10日から開催されている世界3大映画祭の一つ、第61回ベルリン国際映画祭で、瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)監督の映画「ヘヴンズ ストーリー」(昨年10月公開)が「国際批評家連盟賞(FIPRESCI prize)」に続き、最優秀アジア映画賞に当たる「NETPAC賞」を獲得し、2冠を達成したことが明らかになった。日本作品の国際批評家連盟賞受賞は09年の「愛のむきだし」(園子温監督)、10年の「パレード」(行定勲監督)に続き3年連続。NETPAC賞は08年の「実録・連合赤軍~あさま山荘への道程~」(若松孝二監督)以来となる。
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受賞に際し瀬々監督は「二つも賞をいただけたことは大きな喜びです。日本はアジアの一員だということをいつも意識して映画を作っています。そんな中、今回、賞をいただき、大変喜んでいます。これを励みに今後も頑張っていきたいと思います」とコメント。劇中で両親と姉を殺された少女・サトを演じた寉岡萌希(つるおか・もえき)さん(18)も「4時間38分の『瀬々ワールド』で、見てくださった方の心に何か響くものが必ずある作品だと思います」と喜びをにじませた。
また、妻と娘を殺された男・トモキを演じたパフォーマンス集団「ジョビジョバ」の長谷川朝晴さん(38)は、「夕べは日本アカデミー賞をテレビで見ていたのに、一晩たって起きてみたら、自分が出ていた映画がベルリン国際映画祭で賞をとっていて……」と驚きを隠せず、強盗犯を殺害した過去を持つ警官・カイジマ役の村上淳さん(37)は、「世界各地で賞をいただいていると聞く。“映画”というランゲージ(language)はまさしく世界共通語なんですね」と語った。そして今回が初めての映画出演で、若年性アルツハイマーの人形作家・恭子を演じた歌手の山崎ハコさん(53)も「すごい映画だなと思っていたので、たくさんの人の熱意、監督の頑張りを思うとうれしくてたまりません。本当によかった! ハコの一生の記念になりました」とコメントを寄せた。
本作は妻夫木聡さん主演の「感染列島」(09年)などで知られる瀬々監督が描く上映時間4時間38分の社会派ヒューマンドラマ。全9章、20人以上に及ぶ登場人物の人生が複雑に絡み合う。キャッチコピーは「世界が憎しみで 壊れてしまう前に」。公開後は「第84回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画部門第3位」「映画芸術ベストテン第1位」「高崎映画祭4部門受賞(作品、主演男優、助演女優、新人女優)」「第65回毎日映画コンクール脚本賞受賞」など10年度を代表する日本映画の1本として高く評価されている。映画は現在、「MOVIE ON やまがた」(山形市)で公開中。25日から山口情報芸術センター(山口市)で上映が始まるほか、3月5日からはアップリンク(東京都渋谷区)で2週間限定の凱旋(がいせん)公開が決定した。その後も3月12日からの神戸アートビレッジセンター(神戸市兵庫区)に続き、4月からも新潟市、金沢市、広島県尾道市、静岡市などで順次公開される。(毎日新聞デジタル)
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