「チョコレート工場の秘密」などで知られる作家、ロアルド・ダールさんの原作「すばらしき父さん狐」を、「ダージリン急行」(07年)のウェス・アンダーソン監督が映画化した人形アニメ「ファンタスティックMr.FOX」が公開中だ。ジョージ・クルーニーさんやメリル・ストリープさん、アンダーソン作品では常連のビル・マーレイさんらスターが勢ぞろいで声を担当している。撮影監督は「ウォレスとグルミット」シリーズのトリスタン・オリバーさんが務め、俳優ではなく人形でも乾いた笑いと独特のテンポで、しっかりとアンダーソン世界を表現している。ときどきアップになる父さんギツネの無表情な顔がおかしく、ワクワクする作品だ。
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野生のキツネ「ミスター・フォックス」は農家からニワトリやアヒルを失敬するプロだ。妻のミセス・フォックスは夫に泥棒稼業から足を洗ってほしいと思っていた。ミスター・フォックスは妻から妊娠を告げられているときにわなにかかり、ピンチに陥ってしまった。その2年後、ミスター・フォックスは新聞記者として働き、妻と思春期の息子アッシュと3人で穴暮らしをしていた。ミスター・フォックスは丘の上の大木に住みたいと思うが、妻は反対する。弁護士のアナグマも「丘の反対側に3人の農場主が住んでいて危険だ」という。しかし、ミスター・フォックスは忠告を無視して大木に居を構える。野生を思い出したミスター・フォックスは、再び農場主の飼育場から獲物を盗み始めてしまい……というストーリー。
野生の本能に従って人間の農場から獲物を盗む父さんギツネ。泥棒はやめてほしい母さんギツネだが、夫の気持ちを尊重している。息子ギツネは反抗期で、スマートないとこが気にくわない。なんだ、これは外見はキツネだがホームドラマじゃないか。そんな思いで見ていると、あれよあれよという間に、キツネ対人間の戦いの火ぶたが切られる。生きものが生きたいように生きるには、確かに戦うしかないのかもしれない。キツネたちやその他の動物たちが行き場を求めて右往左往するあたりは、アンダーソン監督のこれまでの作品との共通点が感じられる。キツネたちが団結して、人間社会にどういう作戦に打って出るのかが見ものだ。シネスイッチ銀座(東京都中央区)、新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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