注目映画紹介:「ロック~わんこの島~」三宅島のアイドル犬と飼い主一家のたくましさを描く

「ロック~わんこの島~」の一場面 (C)2011 フジテレビジョン 東宝 FNS27社
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「ロック~わんこの島~」の一場面 (C)2011 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

 フジテレビ系の朝の情報番組「めざましテレビ」の1コーナー「きょうのわんこ」で紹介された伊豆諸島の三宅島(東京都三宅村)のアイドル犬ロックの話を基に、オリジナルストーリーが生み出された。「ロック~わんこの島~」(中江功監督)が23日に公開される。佐藤隆太さんが父親役で、素朴でたくましくいい芝居を見せている。00年8月の大噴火を背景にしたこの作品は、大震災の約1カ月前にクランクアップした。

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 小学2年生の芯(土師野隆之介君)は、三宅島で民宿「たいよう」を営む両親の愛情に包まれて暮らしている。祖母(倍賞美津子さん)の家で生まれたばかりのゴールデンレトリバーを引き取り、責任を持って面倒を見ることが芯の役目となった。ロックと名付けて、弟のように可愛がる芯。ところが00年夏、大規模な噴火が起き、芯は本土の学校に避難することになった。やがて島民全員に避難指示が出された。ロックも東京の災害動物救護センターに避難することになったのだが、いつの間にかケージから出て、いなくなってしまい……。

 犬と子どもがじゃれあっているだけの映画ではない。生まれ育った島を離れるつらさ、そして「島に帰るのだ」という被災者の強い思いがよく描けている。実際、大震災で今も避難されている方々がいることを思うと、現実と重なり重い気持ちになる人もいるのではないかと思うが、芯の一家のたくましさと明るさが、映画を明るくしている。困難に負けない、ロックの生命力と大自然とともに生きてきた島民の底力が見ている者に元気をくれる。

 ただ、上手な役者ばかり出ていて期待通りのいい芝居をしているし、映像もていねいに撮っているのだから、ナレーションはもっと少なく、「絵」の力を信じてもよかったのでは。いちいち説明せず、芯の気持ちを想像して共感する楽しみがほしかった。それくらい芯役の子役・土師君の芝居は素晴らしかった。23日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(文・キョーコ/毎日新聞デジタル)

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