今年の米アカデミー賞で作品賞など8部門にノミネートされ、音響編集賞で受賞したSF映画「メッセージ」(ドゥニ・ビルヌーブ監督)が19日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開される。エイミー・アダムスさんが演じる言語学者が、宇宙人との対話を試みる中で、彼らからの“メッセージ”に迫っていくという内容。宇宙人の造形をはじめ、従来のSF映画とは一線を画す神秘的で哲学的なストーリーに魅了される。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
ある日、地球のさまざまな場所に卵形をした宇宙船が飛来する。世界中がどよめく中、米国政府は、宇宙人の目的は何かを、彼らが発する音や波動から探るよう、言語学者のルイーズ・バンクス(アダムスさん)に要請する。ルイーズは、同じくスタッフとして招かれた物理学者イアン・ドネリー(ジェレミー・レナーさん)と共に、宇宙人の“吐き出す”文字を解明しようとするのだが……というストーリー。
もし時に“流れ”がなかったら……。普段私たちが考える時間の概念を覆す物語が展開する。それは、死生観の概念をも覆すもので、考えれば考えるほど深みにはまる。米国の昔のお笑いコンビから「アボット」と「コステロ」と名付けられた2体の宇宙人と、彼らの発する“文字”は厳かで静謐(せいひつ)。これまで見た宇宙人の中で最も宇宙人らしいとさえ思った。ビルヌーブ監督は宇宙人造形の際、クジラとタコとクモとゾウからインスピレーションを得たという。
原作はテッド・チャンさんの小説「あなたの人生の物語」。そこに映画的な味付けが施され、緊迫感あふれるクライマックスも用意された。ビルヌーブ監督は、10月公開の「ブレードランナー2049」の監督も務めている。(りんたいこ/フリーライター)
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