注目映画紹介:「阪急電車 片道15分の奇跡」 乗客の悲喜こもごもを描くヒューマンドラマ

「阪急電車 片道15分の奇跡」の一場面(C)2011「阪急電車」製作委員会
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「阪急電車 片道15分の奇跡」の一場面(C)2011「阪急電車」製作委員会

 テレビドラマ化された「フリーター、家を買う。」の著者、有川浩さんによる同名小説を映画化した「阪急電車 片道15分の奇跡」(三宅喜重監督)が29日、公開される。兵庫県宝塚市にある宝塚駅から同県西宮市の今津駅を走る阪急今津線のうち、宝塚駅から西宮北口駅まで片道約15分の列車内で起こる乗客の悲喜こもごもを往路と復路で描いたヒューマンドラマだ。

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 後輩に婚約者を奪われた女性会社員、彼氏の暴力に悩む女子大生、息子の通う学校のPTAメンバーとの付き合いにうんざりしている主婦、孫を連れて息子夫婦とぎくしゃくした関係にある老婦人……それぞれに事情を抱える人々が車内ですれ違い、短いながらも関係を持って凝縮されたドラマを作っていく。脚本は、映画「いま、会いにゆきます」(04年)や、現在放送中の連続テレビ小説「おひさま」(NHK)を手がける岡田惠和さんが担当した。

 劇中のエピソードはいずれも決して大げさではなく、登場人物が勢ぞろいする大団円もない。しかし、そのひとつひとつのエピソードにホッとできたり、うなずける場面があり、小さいながらも希望を感じて笑顔で映画館を後にすることができる。婚約者を奪われる女性会社員を中谷美紀さん、女子大学生を戸田恵梨香さん、主婦を南果歩さん、老婦人を宮本信子さん、その孫を芦田愛菜ちゃんが演じ、谷村美月さん、勝地涼さんも出演する。彼らの演技が心地よく、さらにシンガー・ソングライターのaikoさんが手がける主題歌「ホーム」が、すがすがしい後味を残してくれる。TOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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