スガシカオ:「とにかく突き抜けた音楽を」新作アルバムを語る WOWOW「MUSIC LTD.」

 WOWOWの音楽番組「MUSIC LTD.」(毎週金曜午後9時半から無料放送)の「Document」コーナー、5月はスガシカオさんが登場する。4月28日にシングル「サヨナラホームラン」を発売、12日にはアルバム「FUNKASTiC」をリリースするスガさんは、学生時代の思い出の場所であり、楽器店が多いことでも知られる町、御茶ノ水(東京都千代田区)でギターを手に取りながら、音楽への変わらぬ情熱と新作アルバムについて語った。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 −−新作アルバム「FUNKASTiC」はどのような過程で制作されましたか。

 行き先のないまま船を出したような状況で、ずっと迷い続けていましたね。そのうちにかなり多くの曲ができてしまい……。こうなったら、作った楽曲の中から自分の好きな曲を1位から12位まで選んでしまえばいいじゃないか!というあいまいな結論に達し、選んだ12曲を今回のアルバムに収録しました。

 −−今回のアルバムの制作で、こだわったことはありますか。

 中途半端ではなく、とにかく突き抜けた音楽を作ろうと思いました。これには、ロンドンでのライブの影響が大きいですね。日英国交樹立150周年を記念するイベントの一つとして、僕は昨年、ロンドンでライブを行いました。初めての海外公演だったので、ライブ中のことはほとんど覚えていません。ステージに出る前は、「おれ流でいきます!」とか偉そうなことを言っていましたが……舞台に立った瞬間に足がすくんでしまいました。でも途中で、中途半端ではなく突き抜けた曲を演奏しているときの方が観客の反応がいいことに気づきました。なので後半は、ファンキーな曲を中心に大爆発しました! この経験から、中途半端なことはやりたくないと思うようになりましたね。

 −−アルバム収録曲の「Party People」はどんなイメージの曲ですか。

 今回のアルバムは全体的にライブをイメージして作りました。この曲もちょうど夏フェス前に作っていたので、フェスで歌えるようなファンキーな曲が欲しいと思って作りました。PVは、70年代風のことを超デジタルで表現しようと思って制作しました。このPVのようにアナログなことをデジタルで作ったり、その逆だったり……それが、全体的なスガシカオのコンセプトでもあります。僕はもともと新しいものが好きなのですが、それ以上に新しいものをアナログにしてしまったり自分流にしてしまうことが大好きなんです。

 −−「はじまりの日 feat.Mummy−D」ではMummy−Dさんと初共演しています。

 Mummy−Dさんのことを僕がずっとあこがれていて、いつか一緒にやりたいと思っていたんです。まさに、僕の念願がかなった曲ですね。Mummy−Dさんとご一緒したことで、僕は彼の世界観に、これから何年たっても近づけないんだろうな……と思いました。なので、彼が参加してくれたことによって、今回のアルバムは自分だけではたどり着けないような世界を表現することができたと思っています。それを、彼も思ってくれたのではないでしょうか。本当に彼と一緒にやれてよかったと思っています。

 −−アルバム内での一番のチャレンジは何でしたか。

 やはり、Mummy−Dさんを迎えたことですね。反対する人もたくさんいましたし、うまくいくかも分かりませんでした。でも僕はMummy−Dさんの才能に賭けました。結果、Mummy−Dさんの力で最高のアルバムが作れたので、僕の賭けは大成功でしたね。

 −−サウンド面で、新境地はあったのでしょうか。

 ちゃんとすることをやめました(笑い)。ちゃんとすると、本当の感情が伝わらないと思ったからですね。デコボコな曲もいびつな曲も、そのままで完成させましたよ。中でも最もいびつな曲は「91時91分」と「ファンカゲリヲン」です。もうめちゃくちゃですよ(笑い)。

 −−「91時91分」とは面白いタイトルですね。

 このタイトルは、歌詞に書いてあるそのままのことです。携帯電話をバーンと置いたら画面が逆になってしまって。その画面に表示されている時計を見ると「91時91分」に見えてしまったんです。

 −−「ファンカゲリヲン」はどんな曲ですか。

 僕は毎年6月が嫌いなんです。雨だからじめじめしていて嫌だし、なぜか6月に嫌なことが集中するんです。なので、6月をぶち壊したくて……。でもそのためには僕の力だけでは足りないので、何か人型兵器のようなものが必要なのではないか?と思いながら作った曲です。

 −−番組では御茶ノ水の楽器店を訪れました。

 何か新しい楽器はないかな……と思ったからです。そうは言いながらも、僕は普段自分のギターとベースは合わせて10本しか持たない!と決めているんです。なので、ギターを1本買うことは1本捨てることなんですよね……まさに断腸の思いですよ。でもそうしないと、使いもしないギターを何本も買ってしまうんです。

 −−番組収録を振り返って、どんな感想を持ちましたか。

 今回訪れた御茶ノ水は、なじみが深い場所です。楽器屋の街ですし、僕にとって何か引かれるものがあります。そして、僕自身が学生時代を過ごした街ですし、初めてギターを買った場所でもあります。1~2年ぶりにやって来ましたが、いろいろな変化があって驚きましたね。でも、楽器屋は意外に変わらないままでしたね。思い出を振り返ることができたり、新しい発見があったり……すごく楽しかったです。

 <プロフィル>

 シンガー・ソングライターとして97年2月に「ヒットチャートをかけぬけろ」でメジャーデビュー。98年、SMAPの「夜空ノムコウ」の作詞を担当し、注目を集める。99年には、杏子さんと山崎まさよしさんとのスペシャルユニット「福耳」を結成。09年、ロンドンICAで初の海外公演を行う。

アイドル 最新記事