コンピューターゲームの歴史は、古来のスポーツをルーツにした競技を現代風にアレンジしたものと、映像という先端技術をミックスすることで進化を遂げてきました。
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そしてコンシューマーゲームの始祖ともいうべきゲームが、1972年にアタリ社からリリースされた「ポン(PONG)」です。ピンポンをベースに考案された非常にシンプルなシステムとルールでしたが、スポーツをテレビゲーム化したものとしては画期的なものだったと言っていいでしょう。その後、コンピューターチップの性能が飛躍的に向上すると共に、ゲームの自由度は増し、開発者は新たなチャレンジを繰り広げていきました。
その好例が、アーケード向けゲームでした。自動車メーカーがF1のマシンを“実験室”にしたように、業務用を中心としたゲームメーカーは、アーケード向けゲームでさまざまな挑戦をしました。セガの体感ゲームといえる「ハングオン」や「バーチャレーシング」「R360」などです。それらはマシン自体を「動かす」「揺らす」「回す」などの体感という部分で、ゲームにスポーツ的な要素を取り入れた金字塔的な画期的なコンテンツでした。
その後、映像の描画性能が格段に向上して、現在の「映画的」なゲーム世界観の表現が実現、映画的な演出により新たなゲームファンを取り込みました。一方で、大規模予算と大掛かりなギミックを要する体感ゲームは衰退しました。恐らく家庭用ゲーム機のCPUが向上していくことと引き換えになったのでしょう。
さて、ゲーム本来が持つエッセンスとは何でしょうか? それはスポーツをルーツにした体を動かす体感や勝ち負けといったプリミティブ(原始的)な感覚にほかならないと思います。それはPCのキーボードやマウスと違い、フィジカルな感覚に近いものです。つまりゲームやインターフェース(操作面)の本来あるべき姿をそこに見いだすことができます。
6月に入ってすぐのこと、テレビゲームをスポーツとしてとらえる「eスポーツ」を提唱する「エウレカコンピューター」の山下寿也さんと、犬飼博士さんが作り出した体験型ゲーム機「eスポーツグラウンド」のプロトタイプを見せてもらいました。それはSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で描かれたような近未来のバーチャルリアリティーを思わせるものでした。この装置、東京・秋葉原の新施設「3331 ARTS Chiyoda」1階ギャラリーでゲームデザイナー・伊藤ガビンさんとのコラボーレーション作品として26日~7月25日に展示されます。まさにゲームのルーツを見ることができます。ゲームの歴史とエッセンス、得たものと失ったものに興味がある人は、ぜひ会場に足を運んでみてほしいと思います。
◇筆者プロフィル
くろかわ・ふみお=1960年、東京都生まれ。84年アポロン音楽工業(バンダイミュージック)入社。ギャガコミュニケーションズ、セガエンタープライゼス(現セガ)、デジキューブを経て、03年にデックスエンタテインメントを設立、社長に就任した。08年5月に退任。現在はブシロード副社長。音楽、映画、ゲーム業界などの表と裏を知りつくす。
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