山寺宏一:「ねこねこ日本史」の影響で歴史観に変化? 劇場版一人19役の小林ゆうを絶賛

「映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~」に声優として出演する山寺宏一さん
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「映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~」に声優として出演する山寺宏一さん

 歴史上の人物に扮(ふん)するねこが活躍する歴史コメディー「ねこねこ日本史」の劇場版アニメ「映画 ねこねこ日本史 ~龍馬のはちゃめちゃタイムトラベルぜよ!~」が、2月22日の「猫の日」に公開される。2016年4月からNHK・Eテレで放送されているテレビアニメでナレーションを務める山寺宏一さんが、劇場版では、カラス型タイムマシンのヤッちゃんを演じる。「ねこねこ日本史」の影響で「歴史番組や大河ドラマを見ても、『ねこねこではこうだった』とダブって見える。『ねこねこ日本史』中心で歴史を考えるようになった」と話す山寺さんに、作品への思いや劇場版の見どころを聞いた。

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 ◇愛猫と共に台本を読むことも ナレーションのこだわり

 原作は「COMICリュエル」(実業之日本社)で配信中のそにしけんじさんの人気マンガ。テレビアニメは、ねこが歴史上の人物に扮し、人物にまつわるエピソードを1話完結のショートアニメとして描いている。

 劇場版では、小学生ねこのフクが、ひょんなことからカラス型タイムマシンのヤッちゃんに乗り込んで、さまざまな時代の日本にタイムトラベルすることになり、そこで出会った坂本龍馬と共に冒険を繰り広げる。

 自身も大のねこ好きで、ずっとねこを飼っているという山寺さんは「ねこねこ日本史」の台本を読む時にも、傍らに愛猫がいるという。

 「目の前にねこがいて、邪魔してきたりするんですよ。『やめろ』って言ったり(笑い)。でもすぐに飽きちゃってどこかに行っちゃう」と語る。テレビアニメでは、山寺さんのナレーションで「ねこは水が嫌い」「丸いところが好き」「ねこってすぐ忘れる」などねこの習性にツッコミが入り、コミカルに歴史が描かれる。

 「いつもそばで、ねこの習性を見ているので、面白いですね。戦国時代のエピソードで、本当は殺伐として、血で血を洗うような戦いでも、ねこは水や大きい音が苦手だから、すぐしょんぼりしてしまう。どんなすごい武将も人間ですから、いろいろな面があったと思う。それを、ねこをモチーフにして見事に表現している。ねこだからこそ、歴史上の人物がとても人間味あふれるものになっている」

 当初、テレビアニメのナレーションは「どういう感じで行くか、相当いろいろシミュレーションしました。スタッフの皆さんに聞いていただいて、どのトーンで行くかを決めていきました」と振り返る。

 「人名が多くなってくると、『誰が誰で、どんな話だっけ?』となってくるので、まず大事なのは、しっかり伝えるということですよね。自分が納得していないと分からないし、どこを立てるかというのもある。その事実をきちんと伝えることと、聞きやすい声で伝えるということ。コメディーなので、なるべく明るく、ツッコミはフラットに。テレビを見ている人と同じ気持ちでやることを心がけています」

 ◇一人19役の小林ゆうのすごさ 劇場版は「名作ができちゃった」

 劇場版で山寺さんが演じるヤッちゃんは、タイムマシンではあるが、テレビシリーズのようにねこの習性にツッコミを入れる場面もある。ヤッちゃんは、フクや坂本龍馬と一緒に旅をする仲間でもある。山寺さんは、コンピューターの声、ナレーション風の声、ヤッちゃんとして本音をしゃべる時の声などバリエーションの多い役だったと振り返る。

 「最初はなかなかつかめないというか、使い分けが難しかった。でも、ヤッちゃんにも自我があって、一緒に旅をしている間にいろいろな気持ちが芽生えてくるので、そこはタイムマシンであることを気にせずにやりました。劇場版は、フクちゃんと龍馬の絆も見どころになっていて、ヤッちゃんの2人に対する思いもチラッと垣間見えたりする。そこも表したつもりではあります」

 今回は、テレビシリーズでもさまざまな役を演じている小林ゆうさんが、一人19役を演じ切っているのも見どころという。

 「とにかく僕が思うのは、小林ゆうちゃんのすごさです。テレビシリーズでは毎回主役級の役をやっていて、彼女がすごいのは、すごく可愛らしい声からエキセントリックな声、おじさん、おじいちゃんまでやるんです。そんな人はいないですよ。テレビシリーズでは伊能忠敬の幼少期から死ぬまでを演じ分けたり、成長の過程を演じている。僕も幅で勝負している人間だけど、なかなかあのお芝居はできないです」

 その集大成が、劇場版の一人19役。山寺さんは「尊敬します」といい、「2人だけでいろいろな役をやる作品があっても面白いだろうなと思います」と願望を語る。

 今回は、古代から江戸時代まで、時代を渡り歩き、歴史の偉人たちが次々と登場する。山寺さんは「とんでもない展開になっていく」と話し、「戦乱が起きている時に、ねこたちが『俺たち何で戦っているんだっけ?』というと、ヤッちゃんが『知るか!』というシーンがあるんです。ただのツッコミのようだけど、素晴らしいせりふだと思う。龍馬の社交的なところが日本の歴史を変えたということも表している。フクちゃんは、それをだんだん理解して、友情のためにお互い頑張るという感動作でもある。そこを感じてほしいなと思います。名作ができちゃったんじゃないですか」と笑顔でアピールした。

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