解説:本郷奏多、大河で再びの好演 “若き破天荒関白”から4年 花山天皇役でも発揮される「具現化力」

NHK大河ドラマ「光る君へ」で花山天皇を演じる本郷奏多さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「光る君へ」で花山天皇を演じる本郷奏多さん (C)NHK

 1月7日のスタートから約1カ月が経過した吉高由里子さん主演の2024年NHK大河ドラマ光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。権謀術数渦巻く男の政(まつりごと)の世界も描き、視聴者に好意的に受け止められている中、キャラクターの特異さで目を引くのが、本郷奏多さん扮(ふん)する花山天皇だ。「麒麟(きりん)がくる」(2020年)以来、4年ぶりの大河ドラマ出演で、前回の“若き破天荒関白”近衛前久(このえ・さきひさ)に続き、変わり者の65代天皇を好演してみせる本郷さん。再び発揮される“俳優としての魅力”とは……。

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 ◇足癖の悪さに恥辱プレーや緊縛 SNSを沸かす行動

 本郷さんが「光る君へ」で演じる花山天皇は、東宮(皇太子)のころから、まひろの父・藤原為時(岸谷五朗さん)による漢籍の指南を受ける。即位後、藤原兼家(段田安則さん)の孫である懐仁親王(やすひとしんのう/のちの一条天皇、塩野瑛久さん)が東宮となったために、早々の譲位を画策され、大事件が起きる。

 ドラマには当初「師貞親王」の名で登場。第1回(1月7日放送)では、子供時代が描かれ、為時を足蹴にしたり、バカにしたような仕草を見せたりしていた。第2回(1月14日放送)で、役は本郷さんにバトンタッチされたが、為時の前で足で扇を扱うという“足癖の悪さ”を披露と、“扱いにくさ”は相変わらず。視聴者から「本郷奏多はこういう役やらせたらハマるよね」「期待通り」といった声が上がっていた。

 さらに、円融天皇(坂東巳之助さん)の譲位によって花山天皇が誕生した第4回「五節の舞姫」(1月28日放送)でも、その行動が視聴者の注目を集めることに。即位前、藤原実資(秋山竜次さん)に引き続き、蔵人頭を務めてほしいと依頼するも、頑なに拒否される、というシーンでは、近くにいた叔父の藤原義懐(高橋光臣さん)に泣きつくふりして、その場でかぶり物を取るという“恥辱プレー”を披露。

 ナレーションで「当時、かぶり物を取られるということは、今でいうなら、下着を脱がされたと同じ感覚の恥辱であった」と紹介されると、「東宮様、無茶苦茶や」「本郷奏多の暴れっぷりよ」「面白いにもほどがある」とSNSは沸いた。

 また同回では、藤原斉信(金田哲さん)の妹・藤原忯子(井上咲楽さん)が入内。迎え入れた花山天皇が、解いた帯で、その手を縛る、という様子が映し出され、このときも「花山天皇ちゃんの帯プレー」「まさか大河ドラマで緊縛シーンが流れるとは」などと視聴者は盛り上がった。

 ◇クセのあるキャラクターも自分の懐に引き寄せ

 登場するシーン、登場するシーンで、エキセントリックなキャラクターを次々と発揮する花山天皇だが、言葉の端々から自由さや無邪気さ、傲慢さが見え隠れるするせりふ回しを含め、本郷さんが演じることで「こんな人物だったかもしれない」と素直に思えてしまう不思議さがあるのも、また事実。

 本郷さんといえば、あまたの実写化作品に起用され、俳優としての評価を高めてきた演技派の一人として知られるが、その魅力は、クセのあるキャラクターも自分の懐に引き寄せ、制作サイドはもちろん、視聴者もイメージしやすく、巧みに役を「具現化」してしまうところにあるのではないだろうか。

 「麒麟がくる」の近衛前久に続いて、大河ドラマで高貴な人物を演じることについて、以前のインタビューで「天皇って、立場としてはすごく偉いのかもしれないのですが、それはあくまで肩書でしかなくて、一番大事にしなくてはいけないのは個人の人間性、感情」ときっぱりと言い切っていたのも印象的。

 一方で、ドラマのガイドブックでは、花山天皇を「子供のまま天皇になったかわいそうな人」と位置付けていた本郷さんの演技に、引き続き注目したい

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