市原隼人:新鮮だった夫婦役 今後は「爆発するような作品に出合いたい」

WOWOWのドラマ「ドラマW 双葉荘の友人」で主演を務める市原隼人さん
1 / 2
WOWOWのドラマ「ドラマW 双葉荘の友人」で主演を務める市原隼人さん

 俳優の市原隼人さんが主演を務めるWOWOWのドラマ「ドラマW 双葉荘の友人」が19日に放送される。テラスハウス「双葉荘」に引っ越した主人公と時折現れる“幻の画家”との交友や、夫婦の絆などを描いたドラマで、市原さんは主人公の舞台監督・川村正治役を演じる。市原さんにドラマに懸ける意気込みや今後の俳優としての意気込みなどを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇夫婦役は「新鮮だった」

 ドラマは、プロ、アマ問わずシナリオ作品を発掘する目的の「WOWOWシナリオ大賞」で、2014年に大賞を受賞した川崎クニハルさんの「双葉荘」を映像化。山田洋次監督作品の助監督を長年務めてきた平松恵美子さんが監督を務める。市原さん演じる舞台監督の川村が、妻と引っ越した先のテラスハウス「双葉荘」で、かつて同じ部屋に住んでいたという画家の幻影を見るようになり、次第に交友を結ぶが……というストーリーで、妻・美江役で臼田あさ美さん、幻の画家役で中村倫也さんらが出演している。

 これまで熱血漢の役が多かった市原さんだが、今作で演じるのはイマイチうだつが上がらない夫役。市原さんは「『朝飯、先に食べたよ。トースト焼こうか』というせりふが印象的で。ちゃんと生活している感じが見える役は初めてだったので新鮮です」と笑う。決まった仕事に就けず、生活は妻に頼り……とやや情けない役ではあるが、市原さんは「演じていて楽しい」とほほ笑み、「今回は全部、平松監督に委ねているので。(平松監督の意見を)全部受け入れて。今までにあまりないような感じがするので、それがすごく新鮮」と語る。

 これまでにはあまりなかった役。市原さんは「まず覇気がない人間になれればいいかな、と(笑い)」と撮影前の心境を明かし、「特化するものもない、どこにでもいるような(人間)。柔らかいような、角を取ったような人間で。相手を見るときも柔らかいまなざしで見るように考えていた」と役作りについて説明する。

 脚本は実話が基になっているが、かつて同じ敷地に住んでいて亡霊と心を通わせるという不思議な空気感が漂う作品だ。市原さんは作品の底に流れているものを「ロマンスとファンタジーと夫婦愛」といい、「(交流する亡霊と)筆談で話している空気感が独特で。時代背景も2000年という設定で、セットを見ててもブラウン管だったり、ビデオデッキだったり……逆に新鮮です」と楽しそうに笑う。とはいえ、新鮮なだけではない。見ている側はもちろん、演じる側も琴線に触れる何かがある。「この前も最後のシーンを撮っていて、台本を見ていたら涙が止まらなくなって……。『涙ぐむ』と台本に書いてたんですが、気がついたら号泣していて。自分の中でも感慨深かった」と振り返る。

 ◇常に通過点でいたい

 新たな役に挑戦する中で、俳優としての幅を広げていく市原さん。今後さらなる飛躍が期待されるが、出演作を選ぶ決め手は何なのか。市原さんは「すべてご縁です」と即答し、「作品選びなんて大層な考え方ができない人間です。精いっぱい感謝しながら、するべき仕事をこなせればいいなと思う毎日です」と控えめに語る。「今はすごく規制が増えて、できないことがどんどん増えています。作品もどんどん商業的になって、枠にはめられて決められていくものが多いんですが、何か爆発するようなもの(作品)に出合えるといいなと思う」と市原さんは目を輝かせる。

 そんな市原さんだが、今後にどのような目標を胸に秘めているのか。市原さんは「常に通過点でいたい」と胸中を明かす。「一年一年、通過点にして、いろんな役をやって、こんな人だったっけな、(それとも)こんな人だったっけな、と思われるようにしたい」と前を見据えつつ、「まずは与えられた現場でしっかりと感謝しながら」と明るい表情で語った。
 
 「ドラマW 双葉荘の友人」はWOWOWプライムで3月19日午後9時に放送。

 <プロフィル>

 いちはら・はやと。1987年生まれ、神奈川県出身。主な出演映画に「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)、「ROOKIES-卒業-」(09年)、「極道大戦争」(15年)、「星ガ丘ワンダーランド」(16年)など。テレビ朝日系連続ドラマ「不機嫌な果実」(2016年4月スタート)に出演予定。

写真を見る全 2 枚

テレビ 最新記事