藤原紀香:女優の仕事はメッセンジャー ドキュメンタリー番組「伝説の美女 楊貴妃」に出演

「その役になりきり没頭することで幸せを感じる」という藤原紀香さん
1 / 1
「その役になりきり没頭することで幸せを感じる」という藤原紀香さん

 この夏、中国・西安に1週間ほど滞在し、楊貴妃の足跡をたどる旅をした女優の藤原紀香さん。その様子は日中共同制作のBS朝日10周年記念番組「伝説の美女 楊貴妃~藤原紀香 西安1300年紀行~」として14日に放送される。藤原さんは世界三大美女の一人といわれる楊貴妃の素顔に迫り、「今でいうナイスバディーだった」という外見はもちろん、玄宗皇帝に寵愛(ちょうあい)された楊貴妃が身をていしても皇帝を愛し抜いたという言い伝えを知り、感心するだけでなく「うらやましいとさえ思った」という。「世界史が大好きで、みんなが知らない時代のことを伝えたい」という藤原さんに番組の撮影中のエピソードや女優の仕事について聞いた。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 高校時代の恩師の影響で「世界史が大好きで考古学者の助手になりたかった」という藤原さんは、「昔栄えたけれども、今はみんな知らないという時代のことを伝えたい」と、今回の撮影は「本当に行けて幸せだった」とうれしそうに語った。

 「シルクロードはすごいなと思いましたね。あの時代(700年代前半)に中国大陸に黒人がいたんですって。アフリカから来ていたんです。長安はきっといまのニューヨークのように人種のるつぼで、いろんな文化が栄えて、ミックスされて面白い時代だったんじゃないかと」と目を輝かせる。

 楊貴妃が食べたといわれる料理もフルコースで体験した。「ラクダの肉球を食べたんですよ! 味はフカヒレみたいだったんです。そういう味付けにしているんでしょうけど。あとはナマコをそのままゆでたのを食べたり。みんなコラーゲンたっぷりで美容のためだったんでしょうね」と驚きながらリポートした。

 玄宗皇帝は楊貴妃のために作ったという温泉「華清池」での楊貴妃の全身の裸像にも驚きを隠せない。「楊貴妃は太っていたという言い伝えがあるんですけど、今でいうナイスバディーなんですよ。ボン、キュッ、ボンで本当にきれい。温泉は市民プールぐらい大きいんですけど、そこに1人で羽衣をまとって入っても似合っていたんだろうな」といにしえの楊貴妃の美しい姿に思いをはせていた。

 楊貴妃は玄宗皇帝から愛されただけでなく、自分も努力して、楽器をたしなみ、詩も読むなど内面も磨いたという。また馬に乗って玉を転がす競技では自ら落馬し皇帝の玉を導いたなど身をていして皇帝のために命も惜しまなかったという言い伝えもある。藤原さんは楊貴妃を演じたことのある中国人女優のイン・タオさんと対談し、「彼女も、一人の人をいちずに愛する楊貴妃の姿には女性としてすごく感じるところがあったと言っていました。人を愛することの大切さを現代にも伝えたいという思いは一緒でした」と同じ女性として共感したという。

 撮影の最後に楊貴妃が好きだったというボタンの花をイメージした真っ赤な衣装に身を包んだ。撮影中は「かなり重かった」という髪飾りも、湖からの強風も全く気にならなかったという。「あれだけ大きい髪飾りは付けるのも気合がいりますね。位の高い人はいろんな努力をしていたんだろうと思いますね。あれだけのものを身につけると、首や肩に絶対に来ますから、マッサージが毎回必要ですよ(笑い)。でも撮影中は役作りと同じでトリップした感じになっていたので、暑さや重さなど全く気になりませんでした。役に入り込んでいたんだと思います」と振り返った。

 番組では「楊貴妃がどんなふうにあの時代を生きて、自分の人生の悲劇を受け入れたのか、そういう部分に迫れたと思いますし、皆さんが知らない真実を紹介できたと思います」と胸を張る。

 藤原さんにとって女優とは「実在の人物、または架空の人物でもきっと現実にこういう人はいると思って演じているので、その人の思いを伝えるメッセンジャーのような職業だと思います。自分の普段の生活から離れて、その役、その人に成り切って没頭しているとすごく幸せを感じます」と充実感を感じている。今後は「戦時中から外国に興味を持って、アジアや世界をまたにかけて活躍していながらも歴史の陰に隠れてしまっている女性を演じてみたい」と目を輝かせた。

 次回は、「各国に旅行したときに地元の文化に触れる」ことや「途上国の子どもたちに触れ合う」ことでエネルギーをチャージするという藤原さんの生き方などについて聞いた。

 <プロフィル>

 1971年6月28日、兵庫県出身。92年、大学在学中に「第24回ミス日本グランプリコンテスト」に応募しグランプリを受賞。93年に東レ水着キャンペーンガールを務める。97年に映画「CAT'S EYE」で長女の泪(るい)を演じ、その後も00年に香港映画「SPY_N」に出演。01年の米劇場版アニメ「シュレック」の日本語吹き替え版でフィオナ姫役の声を担当。同シリーズ第4弾で最終章となる「シュレックフォーエバー」は12月18日に全国で公開する。ドラマは98年に「ハッピーマニア」に出演、99年に「ナオミ」で初主演。その後も01年に「昔の男」、05年は「大奥~華の乱」、10年に「チャンス」などに出演。BS朝日の開局10周年記念番組「伝説の美女 楊貴妃」は藤原さんが中国・西安に長期間滞在し、楊貴妃のゆかりの地を訪ねたドキュメンタリー番組。14日午後9時に放送。

テレビ 最新記事