狂言師の野村萬斎さんがサラリーマン役に初挑戦した映画「七つの会議」(福澤克雄監督)が、2月1日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。原作は人気作家・池井戸潤さんの同名小説。1話ごとに登場人物の視点が変わるオムニバス形式の小説を、長編映画でどう展開させるのか興味津々だったが、「下町ロケット」や「陸王」といった池井戸作品を数多くドラマ化してきた福澤監督が、萬斎さん演じる主人公はもとより、大勢の登場人物それぞれに見せ場を作り、見応えある作品に仕上げている。
ウナギノボリ
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東京都内の中堅メーカー、東京建電。営業1課の万年係長・八角民夫(萬斎さん)は、俗に言うぐうたら社員だった。年下で敏腕営業マンの課長、坂戸宣彦(片岡愛之助さん)の叱責にも馬耳東風。その八角は坂戸をパワハラで訴える。パワハラ委員会は坂戸に異動処分を下す。社員たちは、その不可解な裁定に首をかしげるが……というストーリー。ほかに、香川照之さん、及川光博さん、朝倉あきさん、世良公則さん、鹿賀丈史さん、橋爪功さん、北大路欣也さんらが出演する。
見る前は、八角役に萬斎さんはカッコ良過ぎると思った。しかし、会議中に居眠りをするわ、寝転がってドーナツを食べるわ……のぐうたらぶりを、無精ひげと緩んだネクタイ姿で巧みに表現。予想はまんまと覆された。他にも、八角を徹底的に侮辱する坂戸役の愛之助さん、できる社員は褒め、できない社員はとことん追い詰めるモーレツ営業部長・北川誠役の香川さんら豪華俳優陣の演技合戦に引き込まれた。とりわけ、北大路さん演じる東京建電の親会社社長・徳山郁夫が出席する“御前会議”のシーンは、列席した俳優陣の緊迫したやりとりに圧倒された。
パワハラ騒動をきっかけに企業の闇に切り込んでいく作品。自分がもし、この物語の中に入り込んだら、果たしてどう振る舞うだろうかと、思わず考えさせられた。(りんたいこ/フリーライター)
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