ワールドビジネスサテライト:30年続く経済ニュース番組Pが語る「存在意義」 「トレたま」の舞台裏も

テレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」を手掛ける野口雄史チーフ・プロデューサー(左)と大江麻理子キャスター
1 / 7
テレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」を手掛ける野口雄史チーフ・プロデューサー(左)と大江麻理子キャスター

 1988年4月に放送を開始し、今年4月で30周年を迎えたテレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(月~金曜午後11時)。番組を手掛ける野口雄史チーフ・プロデューサー(CP)は「自分の仕事に役立つとか、新しい商品が出て、消費者として買いたいなとか、見ている人に役立つニュースを目指している」と明かす。20年前から続いているという名物コーナー「トレンドたまご(トレたま)」の舞台裏や大江麻理子キャスターに課せられた役割、番組制作の裏側を聞いた。

ウナギノボリ

 ◇日銀総裁に“初歩の初歩”を聞く 大江キャスターの役割

 「WBS」のメインキャスターは、1988年の放送開始から、現東京都知事の小池百合子さん、野中ともよさん、田口恵美子さん、槇徳子さん、小谷真生子さんが担当。2014年春からは6代目として出演している大江キャスターには、野口CPは「経済に詳しくない視聴者にも分かりやすく伝えてほしい」と期待し、そのようにアドバイスもしているという。

 実際、大江キャスターは日本銀行の黒田東彦総裁の定例会見に必ず出席し、他の記者からすれば「そんなことは分かっている」というような“初歩の初歩”の内容を質問して、黒田総裁の言葉を引き出している。これも「経済に詳しくない視聴者にも分かりやすく」という狙いがあってのことだ。

 「WBS」の記者兼ディレクター、自民党担当クラブのキャップなどの経験を持つ野口CPは「ああいうところに行くと、分かっている前提で質問したくなるんですけど、でも私たちが対峙(たいじ)しているのは視聴者なので、視聴者を代表して聞いています」と説明する。

 ◇「トレたま」の狙いとは

 「トレたま」では、右目で前を、左目で手元を見られるメガネ「歩きスマホ実験用メガネ」や、壁に埋め込む掃除機「ハウスインクリーナー」、世界初の“吐き捨てられたガム”でできた靴「ガムシュー」といった、斬新な発想の商品が紹介されている。取り上げるものは、「トレたま」の担当ディレクターが、リリースや新聞に掲載されている情報などの中から見つけてくるというが、「テレビで取り上げられたことのない新しいもの」「発想やものの考え方が新しいもの」を採用している。

 また、「世に出ない面白いものを作っている中小企業に脚光を当てたい」という狙いもあるといい、「『トレたま』で紹介されたことによってブレークするとか、お金を出資したいとかそういう話も生まれて、中小企業がブレークするきっかけにもなっています」と明かす。

 ◇「より専門的で、独自性がある」ことが生き残るチャンス

 番組が始まった30年前、「トレたま」がスタートした20年前でも、経済を題材にした番組はそれほど多くなかったが、現在は似たような番組が増えてきていると話す野口CP。「WBS」の今後について、「より専門的で独自性がある」部分が生き残る可能性の一つだといい、「『WBS』という番組のネタの選択と深掘りの仕方と視点の新しさをどう磨いていくかということと、それでもまだ独自性があるというか、テレビ東京しかやらないようなニュース番組という印象があると思うので、そこが存在意義かなと思うんです」と力を込めていた。

写真を見る全 7 枚

テレビ 最新記事