現代美術作家の杉本博司の活動を追うドキュメンタリー映画「はじまりの記憶 杉本博司」(中村佑子監督)の完成披露試写会が17日、科学技術館サイエンスホール(東京都千代田区)であり、杉本さんと中村監督、音楽を担当した渋谷慶一郎さんが舞台あいさつに登場した。杉本さんは、映画について「200日も密着しているので、本音が出て、格好悪いところもあります。(撮影中に)冗談を言い続けているけど、映画にあんまり冗談が入っていないと、美化した虚像のようになる」と照れながら完成を喜んだ。中村監督は「スベったギャグは入れていません。杉本さんは恥ずかしがっているけど、熱い人。何かを隠そうとして冗談を言っているんですよ」と話し、フォローしていた。
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映画は、10年にWOWOWで放送されたドキュメンタリー番組「ノンフィクションW はじまりの記憶 現代美術家・杉本博司」に未公開シーンを加えた映像作品。テレビ版は、世界の優れたテレビ番組に贈られる「国際エミー賞」のアート部門にノミネートされるなど好評を博した。電気をフィルムに直接感光した作品「放電場」の制作現場を公開するほか、代表作「海景」「劇場」「ポートレイト」「アプロプリエイト・プロポーション」などの制作秘話を紹介しながら、杉本さんの素顔と創造の源泉に迫っている。さらに、批評家の浅田彰さんや建築家の安藤忠雄さんらが杉本作品の魅力を語っており、ナレーションは女優の寺島しのぶさんが担当した。
中村監督は「実は昨日の夜まで(同映画完成に向け)作業をしていた」と明かし、杉本さんは「実はまだ映画版を見ていない。杉本というのは映画の材料に過ぎなくて、映画では料理されて味付けされている。どういうふうに味付けされているかが楽しみです」と笑顔で話した。渋谷さんは「(杉本さんに)映画を見せられなかったのは、音楽が遅れたら。2週間で1時間半の映画の音楽を作るのはキツかった」と謝りつつ「(音楽が加わることで)映像が非常に格好良く見えるようになった」と自信を見せていた。
映画は3月31日から渋谷シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)で公開。また、WOWOWではドキュメンタリー番組「ノンフィクションW はじまりの記憶 現代美術家・杉本博司」を3月14日にリピート放送する。(毎日新聞デジタル)
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