”を演じたことをきっかけに、大河ドラマ初出演、しかもレギュラーに抜てきされたという“シンデレラボーイ”だ。大野さんに抜てきの裏側や異色のキャリアについて聞いた。

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 ◇お笑いから俳優へ 大河出演は「大事件」

 大野さんは1996年ごろにお笑いコンビ「ハレルヤ」を結成、「爆笑オンエアバトル」(NHK)などに出演していたが、2007年に解散。ピン芸人から、俳優として活動するようになり、ドラマ「ショカツの女~新宿西署・刑事課強行犯係」(テレビ朝日系)などに出演経験がある。俳優となった経緯を「コンビでコントをやっている中、お芝居に興味を持ち始めた。小劇団を中心に活動を始めたんです」と明かす。

 現在はお笑いの活動はしていないといい、俳優に転向したことについて「苦しくはなかったですね。今はお笑いからは足を洗っていますが、両方やっている時は『どっちなの?』と言われることが多かった。解散してからはすっきりした」と話す。

 大野さんは昨年3月に行われた「真田丸」のカメラテストに参加したことをきっかけに河原綱家役に抜てきされた。カメラテストとは、カメラなどの機材や撮影方法など決めるために行われるもので、俳優の“代役”が役衣装で演技をする。大野さんは「僕にとって忘れられない“春の陣”でした。なかなかNHKの方にお芝居を見ていただく機会はないので、チャンスだと思った。テストでは堺さんの役をやらせていただき、最初は緊張しましたね。主役の見える景色はこんなに違うんだ!となり、チャンスなどとは忘れて、楽しくやらせていただきました」と振り返る。

 カメラテスト後、しばらくして、大野さんの熱意が伝わったのか、出演のオファーが舞い込んだ。「カメラテストの時、木村(隆文)監督から『1年撮影があるので、一緒にお仕事できれば……』というお話があったんです。優しいですよね。夏の終わりごろ、マネジャーから『大事件です。真田丸が決まりました。役名があるかもしれません』と連絡があった。本当に大事件。びっくりでした。最初はどっきりかと思ったけど、僕にどっきりをかけても仕方がないですよね」と笑顔で振り返る。

 ◇初登場も気付かれず…

 大野さんが演じる河原綱家は真田家の重臣。昌幸(草刈正雄さん)、信幸(大泉さん)の父子を献身的に支え、真田家をもり立てる。関ケ原の戦いで真田家が二つに分かれることを決めた“犬伏”では、会談が長時間におよぶ中、内容が気になった綱家がのぞき見をしてしまい、昌幸が激怒した……という逸話も残っている。

 大野さんが「真田丸」に初登場したのは2月7日放送の第5回「窮地」だった。「最初のオンエアで名前が出た時、親戚、知り合いがウワーッとなった。ただ、放送が終わった後、『どこに出ているの?』とたくさんメールが来ました。出ていたんですけどね(笑い)」と話すように、出番は多くはなかった。しかし「いつか三谷(幸喜)さんの作品に出たい!」という気持ちが強かったということもあり「大河に自分の名前が出て、とにかくうれしかった」と感動した様子だ。

 撮影では“上司”である信幸役の大泉さんとの共演シーンが多い。大野さんは「大泉さんはサービス精神が旺盛な方で、若手芸人ばりに一個質問すると、ショートストーリーのような話で落ちも付ける。すごいエンターテイナーですよね」と尊敬のまなざしを向ける。

 大野さんは綱家について「真面目で悪い人じゃないけど、“信幸愛”があって、空回りをしているのかな?と考えました」と話す。4日放送の第35回「犬伏」では、真田家が分かれる“犬伏の別れ”が描かれ、綱家が活躍するシーンも用意されている。「最後は(真田家が統治することになる)松代の街を眺めながら、信幸さんの横に居られたら幸せですね」と野望を語る大野さん、今後の活躍に注目だ。

 「真田丸」はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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