女優の綾瀬はるかさん主演の映画「今夜、ロマンス劇場で」(武内英樹監督)が10日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開される。綾瀬さん扮(ふん)する、モノクロ映画のヒロインと、坂口健太郎さん演じる現実世界の青年が恋に落ちるファンタジーロマンス。互いを思いながら、触れ合えない2人の恋模様は、ただただ切ない。
ウナギノボリ
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映画監督を夢見る青年、牧野健司(坂口さん)は、なじみの映画館「ロマンス劇場」の映写室で見つけた古いモノクロ映画のお姫様、美雪(綾瀬さん)に一目ぼれ。毎日のようにその映画を見ていると、ある日、奇跡が起きる。映画の中の美雪が目の前に現れたのだ! 驚きつつも彼女を家に連れ帰る健司。同じ時間を過ごす中で、美雪もまた健司に引かれていく……というストーリー。本田翼さん、北村一輝さん、柄本明さん、加藤剛さんらも出演。主題歌「奇跡」を、歌手のシェネルさんが感動的に歌い上げている。
かき氷を食べさせたり、食べさせてもらったり、健司が王子様のまね事をして美雪にバラの花一輪を差し出したりと、ほほ笑ましいシーンがふんだんに盛り込まれている。藤棚の下を2人で歩くシーンも幻想的で見とれてしまった。
しかし、2人には決定的な障害があった。ある理由から、健司は美雪に触れることができないのだ。好きなのに触れられない、好きだからこそ触れられない。この歯がゆさといったらない。ガラス越しのキスなんて切な過ぎる!
モノクロ映画から現実世界にやって来て、メークし、衣装を身に着けた美雪は、まるでオードリー・ヘプバーンのように愛らしい。だがその外見に似合わず、暴言を吐き、態度も横柄で、健司のことを「しもべ」とすら呼ぶ。そのギャップが、綾瀬さんが演じると、なんともチャーミングだ。そんな美雪を腰が引け気味に受け止める健司に、昭和男子風の坂口さんが、ぴったりとマッチした。
「ローマの休日」(1953年)、「オズの魔法使」(39年)、「カイロの紫のバラ」(85年)、「ニュー・シネマ・パラダイス」(88年)、「また逢う日まで」(50年)、さらに、北村さんが演じるスター俳優が、日活の「ガイシリーズ」を彷彿(ほうふつ)させるなど、映画ファンの心をくすぐる趣向もたくさん盛り込まれていて楽しめる。さて、美雪と健司の恋の行方は? それは、ぜひ劇場で確認を。(りんたいこ/フリーライター)
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