注目映画紹介:「ヒミズ」 震災後の日本に設定を変更 原作と異なるエンディング

映画「ヒミズ」の一場面(C)「ヒミズ」フィルムパートナーズ
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映画「ヒミズ」の一場面(C)「ヒミズ」フィルムパートナーズ

 「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実さんによる原作マンガを、「冷たい熱帯魚」(10年)や「恋の罪」(11年)など話題作が続く園子温監督が映像化した「ヒミズ」が14日に封切られる。オリジナル作品ばかりだった園監督にとって、初めて原作ものを手がけたことでも話題で、もともと原作マンガが気に入っていた園監督は「原作ものでやるなら、本当に自分の好きな作品に挑戦したかった。それなら『ヒミズ』だ!」と映画化に踏み切ったという。

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 「普通の大人になる」ことを夢見ていた15歳の住田祐一。だが、ボート屋を営む母は男と駆け落ちし、金の無心に訪れる父からは暴力をふるわれる日々。そして、ある事件をきっかけに“普通の未来”への道を断たれた住田は、それ以降の人生を“オマケ”とみなし、夜の街で悪党狩りを始める。そんな住田を救い出そうとする同級生の茶沢景子。2人の姿を追う青春映画だ。

 住田と茶沢を演じた染谷将太さんと二階堂ふみさんは、昨年開催されたベネチア国際映画祭で、日本人としては初となる最優秀新人俳優賞に輝いた。その一方で、今作の撮影準備期間中に東日本大震災が起こり、園監督が設定を「震災後の日本」に変更、脚本を書き直したことでも話題になった。園監督の近作「冷たい熱帯魚」や「恋の罪」での、男女の愛の形や人間の業に恐れおののいた人、もしくは魅了された人は多いだろう。だが、そこで体験したのとは全く別の感覚を、今作では味わうことができる。原作と異なるエンディングは、見た人それぞれで受け止め方が違うようで、その点も興味深い。14日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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