小山愛子さんの人気マンガを実写化し、Netflixで1月12日から配信される「舞妓(まいこ)さんちのまかないさん」で、“100年に1人の逸材”と将来を期待される舞妓のすみれを演じる出口夏希さん。モデルとして活躍する傍ら昨年は、福山雅治さん主演の「ガリレオ」シリーズの映画最新作「沈黙のパレード」(西谷弘監督)に出演するなど女優としても注目を集めている。「演技自体が楽しいのか、現場が楽しいのか、準備期間が楽しいのか、まだよく分かっていないのですが、『女優のお仕事は楽しい』という思いは自分の中にある」と明かす“次世代ヒロイン”に話を聞いた。
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出口さんは2001年10月4日生まれ、中国出身の21歳。昨年は、MBS開局70周年企画「インバージョン」、板垣瑞生さん主演の「ばかやろうのキス」(日本テレビ)、朝の情報番組「ZIP!」内で放送された「クレッシェンドで進め」(同局系)と、3本のドラマにヒロインとして起用され、忙しい日々を送った。
「2022年は今まで生きてきた中で、一番いろいろな方に出会った年で、一つ一つの出会いが思い出深いというか。毎現場、毎現場が濃くて、いろいろなことがあって、悩んだり、泣いたりもしました」
8月にはティーン向けメディア「Seventeen(セブンティーン)」(集英社)の専属モデルを卒業。10月から女性ファッション誌「non-no(ノンノ)」(同)に加入し、“ノンノモデル”として新たな一歩を踏み出した。
「『セブンティーン』を卒業したことで大人に一歩近づいた気がします(笑い)。『ノンノ』は同じ集英社で、お世話になったスタッフさん方がたくさんいる現場なので、変わった感じはそれほどなかったのですが、着る服は『セブンティーン』ではボーイッシュだったのが、ガーリーな感じに変わった気がします。普段はモノトーンが多いので、そこは新鮮です」
チャーミングな笑顔はそのままに、時として、グッと大人っぽい表情を見せるようになった出口さん。9月に公開された映画「沈黙のパレード」では、物語に欠くことのできない定食屋「なみきや」の次女・夏美を好演。同作を通じて、これまで以上に幅広い層に存在をアピールした。
「お父さんとお母さんに映画のチケットをプレゼントしたら、仲良く仕事終わりに見に行ったみたいで。お父さんはすごく喜んで、『さすが、俺の娘だ』って感じになっていました(笑い)。普段はそういう人じゃないので、なんか、認めてくれたんだなって思いましたし、お仕事でやっと褒めてもらった気がします。あと地元の友達もみんなで見に行ってくれて。『違う人を見ている感じ』とか『知らない人に見えた』という感想もうれしかったです」
モデルとして順調にステップアップし、女優としても注目度を高めているタイミングで配信がスタートするのが「舞妓さんちのまかないさん」だ。ドラマは森七菜さんと出口さんのダブル主演で、映画「そして父になる」(2013年)や「万引き家族」(2018年)などで知られる是枝裕和監督が総合演出を手がけることも話題だ。
原作はテレビアニメ化もされた人気マンガ。京都の花街(かがい)を舞台に、舞妓が共同生活を営む屋形で食事を作る“まかないさん”として働くキヨ(森さん)が、故郷の青森から一緒にやってきた親友であり“百年に一人の逸材”と将来を期待される舞妓のすみれ(出口さん)と、共に暮らしていく日常を描いている。
情報を一切入れずにオーディションに臨み、すみれ役を射止めたという出口さん。出演が決まって初めてマンガを読んだときは「すごいなあ、すみれはなんでもできちゃうじゃん」。一方、いざ自分が演じると思って台本を読むと、「“百年に一人の逸材”って言われるけど、すみれは努力の天才なんだ」と思えたという。
「共通点がなさすぎて『どうしよう』ってなりました」
そんな出口さんが唯一の共通点として挙げたのが「負けず嫌い」の部分だ。
「『見えない』ってよく言われるんです。見せないから、気づかれない、隠れ負けず嫌い。地元の子くらいしか知らない性格です」
共通点がほかに見つからないのなら、「もう別人だ」と開き直って挑んだすみれ役は、「頭のてっぺんから足のつま先まで、出口夏希が1ミリもいらない子」だった。
「舞をやるのに姿勢も直しましたし、撮影に入る1年前から断続的に京都に通って、お稽古(けいこ)をして。あと体力不足を感じたので、ジムにも通ったのですが、珍しく続きました(笑い)。そうやって一から役を作り上げていったので、改めて『女優さんってすごいな』って」
撮影現場では是枝監督から丁寧に時間をかけて、細かく演技指導を受けたといい、「沈黙のパレード」と共に、出口さんの中で女優としての思いが高まる大きなきっかけにもなった。
「『ガリレオ(沈黙のパレード)』と『舞妓さん』、二つともオーディションを受けて出演が決まった作品で、二つとも現場が楽しかったのも大きかったです」
まだ今は「演技自体が楽しいのか、現場が楽しいのか、準備期間が楽しいのか、まだよく分かっていない」としながらも、「『女優のお仕事は楽しい』という思いは自分の中にある」と話す出口さん。
「役や演技について分からないことは多いですし、聞いても『正解はない』ってよく言われます。でも是枝監督が、本人でも分かっていない感情が出ていたって話をしてくれて、確かにそうだなって思いましたし、『舞妓さん』では初めての感情が多かった気がします」
まだまだ“未完”の次世代ヒロインは、現時点での明確な目標はないという。
「何が正解か分からないからこそ、まだまだ挑戦していきたいなって思いますし、まずは一通り経験を積むことで頭いっぱい。そこに追いついて、初めて出てくるのかなって思っています」
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