夏休みにふさわしいアクション映画や家族で楽しめる劇場版アニメなどの娯楽作に交じり、今年の夏は「いのち」について考えさせられる秀作が多く公開された。「生きること」や「命」をテーマにした公開中の洋画を紹介する。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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なぜ今夏は、「いのち」にまつわる作品が多いのだろうか。「ツリー・オブ・ライフ」を配給するウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの脇坂守一さんは「悲惨な戦争の記憶によって喚起される『生命』への関心が高まる時期を考慮した」と話しているように、関係者の多くは、夏が終戦の時期であることを公開時期を決めた理由として挙げた。また、戦争と東日本大震災を重ねる人もいる。
3月11日、東日本を未曽有の震災が襲った。その後起きた福島第1原発の事故はいまだに収束していない。ちまたではこれまで以上に、「命」や「きずな」といったものの重要性を説く声が強まっており、それが公開作品にも影響を及ぼしたと考えられる。夏休みという比較的時間が取れるこの時期に、映画を通じて「生きる」ということに向き合ってみてはいかがだろうか。これからご紹介する5作品はいずれも、「生きること」「いのち」をテーマに、明日への希望をうたった作品だ。
ローズ・ボッシュ監督、出演はメラニー・ロランさん、アルバトロス・フィルム配給。1942年、フランス政府によって行われたユダヤ人一斉検挙「ヴェル・ディヴ事件」を、元ジャーナリストの女性監督が描く。「3.11を経験した今、“国家を信じた弱者”、すなわち今作のユダヤ人には深く共感できるはずです。『受け入れるべきでないことは決して受け入れるな』とは、本作の(登場人物の)モデルとなったジョゼフ・ヴァイスマン氏の言葉。未来を生きる子供たちにこそ語り継ぐべきテーマです」(アルバトロス・北神奈津子さん)。
シュロミー・エルダール監督、スターサンズ配給。紛争の絶えないイスラエルとパレスチナ。イスラエル人医師と今作の監督でもあるテレビジャーナリストのシュロミー・エルダールさんが、さまざまな困難に遭いながらも、余命宣告されたパレスチナの赤ん坊を救おうと奮闘する姿を収めたドキュメンタリー作品。「いのちの価値」「人間の良心」について考えさせられる一編。
テレンス・マリック監督、出演はブラッド・ピットさん、ショーン・ペンさんら。ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン配給。厳格な父に育てられた息子は、父と同じ年代になったとき、父の本当の思いに気付く……。宇宙の誕生や生命の進化といった神秘的な映像を交えながら、生命の連鎖についても言及する。「普遍的な家族の姿を通じて、『生命とは?』『家族とは?』と問いかけ、観客の今後の生き方の道しるべとなるであろう作品」(脇坂さん)。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
スサンネ・ビア監督、出演はミカエル・パーシュブラントさん。ロングライド配給。医者の父を持つ、いじめられっ子のスウェーデン人少年エリアスと、英ロンドンから引っ越してきたクリスチャン。2人の間には友情が芽生えるが、一方で大人たちのいさかいが彼らの心をむしばんでいく……。緊張感をはらんだ展開ののちに待ち受ける光景に、命の尊さを痛感する。今年の米アカデミー賞で外国語映画賞に輝いた作品。
アレン・コールター監督、出演はロバート・パティンソンさんら。ツイン配給。それぞれに大切な人を失った男女が出会い、愛によって生きる力を取り戻していく。父親との確執を抱えた青年をパティンソンさんが好演し、製作総指揮も務めた人間ドラマ。ここに映る光景に、大震災を重ねる人は多いはず。苦難を乗り越え、それを糧に前に進もうとする主人公たちから得るものは多い。
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